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開始前から火花散らす者達

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

『決まったー!イタリア4点目ー!!』



 決勝トーナメント1回戦、イタリアの相手はフランス。



 同じヨーロッパの強豪相手にも関わらず、ランドがハットトリックを決めたりと無双状態が続いていた。




 フランスの守備陣もディーンを止める事が出来ず、彼は後半途中でまたも退き、此処まで一度もフル出場をしていない。



 イタリアの絶対的な攻撃の柱が抜けてもカテナチオの方が健在であり、クライスを中心とした守備の要塞は、フランスに最後まで得点を許す事なく4ー0で完勝。




 ベスト8に残ったのは日本、イタリア、ベルギー、アメリカ、スペイン、ドイツ、アルゼンチン、ブラジルの8チーム。



 日本の相手はドイツとなり、オランダに続くヨーロッパの強豪との戦いだ。




「明ー、確かドイツ留学してたよね?」



「あ、はい……」



 パラグアイ戦を終えた翌日。朝食を食べ終えて各自が自由時間を過ごしていると、弥一は明に話しかけていた。



 次に日本と戦うドイツ。その国は以前に明が留学していた国だ。



「向こうでのサッカー、どんな感じだったか思い出せるー?」



「流石に忘れません……体が大きいだけじゃなく、フィジカルがとにかく優れてます。ドイツじゃそれが最重要だと考えられてますから……」



 経験した事を思い出しながら明は話す。立見に来た時から彼はフィジカルの強さを見せていた。


 それはフィジカル重視のドイツで留学した成果。元々の天才的テクニックに加えて、強さを明は身に付けたのだ。



 ドイツには頑強な選手が多く、総合力で優れた選手が揃っている。


 攻守全てのポジションに隙はほとんど無い。



「質実剛健、それがドイツのサッカーです……」



「え〜と〜、しつじつごうけんってなんだっけ意味?」



「……飾り気がなくて真面目で心身共に強く逞しい、という事です……」



 言葉は知っていたが詳しい意味まで分かってなかった弥一。後輩に意味を教えてもらう辺り、先輩として頼りなかった。



「あー、そんな感じかぁー。ゲルマン魂も思えばパラグアイ以上に粘り強そうでもあるねー」



「そう考えて間違い無いかと、ドイツは強いです」



 スマホで弥一はドイツの戦績を見てみれば、此処まで4戦で10ゴール、失点1と攻守共にレベルが高いのは一目瞭然。



「気を付けた方が良いのはゲーゲンプレス。神明寺先輩も用心しないと一気に奪われるかもしれません……」



 ボールを奪われた瞬間、複数で襲いかかりボールを奪い返す。


 かなりの体力を要求するが決まれば強力で、大きな得点チャンスを得られる可能性がある。



 ドイツ語でカウンタープレッシングを意味する守備戦術。それを次のドイツがやって来るとなれば、弥一達の最終ラインは要注意だ。




「ひょっとしたら今のドイツに知り合いとか居たりしないー?」



「え?ああ、ドイツの左SHを務めるソニーザと右サイドDFのクレイラ……2人が俺と同じ留学先のチームで共にサッカーやってました」



 よく分かったなぁ、という感じでドイツの知り合いについて話す明。


 ひょっとしたらも何も心で明が2人の知り合いの事を考え、それが弥一にバレていただけだが。



 パラグアイのようにサイド攻撃がメインという訳ではないが、サイドから仕掛ける時は、両サイドのソニーザとクレイラが厄介なアタッカーとなってくる。



 共にサイドの選手ながら180cmを超えており、ソニーザはパーマのかかった短めの金髪、クレイラが茶髪で肩ぐらいの長さだ。



 共にアシストを記録し、ドイツにとって欠かせない戦力となっている。




「何か彼ら苦手なのとかー……って、何年か前の事になっちゃうからアプデされてる可能性高いかぁ」



 明が彼らと付き合いあるなら弱点でも知っているかと思ったが、古いデータになってしまうので弥一は深く聞かないでおく。



「代表に選ばれてる程ですから……後、良い奴らです」



「へー、それでスタメン選ばれたりしたら元チームメイト同士の試合になるね♪」



「そんな都合よく選ばれませんよ……三津谷さん調子良いみたいですから……」



 光輝とトップ下のポジションを争う明。向こうの調子が良さそうなので、次のスタメンは光輝だろうと思っていた。





 そしてスタメン発表の時。



「緑山」



「え……」



 思わず声が出てしまい、明は自らの口を両手で抑える。



 ドイツ戦のスタメンに都合よく選ばれて、留学で世話になった国との対決が確定した。



 共にスタメンで選ばれた弥一からは「やったじゃん♪」と肩を叩かれる。




「ドイツのプレスは強く速い。何よりボールを取られた後に数人がすぐ取り返そうと動き出し、スタミナ消耗を覚悟の上で奪取を積極的に狙って来ます」



 ドイツの特徴、戦術についてマッテオから改めて選手達に説明。


 この前に明が弥一に話していた通り、ドイツはゲーゲンプレスを使って来ていた。



 これには守備陣も警戒心が強くなってくる。自分達の陣地で取られて速攻という展開は避けたい。





 日本対ドイツ戦の当日。勤勉な両国らしいと言うべきか、どちらのバスも早い会場入りをしていた。




「はぁ〜、やっぱ試合前のカステラ美味しいなぁ〜♡」



 すっかり和菓子の中でカステラがお気に入りとなった弥一。試合まで1時間程あるので、エネルギー補給として全員がこれを食している。



「相変わらずマイペースというか、呑気だなぁ。これから強豪ドイツと試合だっていうのに」



「立見視点から見れば通常運転だ」



 大事な試合を前に、呑気そうな弥一を見て羨ましいと思う室。立見で沢山そういった姿を見てきているので、優也の方は何も気にせずカステラを食べていた。




「俺ら優勝したらカステラすんげぇ売れそうですね?店頭からカステラが消えた!?的な」



「妄想してないでアップ行くぞ、時間が勿体ない」



 カステラのCMに呼ばれるかもしれないと、想像を膨らませる月城を置いて、照皇は早々にアップに向かう。



「照さんも質実剛健ですねー、ドイツに負けないくらいに♪」



「なんだ……褒めても何も出ないぞ神明寺。無論ドイツに負ける気は無い」



 覚えたばかりの言葉。弥一は照皇を見てドイツと同じく、合ってそうだと思って本人に伝える。




「今日はボール奪った後も気を抜かず、すぐに繋ぐ事を意識するのを強めにした方が良いね」



「せやな、逆に躱しまくってドイツの体力を空っぽに出来たらそれが理想や」



 春樹、想真といった守備陣の方では今日のドイツのプレスに対して、対策を話し合う。



 それはアップへ向かう途中、歩きながらも続いていた。



「ストップ、向こうも早いお出ましみたいだよー」



 打ち合わせをしていた選手達に弥一はそこまで、と自分の右人差し指に自らの口を当てて喋らないようにと伝える。




 近くにドイツの選手達が居て彼らもアップに向かう所だった。



「(ドイツ……やはり全員良い体格をしているな)」



 ジャージの上から見ても、鍛えられたフットボーラー向きの体格だと照皇には分かる。




「アキラ久しぶりだな!」



「ソニーザ、調子良さそうじゃないか」



「おお?何だお前、昔より堂々と喋れてるぞ!?」



 明にドイツの選手2人、友人関係のソニーザとクレイラが話しかけて来れば、明はそれに応じる。



 昔より社交的になっている明の姿に、旧友の2人は揃って驚かされたようだ。



「そこは……日本の高校で色々学ばせてもらったおかげかな」



「知ってる知ってる、立見高校ならドイツでも有名だ。相手のゴールキックを蹴り返してスーパーゴールを決めたって」



「信じられない小さなDFってドイツの記事でも取り上げられたぐらいだよ」



 ドイツ語で話す3人、明と話しながら2人は弥一の方に視線を向けたりしていた。




「代表に選ばれたりと一体立見でどんな事を経験してきたんだ?」



「一言じゃ説明はしきれないな……例えば」



「待てクレイ、アキラ」



 クレイラからどんな事を学んだのか明が言おうとした時、ソニーザに止められる。



「アップが控えてる、何より試合が近いだろ」



「あ、そうだった。じゃあアキラ、お前の成長は試合で存分に語ってもらうって事で、先行くな」



「ああ、後でまた……」



 明が先にフィールドに向かう旧友2人の成長した背中を見た後、自らも追って入場していく。




 その後のアップでは互いに目を合わす事なく集中し、試合に向けて準備を進める。




「さーて、日本には勝ってもらわないとな。ベスト4でカンプノウ行きを賭けて戦うんだ、ヤイチ勝てよー!」



「ただの日本サポーター化するな、偵察だろ偵察」



 今日のスタジアムには、この後試合をするベルギー代表が揃って試合観戦しており、アドルフが日本の応援をするとルイから注意が飛ぶ。




「……!」



「やっぱり、て言うべきか。あっちもお出ましだ」



 その時、真っ先にドンメルが遠い向かい側の観客席に居る者達に気付くと、アキレスも続けてそちらを見た。




 自分達ベルギーとベスト8で戦う相手。サッカー王国ブラジル代表が揃って、この試合の観戦に来ていた。




 その中にはブラジルの天才で栄光の背番号10を背負うドレッドヘアの男、ロイド・ファルグ。


 この時彼もベルギー代表の存在に気付く。




「……フン」



 ベルギー代表は知らない、ファルグが自分達に気付くと鼻で笑った事に。



 フィールドの中でも外でも、ベスト8の戦いは既に始まっていた。

弥一「あっちもこっちも火花バッチバチだ〜、あ!」


優也「何だ?ドイツの美味いグルメについてか?ソーセージとか」


弥一「それも大事だけどー、火を使わない食事とかドイツの伝統だけどー!夏に花火やったっけー!?」


大門「やってないね……そもそも夏は俺達インターハイで忙しかったし、相変わらずの猛暑と過密日程で」


弥一「お祭りのシーンも書いてほしかったなー!屋台の焼きそばとかリンゴ飴とかたこ焼きとか美味しいのも沢山あったはずだしさー!」


優也「結局行き着く先は食べ物と、お前はある意味期待を裏切らないな」


宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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