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サイキッカーDFと天才集団の過去

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「神明寺弥一です、よろしくお願いしますー♪」



 小学校を卒業後、イタリアへと母子共に渡った弥一。



 勝也と同じ中学に通う選択肢もあったが、勝也の兄である太一からの強い勧めで、彼によるコネのおかげでイタリアが誇る超名門クラブ、ミランの下部組織であるジョヴァニッシミへと入る事が出来た。



 見知らぬ地で日本語の通じない場所。それに備えて弥一は動画サイトで楽しく覚えられるイタリア語講座の動画を見まくり、そこでサッカー以外の才能が開花。



 イタリア語のみならず英語等の他の国の言葉も話せるようになって、多国籍のミランに偶然にもフィットする形になる。




「(こんな小さいのがカルチョ?出来んのかよ)」



「(どうせ何かの記念で入っただけですぐ辞めるだろ)」



 小学生の時、全国三連覇の偉業を柳FCにて達成したが、イタリアではその肩書きは無力。


 彼らからすれば弥一は無名な日本人のチビに過ぎない。



 これがサッカー後進国と言われてた頃だったら、もっと舐められていた可能性がある。



 その彼らが思っている事は生まれ持った心の読める力で、弥一に筒抜けだった。




「(はやっ!?)」



 弥一を下に見ている者達はしっかりと実力ある者達ばかり、弥一から見れば今まで体感した少年サッカーと比べて全然違う世界が広がる。



 1人1人の動き出しが早く、トラップが正確でパススピードも速い。


 日本の柳FCも名門と言われたが、そこと比較しても速いぐらいだ。




 何より迫り来る攻撃陣の気迫が違う。



「っ!?」



 どう来るかは読めていたが、スピードやテクニックと全てが違ってぶつかるパワーも日本の時より全然強い。


 新鮮で驚きからか、合気道で捌く暇は無かった。



「決まったー!」



 ベルギーから来た天才少年のアドルフ。鮮やかに弥一を抜き去ってゴールを決めれば、ユニフォームを脱ぎ捨てて喜んでいた。



 何故練習でもわざわざ脱ぐ、という視線を受けながら。




「(海外に来ると全然違う、これが世界……)」



 別次元のサッカーを見たような気分の弥一。初日は特に良い所を見せられず、ため息をつきたくなるような出来だ。


 いきなりイタリアの名門で自分がトップになれると思って来てはいないが、こんなにも日本の時と違うとは思わなかった。




「イタリアに限らず世界じゃあれぐらいのレベルは当然だ、日本人」



 その弥一に話しかけて来たのは金髪の少年、練習の時はいなかった人物だ。



「皆死に物狂いでミランのレギュラーは欲しがる。トップチームだけじゃなくプリマヴェーラ、ここジョヴァニッシミも例外じゃない。此処には限られた席を常に狙う獣しかいない過酷な場だ」



 強い者だけが生き残り弱い者は食われるのみ。弱肉強食の世界だと彼は弥一と話したまま、足元のサッカーボールを器用に右の踵でリフティングしてみせる。



 相当上手い、それで片付けられるレベルじゃないと弥一は感じていた。




「お前DFだろ、なら獣を狩り尽くす狩人にでもならない限り此処では通じない」



 それだけ言うと少年は踵で弥一へとボールを送り、それを弥一は咄嗟にトラップ。



「何でわざわざ僕にそういうの教えてくれるの?」



 自分に対して助言みたいな事を言ってくれる。何故そういってくれるのか弥一は気になって尋ねる。


 彼から見て自分は取るに足らない日本人ではないのかと。



 心でも見てみたが今ひとつ彼の考えは掴み取れない。確かなのはある事への強い想いがあるというのぐらいだ。




「俺もそれは分からない、期待なのかただの気まぐれか……まあ好きに思っとけ」



 それだけ言うと、少年はクラブハウスの方へと入って行った。




 彼から感じたのはイタリアに対する強い想い。その正体がイタリアの神童であるサルバトーレ・ディーンだという事を弥一は後に知る。


 それと同時に此処から獲物を狩る狩人としての覚醒が始まる時でもあった。






「ふあ……?」



 弥一はベッドの上で天井を見上げていた。



 夢の世界から戻ったばかりで意識は覚醒しきっていない。それから時間が経過すれば弥一は夢を見ていた事を思い出す。



「(昨日見たイタリアの試合のせいかな、懐かしい夢見ちゃった……)」



 初めてイタリアへ渡り海外サッカーの洗礼を受けた初日、そこでディーンと始めて出会った時。



 あれから数年の時が経過。互いの国の代表となって国際舞台で戦う事を、あの時の自分は想像出来ただろうか。




 懐かしい思い出に軽く浸りながら起床し、Uー20ワールドカップを戦う弥一の今が再び動き出す。

弥一「あの時は色々あって本場のパスタもピザも味わう暇が無かったねー、リゾットは食べたけどー」


優也「しっかりイタリアの物を食べてるなそれは」


大門「柳FCって日本一に何度も輝いたクラブじゃないかそこのDFでも凄い苦労してるって流石イタリアの名門……!」


弥一「いやー、あの頃は初々しく若かったね♪」


優也「……限界だ、お前ツッコめ大門」


大門「ええ!?無茶言わないでくれよ……!」


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