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Uー20ワールドカップ グループリーグ予選 日本VSオランダ

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 グループリーグ2戦目。日本とオランダの試合が行われるスタジアムは早くも大勢の観客によって、ほとんどの席が埋まろうとしている。



 グループ首位を争うチーム同士の大一番。共に初戦を大勝と、注目度が上がってる影響なのだろう。



 フィールドのアップに一足先に現れたのは日本。全体的に動きは軽快そのもので、調子は良さそうだ。


 僅かに遅れてオランダの方も姿を見せる。




「おや、日本チームに懐かしい顔が居るじゃないか」



 日本チームがアップをしていると、オランダから1人の選手が近づいて行き、ボールを軽くリフティングする弥一に声をかける。



「やあグレン♪ジョヴァニッシミ以来だねー」



 かつてのチームメイトであるグレンメル。彼が声をかけてくれば、弥一も明るく笑って挨拶を交わした。


 共に会話は英語だ。



「そうだよ。お前がいきなりミランを飛び出して辞めてから、もう3年ぐらいが経つからな」



「あはは〜、そういう事もあったねー」



 兄貴分の勝也が亡くなった事は、ミランのチームメイトに伝えていない。なので彼らからすれば突然辞めたと思ったのだろう。



「勿体ない事この上ない。あのまま居たらディーン共々ミランのトップチーム行っていたかもしれないのに」



「まあ、うん。どうしても日本に帰らないといけなくなったからねー」



 当時共にジョヴァニッシミでプレーしたグレンメル。弥一と多くの試合に出続けて実力の高さは知っている。


 なのでミランに残らなかったのは勿体ないと思っていた。



 今でもディーンやグレンメルと実力ある若手が居て強いミランだが、そこに弥一も入っていたら、更に完璧な強さを持ったチームになっていたはずだと。



「ああ……立見とかいう歴史の浅いチームにわざわざ行ったんだったな」



「歴史浅いけど今は敵無しだよー?後輩とかもう凄いの居たりするしさぁ」



 弥一が凄い後輩の自慢話をしようとしていた時。




「だったらこの試合、俺達オランダに勝てねぇよ」



 グレンメルは不敵に笑って日本の負けを宣言する。その言葉を聞くと、先程まで笑っていた弥一の笑みは消えた。



「こっちは日々プロの試合を経験し、日々レベルアップしている。ジョヴァニッシミの時より確実に強い。それに対してレベルの低い環境に行っちまったお前は……強くなってんのか?」



 当時よりレベルや環境の劣る場所に行って、強くなっているとは思えない。それに比べてグレンメルはミランのトップチームで、プロのサッカーに日々触れ続け、レギュラーを獲得したりと間違いなく当時より強くなっている自信がある。



「お前がこれまで築き上げた無失点記録は今日で終わりだ。俺達オランダのトータルフットボールによってな」



 自信に満ちた笑みを見せたまま、グレンメルは自分のチームへと戻り、アップに務める。




「弥一、あいつミランのグレンメルだろ?何か話していたのか?」



 そこに優也が弥一へと駆け寄り、2人が話してるのが見えたので、どんな会話をしていたのか気になり、聞いてみた。



「んー、世間話に負けないぞって言われたぐらいだね♪」



 弥一は優也へと何時も通りのマイペースな笑みで答え、アップへと戻る。


 自分が立見で戦って経験してきた事がレベルの低い環境、と言われた言葉は伏せておく。





『グループリーグ2戦目、日本がドミニカを大差で下せばオランダはこのグループの最も強豪と言われたカメルーンを大差で撃破!共に勢いが乗ったまま今日の試合を迎えます!』



『オランダは持ち前のトータルフットボールで攻撃的に来ますからね。これに日本がどう挑むのか、今回激しい試合になりそうですね』



 日本とオランダ、大一番となる試合会場は満員。大歓声に迎えられて日本とオランダは入場していく。



 それぞれ流れる両国の国歌斉唱。後に選手達は互いにタッチを交わし合う。




 日本のキャプテン藤堂が前に出て行くのに対して、オランダの方は赤い坊主頭に近い髪型のアドスが出て来た。


 195cmと大型のCBでオランダDFの要だ。



 コイントスの結果は日本が先攻。藤堂とアドスが握手を交わした後、両者は円陣へと加わりに戻る。




「前半から行くぞ、日本の守備を叩き壊す」



「グレン、初戦のカメルーンよりもやる気じゃないか」



「気の所為だろ」



 グレンメルは最初から仕掛けようと、チームメイトに伝えれば皆が頷く。その後にアドスが声掛けで士気を高めた。




「相手は超攻撃サッカーのオランダ。文字通りの全員攻撃が飛んでくるから、守備は何時も以上に気を引き締める必要がある」



「僕達が大事になってくるね」



「うん、頑張って行こう」



 藤堂から気を引き締めるよう告げると、円陣で隣同士の影山と春樹は互いに声を掛け合う。


 ダブルボランチを組むこの2人も今回かなり大事になってくるはずなので、彼らの働きが勝利を左右すると言っても過言ではない。



「向こうの圧とかに負けるなよ、トータルフットボールを倒すぞ!」



「張り切ってますねー、タツさん頼りにしてますよー♪」



 久々の代表戦で気合いの入る辰羅川。弥一の明るい声がかけられると、藤堂が声掛けで締めて各自ポジションへと走る。




 ダークネイビーのユニフォームの日本、GKは黄色。



 オレンジのユニフォームのオランダ、GKは緑



 Uー20日本代表 フォーメーション 3ー5ー2



     酒井   源田


      18     21  



 月城    緑山     辰羅川


  2     19      16



     影山    天宮


     15     17



   青山 神明寺 仙道(佐)


    3   6   4



       藤堂


        1




 Uー20オランダ代表 フォーメーション 4ー3ー3



   サガト メンディナ ゴーグ


    11    10     9



     ガンター  シールマン


       8        7



       グレンメル


          14



 マーガ  アドス  トルネイ  デア


  2     6     3     4



        フォルツ


          1




「何だ、あの野郎共。睨んで来やがって……」



 センターサークルに置かれたボールの前に立つ狼騎と光明。その時、自分達への視線に気づいて狼騎が視線を向けると、オランダの何人かが彼らを睨むような目で見てきていた。



「キックオフまで戦いが待ち切れないって感じかな?激しく来る事は覚悟しとこう狼騎」



「チッ、そんな事は分かってんだよ」



 光明は狼騎に警戒するよう伝えると、彼の方はとっくにそう来るだろうと分かっていた。





 ピィーーー




『日本対オランダ、グループ突破のかかった大一番が今キックオフ!』



 狼騎が軽く蹴り出し、光明が後ろの明へと戻せばまずは無難な立ち上がり。




「っ…!」



 明がボールを受けた途端、前線のサガトが体を激しくぶつけて来る。そこにメンディナも加わろうとしており、いきなりオランダはハイプレスを仕掛けていた。



「こっちだ!明!」



 右サイドの辰羅川がボールを要求。明はサガトの股下を通してのパスを混戦に紛れて蹴る。


 これが上手く通り辰羅川は前を向こうとするが、そこにもオランダ選手は居た。



「くっ!?」



 左SDFのマーガは何時の間にか此処まで上がっており、辰羅川からボールを奪おうと激しくチャージ。



「タツ!」



「!」



 近くの春樹が声をかけ、その姿が見えると辰羅川は素早く春樹へとショートパスでボールを預ける。




 その瞬間、オランダの選手がすかさず春樹へプレスに向かうが、彼はそれよりも早く行動していた。



『中盤をすっ飛ばしてロングパスだ天宮ー!』



 前線に居る光明へと向けてハイボールのロングパス。右足で蹴られたボールは高く上がって、オランダのゴール前まで運ばれた。



 落下地点でタイミングを見ると光明は地を蹴って跳躍。スペインの空へ舞えば頭で合わせに行く。



 対してオランダもこれを大人しく見ているはずが無く、アドスもジャンプして光明と空中戦になる。


 身長以上に高いジャンプを見せた光明だが、195cmのアドス相手に高さで勝つのは困難。ボールはエリア内にこぼれて転がる。



「(貰った!)」



 セカンドボールに対して抜群の反応を見せる狼騎。素早く詰めてシュートに行ければ先制のチャンスだ。




「ぐっ!?」



 追いついたかと思えば、それよりも早くボールに詰めていた者が居て狼騎は行く手を遮られてしまう。



 グレンメルが誰よりも早く、このセカンドに追いついていたのだ。



「獲物はやらんぜ、オオカミ君よぉ!!」



「っ!」



 前へと大きく蹴り出し、グレンメルがこのピンチを救うとオランダはセンターサークル付近で、影山とゴーグが空中戦で競り合うもゴーグの方が高く、これを頭で落とすとシールマンが拾ってガンターに繋ぐ。



『カウンターだ!日本危ない、サイドが空いているぞ!』



「やばい!右が!」



 空いている右サイドからオランダ。デアが上がってくれば番の目が向く。



 しかしこれはデコイ。番が向こうへ気を取られると、ガンターからフリーのメンディナにパスが出される。




「っとー!危ないね!」



 それを(心を)読んでいた弥一がメンディナへのパスをインターセプト。


 日本のピンチを1つ救う。



「(んじゃ、一気にカウンター返し!)」



 弥一はオランダの意識が攻撃に向いている間、誰のマークもまだ付いていない明をターゲットに、得意の正確無比な速いスピードのパスを右足で放った。



 低い弾道で寸分の狂い無く、ボールは明の元へと向かう。




「(そう来ると思ったぞ弥一!!)」



 だがこれをグレンメルが読んでいて明の前に立つと、シュートの勢い並にあるはずのボールを、右足のインサイドでボールの勢いを完全に殺し、弥一のレーザービームを思わせるパスを完璧に取ってしまった。




「(あ〜……日々プロの世界で戦ってるのは伊達じゃないかぁ)」



 オランダとグレンメルの壁の厚さを感じた弥一。日本のグループリーグ最大の戦いはまだ始まったばかりだが、序盤から火花散る攻防が続く。

大門「攻撃していたかと思えばあっという間にゴール前まで持ってかれた……!」


優也「まだ序盤だ、これがずっと続くんだからな」


冬夜「きっちぃなぁ、守備は特に。流石本場の全員サッカーは一味違うってやつか?」


五郎「近年不調で大きな大会予選落ちが続いていたなんて思えないです!」


優也「オランダだけじゃなくイタリアもそうだった、サッカー強豪国だからと言って必ず毎回大舞台に出られる訳じゃない、やっぱり分からないものだな……サッカーっていうのは」


宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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