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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第16章 アジアをぶっ壊せ!Uー20アジアカップ
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伝説の再現

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「うぉらぁぁ!!」



 180cm超えの男達がカタールの空に舞う、ボールへと向かって跳躍。雄叫びを上げながら佐助が相手FWのアルゴと、空中戦でぶつかり合う。



 佐助の頭が勝つとボールはヘディングで日本ゴールから離れて飛び、フィールドに落ちて転がって行く。



「おっしゃ!ナイスや佐助さんー!」



 転がるボールを素早く想真が拾ってキープ。攻勢を強めて来るオーストラリアに対して守り続ける日本。



『仙道佐助強い!八神もセカンドをいち早く拾って良いフォローだ!』




「(弥一や佐助さんに負けてる場合じゃねぇ!俺だって!)」



 想真から一旦横パスで番にボールが来る。すると番は前を見据えて、光輝へと長いパスを送った。



 合宿やこの大会中、光明に言われてパスを磨いたり、体幹を鍛え直したりした。


 その彼から蹴られたボールは正確に光輝の足元へ飛んでいて、光輝はそれをトラップする。



「(お、良いパス蹴るようになってきたな)」



 間近で見ていた光明。最初に番とパス交換した時よりも良いボールが蹴れている。


 助言を素直に聞き入れ、努力の成果が見えていた。




「くぁっ!」



 光輝から左サイドへのスルーパスに飛び出した月城だが、ケリーの長い足に捕まり、ボールをタッチラインへ出されて速攻を止められてしまう。



 立ち上がるも月城は息を切らし、体力の限界が近かった。


 そのせいか自慢のスピードは鈍り、今のパスに抜け出し切れなかったのだ。



 日本ベンチは素早く動き、冬夜が交代準備を終えている。



『日本はこのタイミングで選手交代。左の月城に代わって広西が入ります』



『左を中心にかなり動き回ってましたからね月城君。パフォーマンスが低下する時間帯ですし、良いタイミングの交代だと思いますよ』




「しんど……!後任せたわ……」



「おう、ゆっくり休んでな!」



 軽く言葉とタッチを交わして、月城と冬夜は交代。




『広西、ケリーを突破ー!』



 代わって入った冬夜。オーストラリアの右SDFケリーと対峙すると、前にボールを蹴って股下を通過させる。


 冬夜はすぐにダッシュを開始。ケリーの左を抜くと通過したボールを追って、スピードに乗り追走する。



 そこにダントが迫る。冬夜の蹴られたボールをクリアしに向かうが、それよりも冬夜が追いつき、ゴール前へ左足でクロスを上げる方が速かった。



『上がった!ゴール前、照皇!レヴィンが高い!クリアされる!』



 照皇へのボール。高く上げられて照皇が飛ぶも、198cmのレヴィンはそれよりも更に高い位置に居た。



 空中戦に絶対の強さを持つレヴィンが、このクロスをヘディングでクリア。転がるセカンドに対して光明が詰め寄る。



「(とりあえずシュート撃たなきゃ何も始まらないっと!)」



 迷わず光明はトラップせず、右足のインステップでダイレクトシュートを放つ。



 ゴールの枠を捉え、向かったシュートをコバルトが体を張ったブロックで防ぎ、再びボールは転がっていった。



「セカンドー!」



 それを誰か拾えとばかりに光明が叫ぶ。



 密集地帯のエリア内。室が195cmの長い足を懸命に伸ばすも、混戦の中でボールを取ったのはレヴィン。



 すぐにパワー溢れる右足で蹴ってクリアすれば、球は弾丸のような速さで飛んで行った。


 悪魔の右足はまだまだ健在だ。



『レヴィンがクリアー!これが勢いあって一気に日本陣内へと向かう!』



 低空飛行で飛んだボール。これがヘイワドに渡ってオーストラリアのカウンターチャンス。日本は一気にピンチとなってしまう。




「このっ!」



 そこにヘイワドに対して体をぶつける日本選手が居た。下がっていた白羽が守備へと回る。



「良いぞ!そのままディレイ!」



 無理せず時間を稼ぐだけで良いと、後ろから藤堂の指示が飛ぶ。



 オーストラリアとしては速攻に行きたいが、ヘイワドの前に白羽がしつこく食い下がり、形に持って行く事が出来ない。



 ヘイワドは強引にパスへと持って行くも、番がシンディーへのパスを通さずカットする。



『日本、オーストラリアの速攻を潰した!日本守備陣も負けてはいない!』



『白羽君が走り回って守備をしたのが効きましたね!』





「(勝負所は此処か……)2人交代!」



 マッテオが指示を出すと再び日本ベンチが動き出す。



 明、優也と立見の2人が交代準備をしていて、一気に2人の交代枠を此処で使うつもりだ。




『おっと日本、一気に2人交代です!三津谷に代わり緑山、白羽に代わり歳児が入ります!』



『急に動き出しましたね、この後半で一気に決着を狙ってるんでしょうか?』



 フィールドから白羽、光輝と2人が纏めて下がり、入れ替わる形で明と優也が新たに入って行った。



 一方のオーストラリアも運動量が低下してきたヘイワド、シンディーに代わって同じく2人纏めて交代のカードを切って来る。




「(こいつらしつこいな!)」



「っ!」



 右から優也が明のパスを受けて走ろうとするが、直後にディセの足が伸びて来て優也のボールを弾く。



 交代してから執拗に右サイドから日本は攻めている。



「(不味いな、ディセはあまりスタミナが高くない……そこを日本は見抜いて来たか?)」



 これを見たレヴィンはディセのスタミナを削りに来たのだと察知。いずれは突破されて綻びが出るかもしれないと見て、コバルトへとこっそり伝える。



「(ディセのフォローを重視で頼む、日本は左を狙っている)」



「(分かった)」




『時間は刻一刻と過ぎていく。Uー20アジアカップ決勝戦は0ー0が続いている!このまま行けば延長戦だ!』



 後半の終了が近づくもスコアは未だ動かない。日本とオーストラリアの両DF陣が奮闘して、互いの攻撃を跳ね返し続けている。




「ぐおおっ!」



 かなり激しく右からショルダーチャージを当てて、番がアルゴのバランスを崩させると、その隙に弥一がボールを掻っ攫っていった。



 連携の守備で奪取して、そのままドリブルで弥一は走る。



『取った神明寺ー!ボールを前へと運びカウンターに行く!』



「優也ー!」



 右サイドの優也に対して叫びながら、弥一は左足で右へ強めのボールを蹴った。



 スピードの出ている球が一直線に優也へと向かう。



「(やっぱり狙って来た!させるか!)」



 ディセが優也に向かうと共にコバルトもフォローに走る。



 優也は弥一からの矢のようなパスを、右足で受け止めトラップ。すぐそこまでディセやコバルトが迫っていた。



 それに焦る事無く優也はワントラップの後、右足で中央へと折り返す。



 これも速いグラウンダーのパス。中央には明が待っているが、側までフューザーが来ていた。


 パスを受けた直後を狙う気だ。




 明がこのボールをトラップする、かと思えば彼はグラウンダーパスをぴょんと飛び越えてスルー。



「な!?」



 阻止しようと側まで詰め寄っていた、フューザーは意表を突かれ驚く。




 最初から優也は明へのパスのつもりはなかった。本命はその奥だ。



「(良いボールだ優也!)」



 左サイドから中央を走り、ボールに向かう冬夜。



 幼馴染によるホットラインが繋がった。



『歳児から出たボール、緑山飛び越えた!?広西がシュート!!』



 明のスルー直後に冬夜の右足ダイレクトシュートが炸裂。しっかりとミートした球は地を這うように進み、加速してオーストラリアのゴールマウスへ飛ぶ。



 オーストラリアDFは速いパスの連続とスルーで、完全に振られてしまう。


 ただこの男だけは騙されていなかった。



 レヴィンが立ち塞がると、冬夜の低いコースで飛ぶダイレクトシュートを、左足でトラップするように止めてしまったのだ。



『あー!止まったー!レヴィン、完璧にブロックしてしまった!恐るべしオーストラリアの天才!』



 これには主にオーストラリアサポーターから歓声が上がる。スーパープレーで救われた事にチームやサポーターの士気が上がり、再び勢いをもたらす。



「くっそぉ!」



 室がレヴィンからなんとしてもボールを奪おうと向かうが、それをもレヴィンは突破する。




「(これでカウンター返しだ、日本!!)」



 躱して前を向いたレヴィンは再び右足で前線へと一気に送る。



 悪魔の右足による低空飛行のロングキック。一直線に速いスピードで飛ぶ。







 この時、それが罠だとレヴィンは全く気付いていなかった。




 レヴィンにボールが渡った時。彼が蹴って来るであろうコースに、大男の陰に隠れて彼はチャンスを伺っていた。



 機会が来れば飛び出してボールの前に立つ。そういう事が出来るのは、このフィールドで弥一しかいない。



 悪魔の右足、その悪魔狩りを彼はずっと狙っていたのだ。




 悪魔の右足によって放たれたボール。それを弥一は30m付近のゴール正面から、自らの右足で撃ち返してみせた。




「(馬鹿な!?)」



 伝説となった弥一のカウンターシュート。驚愕するレヴィンもそれは知っていた。



 あのような神業は早々起こる訳ではない、弥一も2度目は再現出来るか自信が無いと公言した程だ。



 それが今レヴィンの悪魔の右足を撃ち返して、再現されている。



「うおっ!」



 コースとしては甘いゴール左。だが予想外過ぎるシュートにアルベルの反応は遅れてしまう。



 伸ばした右手がかろうじて当たると、ボールはコースが代わりゴールポスト左を叩く。




 ゴールならず、そう思われた時に弾かれたボールへ、頭から飛び込む照皇の姿があった。




「(ショウ!!)」



 レヴィンも右足を伸ばして阻止に向かうが、照皇が飛び込んだダイビングヘッド。ボールはレヴィンの右足の下を通過していく。




 オーストラリアのゴールネットにボールが収まると、スタジアムは歓声で大きく揺れ動いていた。



 ゴールを決めた照皇は両手の拳を大きく空へと突き上げ、その彼に弥一や仲間達が近づいていく。



 伝説の再現からの大きな1点だ。

詩音「わー!カウンターシュート!カウンターシュート出たよー!?僕らの憧れー!」


玲音「此処で出るなんて思ってなかったー!今のリプレイ流れない!?」


半蔵「お、落ち着けってお前ら……気持ちは分かるけどな!」


三笠「レヴィンのキックを撃ち返す……俺らじゃどう逆立ちしても無理だよな?」


立浪「空振りの未来しか見えない、無理だ!」


フォルナ「ほあ〜」


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サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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