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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第16章 アジアをぶっ壊せ!Uー20アジアカップ
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火が付いた天才

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「ふう〜、レヴィンが厄介なのは分かっていたけど3兄弟ボランチもやっぱ強いな」



 前線で厳しいマークに遭っていた室。レヴィンの居るDFラインに加えてディセ、ダント、コバルトの3兄弟ボランチが想像以上に手強いと、改めて感じればペットボトルの水を飲む。



「でっけぇ上に意外と速ぇし、体格差のサッカーはアメリカで体感したつもりだったけどなぁ……」



 椅子の上に寝転び、体力回復に専念する月城。前半よく走りチャンスを演出したり守備でも左サイドを守り、攻守でいい働きをしていた。




「政宗は大丈夫ですか!?」



「あ、ああ。ドクターに診てもらってる。急いで救急車を呼ぶとかしていないから大丈夫だと思うぞ」



 凄い剣幕で弟を心配する佐助。その迫力にスタッフは押されながら、政宗の容態について大丈夫だと伝える。




「正面からじゃ体格ある守備陣を突破するのは難しそうか。下手な攻撃は相手にカウンターのチャンスを渡すだけになりそうだし……」



「そうだねぇ、トリプルボランチとその後ろのレヴィン。これを真っ向から突破は骨かな」



 休憩しつつ弥一と光明は共に椅子へ座った状態で話し合い、オーストラリアの守備をどう攻略しようかと案を探していた。



「向こうのGKが結構積極的に飛び出して来るから、それを利用するのもありだよな」



「その分レヴィンがカバーしてくるけどねー、敵ながら良いDFとGKの関係だよー」



「それがあいつの守備だ。俺も留学時代に随分と助けられてきた」



 弥一と光明の話に照皇も加わってくる。留学時代からレヴィンを知る彼は、当時の事を振り返りながら話した。



「一対一の強さ、カバーリング、コーチング、昔からDFに必要な要素を兼ね備えていたが数年で更にレベルアップしている。加えて悪魔の右足と言われるあのFK、止めるのは容易じゃない」



「だろうなぁ、出来る事なら俺も壁の中に居たくないって思うよ」



 前半途中で政宗を退場へと追い込んだ、レヴィンの悪魔の右足。ベンチからその破壊力を見ていた光明は食らいたくないと、心底思っていた。




「でも照さん。昔と比べて友達が強くなって隙が無くても、このまま終わる気なんて無いですよねー?」



 弥一が何時ものマイペースな笑みを見せて照皇へと問いかける。



 彼の心を見ていたのでその答えは既に分かっているが、改めて本人の口から聞きたいと思った。




「当たり前だ、奴の壁を越える」



 照皇の心は静かな闘争心に満ちている。冷静ながら心を熱く燃え滾らせていた。



 負けて日本に帰る気など更々無い、勝ってアジアの頂点に立つ。そう考えているのは弥一や照皇だけではなかった。


 光明や他のチームメイト、マッテオやスタッフの皆も気持ちは同じだ。





 アジアの頂点を狙うのは日本だけではない。オーストラリアのロッカールームで椅子に腰掛けて体力回復に務める彼も同じ、特に弥一に対して負けられないという強い思いを持っている。




「(後45分、これでケリをつける。神に愛された子供達……奴らを倒す為の第一歩だ!)」



 レヴィンが見据える先はアジアの頂点より更に上、世界一という輝かしい栄光だった。




 ハーフタイムが終わり、両チームの選手が再びフィールドへと出て来る。


 選手達の姿を見てドーハのスタジアムは再び大きな歓声に包まれた。両者に交代は特に無いが何時でも交代出来るように、互いのベンチで控え選手がアップで動く姿が見える。



 オーストラリアからのキックオフで後半戦開始の笛が鳴り響く。



『ヘイワド下げてコバルト、ダントと繋がりディセ!中盤高い連携力を見せているオーストラリア!』



『攻撃的に来てますね、後半戦で勝負をつける気ですよ!』



 前へ前へと攻める姿勢、前半よりも貪欲に得点を狙っている。



 左のディセから右に蹴り出してサイドチェンジでダントへ、日本を左右に揺さぶっていく。



「(来た!此処だ!)」



 それを照皇が狙っていた。前線から3兄弟のボランチを前半から見てきて、ディセからダントに出されるパターンが多いと気付き、今回それを読んで素早くダントへと寄せていく。



「わぁ!?」



 照皇の激しいショルダーチャージ。左から急に激しくぶつかってきた衝撃で、ダントはバランスを崩してボールを失う。



 そこに月城がボールを取り、すかさず左サイドを爆走。照皇は正面からオーストラリアのゴール前へと走る。



「っ……!?」



 フューザーはどっちへ付けばと、一瞬の迷いが生じていた。



「2番行け!」



 そこにレヴィンから指示が出され、自らは照皇の方を向いている。



 月城の前に190cmクラスの大男が再び小山の如く聳え立ち、月城は此処で急ストップ。




 かと思えば再び動き出し、緩急をつけてフューザーを翻弄する。


 急ブレーキから急加速と相手は反応が遅れてしまう。



 隙を突いて月城は左から巨漢の相手を抜き去り、クロスは出さずにゴール前へと左から斜めに切り込む。



『月城抜いたー!!日本チャンス!』



 照皇にはレヴィンがピッタリとマークしている。月城の選択は得意の左足シュート。



 ゴール右へ向かうボールに対してアルベルが両腕で弾く。跳ね返った球にウォルツが向かうと、それより先に月城と同じくエリア内へ侵入していた白羽が右足で狙う。



「(ミスった!)」



 蹴った瞬間、白羽はこれが完璧とは程遠いシュートと分かってしまう。



 思うようなミートでのシュートじゃなかったせいか、あまり勢い良くは飛ばないもののゴールへと向かって転がって行く。



 レヴィンが左足でトラップする形でゴールを阻止。そこにマークされていた照皇が奪おうと、レヴィンに向かう。



「(ショウ!)」



「っ!」



 ゴール前での攻防。奪って得点を狙う照皇と躱してクリアを狙う、レヴィンのぶつかり合いだ。



 争う中でレヴィンは利き足ではない、左足で強引に蹴ってクリアしようとする。それを見た照皇はブロックで受け止めに行く。



 しかしこれはレヴィンが仕掛けた罠。左足でクリアと見せかけて、インサイドで軽く右へとボールを転がす。



 前半に照皇が仕掛けたキックフェイントをやり返した形で躱し、今度こそ利き足となる悪魔の右足で思い切りボールを蹴り上げた。




 ドガッ




「!?」



 レヴィンの顔が驚愕へと染まる。



 弾丸の如くボールが飛んでクリアのはずだったが、目の前の照皇がそれを許さなかった。



 一度はレヴィンのフェイントに釣られるも、彼の蹴り出されるボールのコースに迷う事なく飛び込み、顔面で悪魔の右足を受け止める。



 ボールは照皇に当たり、ゴールへと跳ね返りゴールマウスに入るかと思えば、左のポストを掠めてゴールラインを割っていた。


 これにレヴィンはホッと息をつく。



「く……!」



「先輩!」



 レヴィンの右を顔面で受け止めた照皇。顔を右手で押さえたまま立っていられず、片膝をついていた。


 先輩の姿を見た月城が駆け寄って来る。



『あーっと照皇、大丈夫か!?レヴィンの威力ある右足を至近距離で受けてダメージが心配ですが……』



『いや、勇気ありましたね。あのまま通っていたらカウンターの恐れがあったかもしれません、よく前に立ちましたよ』




 照皇は立ち上がり続行の意思を見せるが、主審はすぐに続行させるのは危険だと判断して、チームのドクターを呼ぶ。


 フィールドの外に出て、照皇は治療を受ける事となった。



 一時的に日本は10人の状態だ。



 ゴールキックのオーストラリア。人数が上回っている今、数的優位を活かして一気に攻め上がる。



『再びボランチ3兄弟を軸としたパス回し!数的不利の日本危ないぞ!?』



 人数をかけて大柄な黄色の集団が日本ゴールに迫って来た。


 中盤で繋げ、ヘイワドからシンディーへとラストパスが出される。






「不調って誰の事言ってんのかなぁー?」



「!?」



 このパスを完全に見切っていた弥一。ヘイワドとシンディー両方とも彼の動きを察知出来ず、インターセプトを許してしまう。



「(悪魔さんは好き放題暴れるから、この辺りで悪魔狩りと行こうか!)」



 レヴィンに対して、個人の称号は特に関心を持たない弥一。だが政宗の仇討ちもある。



 その目は狩人へと変わっていた。

五郎「顔面に思い切り受けましたよ照皇さん!?大丈夫かな……!?」


狼騎「狼狽えんな、GKならドンと構えとけ」


春樹「とはいえ顔にあのキック受けて無傷、にはならなそうだけどね……いや、凄い度胸で恐れ入ったよ」


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