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サイキッカーDFと天才集団の過去2

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 ジョヴァニッシミに来て最初の練習。彼らのレベルの高さについていけなかった弥一。



 特に見せ場が無かったので、選手達はこれで心が折れるだろうと思っていたが、次の練習日に彼らは驚かされる。




「左外行って外ー!来てるよー!」



「後ろから上がってるー!」



 ガンガン声を出しまくり、誰よりもコーチングしている弥一の姿があった。



 イタリア語で言っているので選手達に伝わると、連携で相手の攻撃を阻止。


 セカンドを弥一が蹴り出して、正確に前へとボールは飛ばされていく。



「あのジャッポネーゼ(日本人)、何か動き違わないか?」



「まさか、よく声を出すようになったけど……まぐれだろ」



 初日と違ってイタリアのサッカーに対応してきている。もう本場のカルチョに慣れたというのか?と見ていた選手達に戸惑いが生まれる。



 その中で1人リフティングをするディーンは時折、弥一の方を見るようになっていた。




 更に次の練習、一度は抜かれて決められたアドルフと弥一は再びデュエルで争う。



 ボールを持つアドルフが上半身の速い動きで弥一を惑わすと、足元は動いて弥一の股抜きを狙った。



 股の間に来るボール、弥一は初日とは違い落ち着いて読むと、右足で来た球を止める。



「うおっ!?」



 止められたアドルフ。弥一は彼の横をボールと共にスッと抜けて、初日抜かれたお返しとばかりに抜き返す。



 その後に弥一のパスが起点となりカウンターで1点を奪い、自チームの勝利に貢献する。




「俺のベルギーの友達より小さいのにやるなぁー、確かー……ヤイチか?」



「そうそう、ヤイチ・シンメイジね。アドルフ・ネスツ君♪」



「あ、俺覚えてんのか!」



「脱ぎたがりで有名だからさー」



 周囲がほとんどイタリア人というのもあり、日本の弥一とベルギーのアドルフはこれがきっかけで交流を深めるようになった。




「そんな凄いなら初日どうしたんだよ、調子悪かったのか?」



「イタリアに渡るまでずーっと勉強しててサッカーちょこっと遠のいてたせいかなぁ、ブランクあったのと此処のスピードとかに慣れてなかったんだー」



 問題無く現地でも生活出来るようにイタリア語を勉強しまくっていた弥一。引っ越しやパスポートの手続きやら色々あったので、サッカーの練習どころではなかった。



「(それを僅か数回ぐらいで修正、適応……こいつ凄ぇかも)」



 自分でもミランのサッカーについて行くのに苦労していたディーン。それを短期間でついてきた弥一を凄いと感じる。




「少しいいか?」



 弥一とアドルフが話していると、ディーンが近づいて声をかけてきた。



「え、俺?」



「いや、小さい方に用事だ」



 アドルフに用があるのかと思えば小さい方、ディーンがそう言うと弥一へと視線を向ける。



「ちょっとあっちのグラウンド行かないか?」



「ん?良いけどー」



 弥一は誘われるがままにディーンの後を歩いてグラウンドに向かう。そこは今空いていて誰も使っていない状態だ。





「(気になってついて来ちまった)」



 こそっとアドルフが物陰から、フィールドに立つ弥一とディーンを見る。一体何の話をするのか気になったが、彼の位置からでは2人の話は聞こえてこなかった。




「最初に比べて随分とマシになった。お前の適応力には驚かされる」



「正直言えば最初ボロ負けだったのが悔しかったから、感覚とか覚えてる内に家で練習したりはしたけどねー」



 初日の練習を終えた後、弥一は体感した事が残ってる内に自主練を重ねていた。彼らの高い技術を学び盗むだけではない、心を読んでから可能な限り素早く動ける事を意識したりと。



 サッカーの基本パス&ゴーならぬ、ブレイン&ゴーだ。




「それで短時間でアドルフに対応する程までになるか、なら俺にも対応出来るのか……興味が出て来た」



 フィールド上でボールを足元でキープしたディーンは弥一と向き合う。



「俺と1on1、やってみるか?」



「……良いね、僕も君の事興味深いって思ってたし」



 サッカーボールの扱い一つ見るだけで、彼はとてつもないと分かってしまう。このミランで凄い選手は沢山見てきたが、ディーンのような選手は初めてだ。



 一体彼はどんなサッカーをするのか、弥一は1on1を受ける。




「っ!?」



 心を読んだはずだった、こう来ると分かっていた。



 ただ彼は弥一の心の読みの上を行く。ボールとまるで一体化しているようなドリブル、兼ね備えたスピード&テクニックによるフェイントで瞬く間に置き去りにされる。



 彼のユニフォームを掴む事すら出来ず、弥一は抜かれ続けてディーンに既に2桁のゴールを許してしまう。




「時間だ、遅くなる前に今日は此処までにしておこう」



 何度目なのか数え切れない程のゴールを決めたディーン。時間だと言って先に引き上げて行く。



 フィールドに残ったのは呆然と立ち尽くす弥一のみだった。




「ヤイチ……あいつは、なんつーか別格だ。神童やイタリアサッカーの救世主って言われるぐらいにこのミランでも特別な存在の奴でさ……」



 放ってはおけず、物陰から見守っていたアドルフが出て来て、慰めのつもりで声を掛ける。



 その時、弥一のお腹の音が我慢出来ず鳴っていた。



「よし、腹減ったんだな。美味いパスタでも食おう、うん!」



 ショックを受けてるであろう弥一を連れて、共に食事へと向かうアドルフ。




 あまりの異次元のレベル、弥一としては見たことが無い。ただの一度も彼を止める事は出来ず初日以上のボロ負け、完敗だ。



 その後アドルフと共に本場イタリアの美味しいカルボナーラを食べて、落ち着いた弥一はこのイタリアでの目標が決まった。



 異次元レベルのディーンを止めて完封する事だ。

弥一「あの時のカルボナーラは美味しかったね〜♡チーズや卵に黒コショウが良いアクセントで……思い出したらまた食べたいー」


アドルフ「そっちかよ!?絶対メインはディーンとの1on1だろうが!」


弥一「ああ、うん。そんな方法で抜くのかって驚かされまくり、あれこそファンタジスタだねー」


アドルフ「あいつの場合はそこに異次元が付くけどな、当時からホント化け物だったよ」


弥一「おっと、此処で大事な事を一つ」


アドルフ「ん?」


弥一「イタリアのカルボナーラは生クリーム使わないよー!」


アドルフ「そこどうでもよくねぇ!?」


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