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出揃う世界のベスト16、天才同士の戦い

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 グループリーグの全試合が終わり、全勝で勝ち上がって首位通過は日本、イタリア、スペイン、ブラジル、この4チームだ。



 他にもベルギー、フランス、ドイツと強豪国が次々と進出を決めてトーナメントは決まってくる。




 決勝トーナメント進出国



 日本 イタリア スペイン ブラジル ベルギー フランス ドイツ アルゼンチン オランダ アメリカ ウルグアイ メキシコ



 3位通過枠



 韓国 ナイジェリア セネガル パラグアイ




 決勝トーナメントの組み合わせで、日本の1回戦はパラグアイに決まる。




「ベスト16まで来るといよいよって感じだな」



「ただのトーナメントじゃなく、世界一を決めるトーナメントだよなこれ……その中に俺ら居るのってよく考えれば凄くね?」



 ホテル近くの練習場で調整をするのも、馴染みとなりつつある代表チーム。その中で冬夜と番が話しながらパス交換をしていた。




「世界のベスト16まで来たし、オランダとか倒したから俺達強いよな?」



「それで弱いっていう方がどうかしてるだろ」



「何だー、お前らベスト16ぐらいで満足してんのか?」



 2人がパス交換をしながら話していると、月城が軽く走ってくればボールをカットして割り込んで来た。



「嫌だぞ?A代表みたいにパラグアイに負けてベスト16止まりってのは」



「満足はしてねーよ、ただ凄いんじゃないかって思ったぐらいで」



 2010年の南アフリカワールドカップ。この時日本は決勝トーナメントに進めたが、パラグアイに敗れベスト16で大会を去っている。



 この記憶は今も日本のサッカーファンに強く残っていて、Uー20でこの組み合わせが再びベスト16で実現されれば、当時を思い出す者は多いだろう。



 テレビや動画の方でもその事が度々触れられているぐらいだ。



 今回パラグアイは3位通過枠に滑り込み、かろうじて決勝トーナメントに進出している。


 持ち前の硬い守備は南米のカテナチオと言われ、堅守速攻がパラグアイのサッカー。



 次の日本戦でも彼らのスタイルは変わらないはずだ。




「わっ!?」



 GKから見てゴール左上隅。速いスピードでコースを突かれた五郎は懸命にダイブして左手を伸ばすも届かず、ゴールネットを揺らされる。



「おっし、流石にあれはゴロちゃんも取れなかったね♪」



 FKの練習で弥一は右上隅のギリギリを狙って右足で蹴れば、ゴールから外れてゴール右上に飛ぶかと思えば、急激に左下へとボールは落ちて行く。



 スピードもあったカーブキック。実際の試合で決まれば文句無しのスーパーゴールだ。




「神明寺の奴、此処に来て調子が上がってないか?前よりFKの鋭さが増しているように見えたぞ」



「確かにカメルーンのボンバ相手に見せ場与えず完封した辺りとか、上がってそうですね」



 練習の合間に弥一を見ている照皇と優也、共に弥一をよく知る2人から見て彼は調子を上げてると感じた。




「もう1本行くよー!」



 今度はすぐに蹴らず、スタートのタイミングを狂わす意地悪なやり方を入れて弥一は五郎を慌てさせる。



 弥一自身も体の調子が良いというのは感じており、此処最近は留学していた頃の夢をよく見るせいなのかまでは分からないが。





 決勝トーナメントの戦いは始まり、此処からは負けたらそこで敗退が確定する一発勝負。



 力を惜しむ事無く各国がぶつかり合い、ベスト8を目指す。



 中でも激しい試合となったのは、ベルギーとオランダのヨーロッパ同士の対決。




 オランダのトータルフットボールで試合を支配し、守備の要アキレスを翻弄すればベルギーの名手ドンメルから2ゴールを奪っていた。



 対してベルギーもルイのスルーパスから抜け出したアドルフがエリア内で倒され、PKを獲得。


 これを倒された本人が蹴って確実に決めれば1点差に追い上げる。




 点の取り合いとなって白熱したゲームに会場のボルテージが上がり、攻撃的な両チームにさらなるゴールが期待される。




「俺のマークお前かよ、わざわざ良いのか?」



 ベルギーのエース、アドルフのマークに付くのはグレンメル。


 かつてのミラン、ジョヴァニッシミのチームメイト同士によるマッチアップだ。



「不本意のPKだったとはいえ、得点して波に乗ってる奴を放置しておく程俺は愚かじゃないって事だ」



 アドルフが得点を重ねれば波に乗って、爆発するタイプのストライカー。その事は昔からの付き合いで知っている。


 なのでグレンメルは彼を放置するつもりなど無い。




 オランダの攻勢を凌ぎ、ルイを中心に繋いで反撃に出るベルギー。



「来てるぞ!もっと素早く回せ!」



 相手の寄せが速いと感じたルイはパスをもっと速くしろと要求。相手を更に上回るスピードで、この状況を打開しようという狙いだ。




『ベルギー、オレンジ軍団の押し寄せるプレスを躱していく!この辺りの速さ、テクニックは流石だ!』



 ただオランダの方も黙って攻められてる訳ではない。司令塔のルイがボールを持つとオランダはすかさずパスコースを塞ぎ、左サイド隅へとルイはドリブル。



 それはオランダの誘導であり、ルイをサイドに追い詰める為の物。思惑通りルイは左サイドのコーナーへ追い詰められる。



「(こんの……!だったら!)」



 このままボールを取られるのは癪だ。ルイが思うと同時にライン際にいる相手の右足にボールを当て、ゴールラインを割ればベルギーのCKと主審の指示が出る。



 無理にクロスを上げたり突破を狙うより、セットプレーを取りに行った方が良い。ルイの狙い通り、ベルギーのセットプレーチャンスとなった。




 左からのCKでキッカーはルイ。右足で高くゴール前へと上げれば、外から飛び出して突っ込んで来た長身DFアキレスが、思いっきりヘディングを叩きつける。



 勢いに乗った力あるヘディングは地面を強く跳ねて、GKフォルツのセーブを躱してゴールネットを揺らしていた。



『べ、ベルギー同点ゴールー!!オランダの2点差から追いついた2ー2!!』



 値千金の得点を決めたアキレスへと、アドルフやルイといったチームメイト達が駆け寄り、喜びを爆発させて祝福していく。



 同点ゴールが決まりスタジアムのボルテージは最高潮だ。



「足りない足りない!もっと上げてけー!」



 これにアドルフがもっとだと観客を煽り、会場をベルギーのペースに持っていこうとしていた。




 2点のリードを奪って有利だったはずのオランダに焦りの色が出て来る。追い上げたベルギーが優勢で、試合は進み終盤を迎える。



『オランダ、ゴール前!アキレス頭で弾き、ガンター撃った!ドンメル防いだ!!近距離のシュートをビッグセーブ!』



 右サイドから攻めて来たオランダの高いクロス。アキレスが頭で弾くも再びエリア内にボールが送られて、オランダに近距離のシュートを許すが、ドンメルの右手が勝ち越しゴールを阻止。



 混戦の中、蹴り出されるとルイがボールを受け取って、ベルギーのカウンターが発動する。



 ルイから矢のようなパスが右足から繰り出されると、その先には相棒アドルフの姿。




 勢いあるパスをアドルフは難なくトラップ。目の前にはグレンメルが立ち塞がっている。



「(勝ち越しゴール、このタイミングで決めるっきゃないよな!)」



「(此処で逆転を許してたまるか!オランダをこれ以上負けさせるか!!)」



 互いの意地がフィールドでぶつかり合う。ジョヴァニッシミの天才達によるハイレベルなデュエル。




 アドルフが強引に右足でシュートに行く、と見せかけて切返しのキックフェイントを見せるが、グレンメルは釣られず。


 そこに今度は左足でアドルフはシュートに行こうとしていた。



「(これもフェイント!本命は3度目の右だ!)」



 読み切っていたグレンメルは2度目のキックフェイントにも騙されない。読み通りアドルフの左足はフェイントだった。



 その直後右足でシュートに行く。これを狙って、グレンメルはブロックへと踏み切って飛び込む。




「!?」



 次の瞬間グレンメルの顔が驚愕に染まる。2度のキックフェイントからの右足が本命と思われたが、アドルフは右足のシュートと見せかけて切り返し、3度目のキックフェイントでグレンメルを躱す。



 残ったアドスやDF達が寄せて来る前に、アドルフは今度こそ左足を振り切りシュートに行った。



 フォルツから見て不規則な揺れ、ミドルレンジから放たれたシュートは無回転となって、弾丸の如くオランダゴールに強襲。



 目測を誤ったフォルツはこれを取る事が出来ず、ゴールネットが今日一番の豪快な揺れを見せていた。



『逆転ー!!アドルフ恐るべし!ベルギー恐るべし!2点差をひっくり返して3ー2!ついに逆転勝ちだー!!』




「うおーーー!!」



 ベルギーサポーターの居る方へと走りながら、ユニフォームを脱ぎ捨てたアドルフ。鍛え上げられたシックスパックを披露しながら、大歓声のスタンドへと向かって猛々しく吠えた。




 一通り喜んだ後に主審が駆け寄って来ると、アドルフにイエローカードを与えていた。



「ああ、バカ……!」



 これにはルイも頭を抱えたくなる。幸いなのはまだ今大会1枚目であり、次の試合も出られるという事だ。


 ゴール後にユニフォームを脱ぐのを我慢してたが、この逆転ゴールでアドレナリンが爆発したのかもしれない。




 逆転したベルギーはこれを守りきって試合終了を迎え、ベスト8へと進む。



「(畜生……!またオランダの世界一、お預けかよ……!!)」



 フィールドに倒れ込むグレンメル。世界一への挑戦が此処で終わってしまい、彼のオランダは敗退が決まった。



 スペインの青空を見上げて彼は悔しさで涙する。そこに差し伸べる手が見えた事に気付き、涙でぼやけ気味の視界のままグレンメルは手の方へと見る。



「やっぱお前の相手面倒だよ。セカンド滅茶苦茶拾われてやりづらかったし」



 差し伸べてくるのはかつてのチームメイトだったアドルフ。グレンメルは涙を拭うとその手を掴んだ。



「うっせ……こっちの台詞だ、3連続キックフェイントなんかかましやがって……その上無回転の弾丸ミドルなんかふざけんなっての……」



 悔しさを隠さず、涙声で話すグレンメル。



「そこまでやんなきゃお前らからゴール奪えなかったんだよ。オランダも強かったって」



「……次、脱ぐんじゃねーぞ。出られなくなっても知らねぇし」



「……努力する」



 勝ったベルギー、アドルフに後を託すグレンメル。またゴールパフォーマンスで脱がないようにと言われれば、アドルフはそれに関して自信無さげだった。



 この後にルイから口酸っぱく注意されるのは言うまでもない。





 同じ頃、日本対パラグアイの試合もキックオフの時は近づいていた。

ディーン「分かってはいたが」


ランド「うん、そうだなぁ」


クライス「分かりやすい」


リカルド「予想当たったよな」



「「やっぱアドルフ我慢出来ず脱いだな」」



弥一「うーん、間の話といいアドルフの脱ぎネタ続いてるから、次は禁止だからね作者ー。同じネタ続けてやっちゃダメー」


優也「間の話に無ければ次は大丈夫そうだろ」


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サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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