Uー20ワールドカップ グループリーグ予選 日本VSドミニカ
※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。
スペインの地にて開幕の時を迎えたUー20ワールドカップ。規模が例年よりも大きくなり、多くのスポンサーが付いて開会式から世界中で生中継が流れる。
開幕戦から互いの国の選手が熾烈な争いをすれば、そのサポーター達も熱い声援を送っていた。
ゴールが決まれば大盛り上がりする一方、決められた方は激しく落胆。
大会の熱が上昇し続ける中で日本チームの試合の時はやって来る。
試合会場へと専用バスで移動し、入って行けばアップ前に最終確認のミーティングが行われた。
「ドミニカは全体的に体格の良い選手が揃っていてアメリカ、オーストラリアのタイプに近いですね。徹底した守備からの速攻を得意としています」
マッテオがドミニカの特徴について改めて説明。データ上ではどの選手も体格に恵まれて大男が揃っている。
そうなると厄介なのは、長身を武器としたハイボールとセットプレー。こういう相手に極力CKは与えたくないものだ。
「確か予選でアメリカもドミニカから得点するの苦労してたしな。デイブの頭でやっと1点とれたぐらいだ」
「北中米の予選見てたんだ?」
「休んでる時やる事無くて暇だったからな」
ドミニカの試合についてはアジア予選で怪我をして、戦線離脱中だった政宗がチェック。以前日本が試合したアメリカが、ドミニカから1点を取るのに手を焼いていたのを確認している。
1ー0でアメリカが勝っているが楽な試合ではなかった。それだけ向こうのサッカーが強くなっている証拠だ。
「もう何度も大男とは戦って来た。今更ビビる事はないさ」
代表だけでなくフランスで、自分より体格ある相手と散々渡り合ってきた白羽。強気に笑って立ち上がれば、先にドアを開けてロッカールームから出る。
時間はもうすぐ予定のアップを行う頃になろうとしていた。白羽に続き、他の日本選手達も外のフィールドへと向かう。
先にドミニカの選手が来てアップを行っていると、彼らは日本選手に気付き一瞬視線を向けるが、すぐにまた準備の方へと戻る。
「(ふーん、そう来る……)」
彼らドミニカが何を考えているのか、それが分かるのは心が読める弥一だけ。
弥一は相手となる大男達を見ていたが、数秒程で視線を外し同じくアップに集中する。
『ついにこの日が来ました、Uー20ワールドカップ。若き日本代表の世界一への挑戦!過去に女子がワールドカップを制覇しましたが男子はまだ一度も無し、今回の日本はどうなのか!?』
『今回の日本は歴代最強の黄金世代と言われていますからね。やってくれる……そう思いたいですよ!』
『最高成績はまだワールドユースと呼ばれた頃の準優勝。それを超えるか楽しみですね!』
スペインの空が見えるスタジアム。フィールドに審判団と共に選手達が入場すれば、四方八方から観客の歓声が上がる。
「(やっぱデカいな、ドミニカ。良い筋肉をしている)」
ドミニカの列を入場前にちらっと、横目で見ていた先頭を歩く藤堂。彼自身の体格はドミニカに負けてはいないが、日本チーム全体からすれば大きく見える。
ユニフォームの上から分かる、彼らの鍛え上げられた強靭な筋肉。見るからにパワーが優れてそうだ。
ドミニカのキャプテンはGKアーマード。藤堂と同じくらいの身長なのは向かい合って分かる。
コイントスの結果はドミニカが先攻。GK同士互いに握手を交わした後、決められた陣地へと向かう。
「大事な初戦だ、確実に勝って勝ち点3を取りに行く。相手の当たりに怯むなよ!」
円陣を組み、藤堂の掛け声に各自が頷けば散ってポジションへと向かう。
ダークネイビーのユニフォームの日本、GKは黄色。
白をベースとしたユニフォームのドミニカ、GKは緑
Uー20日本代表 フォーメーション 3ー5ー2
照皇 室
10 9
月城 三津谷 白羽
2 8 7
仙道(政)八神
14 5
青山 神明寺 仙道(佐)
3 6 4
藤堂
1
Uー20ドミニカ代表 フォーメーション 5ー4ー1
ロンテリ
9
ガラッド
10
ベイト ハンブロス オルジェ
7 8 11
トラット ブルグ ゲン タリー ゴリア
2 6 5 3 4
アーマード
1
センターサークルにドミニカのロンテリ、ガラッドの2人が立ってキックオフの時を待つ。
ピィーーー
『日本対ドミニカの試合が今キックオフ!ワントップのロンテリが軽く蹴り出し、司令塔のガラッド……おっと!?ブルグいきなり上がって来て蹴ったーー!』
「!?」
開始早々にキックオフシュートを狙ったドミニカDFブルグ。センターサークルから力ある右足の超ロングシュートで、ボールを日本ゴール目掛けて飛ばす。
「だっ!」
強烈なシュートが想真の左肩に当たり、ボールはゴールマウスから逸れるも日本のゴールラインへと跳ねて向かう。
このまま行くと早くもドミニカのCK、セットプレーのピンチだ。
「(よし……!)」
開始前、ドミニカは狙っていた。開始早々のシュート、決まらずともセットプレーに持ち込めれば良い。
こんな大舞台の初戦でそう来るとは、誰も思いはしないだろうと大胆な奇策を実行する。
彼がいなければ成功していたかもしれない。
「(持ち込ませないよーっと!)」
ただ1人心を読んで奇策を知っていた弥一。ゴールラインを割ろうとしていた所にボールを取って止める。
『大胆なドミニカのキックオフシュート!八神に当たっていたのでラインを割っていたらドミニカのCK、セットプレーのピンチを迎える所でした!』
『これは神明寺君よく取ってくれましたよ、相手のセットプレーは与えないのが一番ですからね』
弥一がボールを取れば政宗へパス。ドミニカの守備は引き気味で、日本の前線にはそれぞれマークが付いている。
中央は特にガチガチに固め、トリプルボランチの陣形はアジア予選で戦ったオーストラリアを思わせた。
「こっち!」
月城が持ち前のスピードで、ドミニカのマークを一瞬外す事に成功。ボールを持つ政宗へと右手を上げれば、パスを要求する。
『仙道政宗から月城、しかし密集地帯!月城得意のスピードは活かしづらい!』
『ゴール前全員下がってるんじゃないかってぐらい多いですよね』
「(うじゃうじゃいやがって!だったら!)」
長所を活かしづらい状況に月城は小さく舌打ち。ゴール前で待ち構える日本の一際大きな存在に気づけば、左サイドから得意の左足で高いクロスを上げる。
ドミニカの高身長にも負けない日本の巨人と言われる室。相手DFのブルグと空中戦で激しく競り合いながらも、強引に力でヘディングへと持っていく。
100%完璧ではないが、ゴールを捉えた室の頭。
それにドミニカのGKでキャプテン、アーマードが落ち着いて正面でキャッチング。
『室のヘディングー!日本も1本目のシュート、これはドミニカGKアーマードがキャッチしました』
『硬いですねドミニカのゴール前、これだけ大男が固まってるのは日本にとってやりづらいかもしれないです』
大舞台での開幕戦だからか、ドミニカは失点を避けようと超守備的だ。
無論チャンスあれば彼らはカウンターを狙っている。勝ち点3が取れれば、グループリーグ突破に大きく近づく事は間違い無い。
負ければ0、引き分けなら1、その中でチームの戦い方は千差万別。
日本が攻めるのに対してドミニカはひたすら守る。
「ドミニカあまり積極的に攻めては来ないですね、此処は勝ち点1でも構わない……と考えてるんでしょうか」
「グループリーグの戦い方は色々ありますからね、2位狙いの突破をしてくるチームもいます。ドミニカはGKのアーマードを中心に守備が堅く失点が少ない、その長所を活かしての戦い方でしょう」
日本ベンチから戦況を見守るマッテオと富山。ドミニカの動きを観察していて、あまり攻撃に積極的ではないと感じていた。
「(巻き込まれて勝ち点1は嫌だなぁ、どうにか先制……あ)」
前線がドミニカのゴールを割ろうと攻め込み、ドミニカがそれを凌ぐ。弥一が後ろから静観していて手段を考えていると、頭の中でふと思いつく。
そして彼の視線は声を上げて鼓舞する番へと向いていた事に、番本人が気付かないままだ。
五郎「何時も思いますが、海外の大きな皆さん普段何を食べてるんでしょうか?」
春樹「そりゃあ、国によっては違うだろうね。もしかしたらジャンキーな物食べてるかも分からないし」
影山「かと言って食べ過ぎたら横に大きくなりそうだから、やっぱバランス良く食べるのが一番、なんだと思うよ」
優也「バランス良く……弥一とか結構好きに食べてるから、それ守れないからあの小ささか?」
五郎「僕結構バランス良く食べてるつもりですよー!?」
大門「う、うーん……人体についてはまだまだ分からない事だらけだなぁ……」
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