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サイキッカーDFと天才集団の過去3

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 巧い、鋭い、弥一の目の前て繰り出されるディーンのフェイント。



 イタリアに渡ってから高いテクニックを持つ選手とのデュエルは、練習といえど経験してきたが、彼の場合は次元が違う。



 分かっているはずなのに止められない。



 こんな事は何も出来なかった柳FCに入りたての頃以来だ。



 何も出来なかったあの頃と違い守備の技術、実力、経験を身に着けたにも関わらず、それを無にされてしまう。




「また、2桁だな」



「はあっ……!」



 芝生の上で大の字となって倒れ、イタリアの空を見る格好になる弥一へゴールを決めたディーンが声を掛ける。




「よくやるなぁ、あいつ。折れもせず何度も何度もディーンとやり合っちゃって」



「けど相手になってない、また完敗だろあれ」



 2人のデュエルを自主トレの休憩中、水分補給しながら見ているのはジョヴァニッシミのレギュラーを務める、ランドとグレンメルの2人。



「フン、ディーンもディーンだ。何を好き好んで相手にならない日本人とつるんでいるのか……理解出来ない」



「何々?ディーンに遊んでもらってないから拗ねてんのかクライス、ツンデレめー」



「はあ?拗ねてなんかいねぇから」



 チームのDFの要、クライスは彼らと同じくトレーニングの休憩中に2人を見ていて、面白くなさそうな顔を浮かべていた。


 それを見たランドにからかわれ、ムキになって言い返す。




 その時、クラブハウスの窓から見えるフィールド。そこに映る弥一とディーンの姿をチームの監督、マッテオが静かに見つめていた。





 この日もディーンを一度も止める事が出来なかった。想定はしたつもりなのに、その上を行かれてしまう。


 1on1で勝つどころか、彼を止める事が出来ていない状態だ。



 どうすればいいのかと弥一は考え込み、昼食のトマトリゾットを味わう暇もなく完食してしまう。




「おーい、ヤイチ。監督呼んでるぞー」



「え?」



 チーム最長身を誇るジョヴァニッシミの正GKリカルド。彼の声で弥一は振り返り、監督が呼んでいると言われて席を立つ。




 呼ばれる理由は何なのか、特に思い当たる理由は無い。



 そんな事を思いながら弥一はマッテオの前に立っていた。




「弥一、君は最近ディーンとデュエルを重ねているそうですね」



「ああ……そうです。駄目でした?」



 ディーンは別格の選手。将来のミランどころか、イタリアを背負って立つ逸材で特別な少年だ。



 それを独り占めし過ぎて文句あるのかとなったが、マッテオの心の中を見る限り、そうではないと弥一はすぐ分かった。



「いえ、むしろ彼があれだけ人と1on1をやるのが珍しいと思いました。君から何かを感じたんでしょうねきっと」



「そう、なんですかねぇ?」



 あり得ないだろうが、まさか自分が心を読める事が彼にバレているのかと考えてしまう。




「私からお節介ながら、君に一つ助言をしようと思い呼びました」



「助言ですか?」



「ええ、弥一。君はもう少し攻撃を覚えた方が良い、守備に寄り過ぎです」



 マッテオの目から見て弥一は守備の技術、読みが特にずば抜けており小柄なハンデを補っている。


 だが攻撃に関して物足りなさを感じていた。彼は守備専門に寄ってしまっているのだ。



「CDFだから守備が完璧ならそれで良い、とはなりません。今の現代、DFも攻撃が求められる。時に決定的なキラーパスを送ったり、シュートも決められるような……」



「つまり……リベロ?」



 イタリア語で自由を意味する、CDFながら特定の位置に縛られず状況に応じて、動き回り守備だけでなく攻撃にも参加していくポジション。



 そういうポジションがある事は弥一も知っている。



「相手を止めるには相手を知る事も大事。これは案外君が目指している事に繋がっていくかもしれませんし、遅かれ早かれ触れなければ行けない問題です。ならば早い方が良い」



 マッテオは弥一がディーン打倒を目指している事を見透かすように、口元に笑みを見せてリベロを勧める。



「幸い弥一、君は柔軟で身軽です。小柄を逆に武器にする事も工夫で出来るかもしれません。無論君次第ですが」



「小柄を武器……かぁ」



 現代サッカーにおいて身長や体格はあった方が良いとなって、日本でも大型の選手は増えてきている。


 なので小柄な選手は不利と思われ、弥一はそれを補う術を身に着けて来た。



 その不利と思われた部分を有利な武器として活用する、不利を有利に変えれるなら出来た方が良い。




「リベロ、やってみまーす♪」



 迷いは欠片も無い。弥一はこの日から攻撃も意識して、練習に取り組むようになった。



 これがリベロ弥一の誕生。後に自分の小ささを武器にした、ブラインドディフェンスを編み出す事になる。

アドルフ「監督に言われたのがリベロの始まりで、お前の必殺ディフェンスそこからかよ」


弥一「小柄を活かした武器となって、周りがニョキニョキ伸びてくれたおかげで良い技が生まれました♪」


アドルフ「活かし過ぎじゃね!?確かにでっかいのが多いから、お前隠れやすいんだよな。フィールドの外からはともかく中に居ると、マジで分かんねぇ」


弥一「サッカーと同時にかくれんぼしてる感じだねー」


宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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