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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第16章 アジアをぶっ壊せ!Uー20アジアカップ
429/657

アジアの高き壁

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

『オーストラリアの攻勢!右から上がって来たケリー、アーリークロスだ!弾いた仙道佐助ー!』



『凄いですね、さっきから彼が結構止めてますよ!』



 ペースを握ったオーストラリアが前に出て攻撃。右から上がったクロスにシンディーが頭で合わせに行くも、佐助がヘディングでクリア。



 セカンドボールを拾った想真にコバルト、ディセと2人がかりで迫って来る。


 その前に縦へと照皇に向けて、グラウンダーのロングパスを右足で蹴って送ると、これをレヴィンがカットして日本のカウンターを阻止。



 レヴィンからボールを繋ぐオーストラリアが、再び日本ゴールに襲いかかって来た。



「右から来るよー!白羽気を付けてー!」



 相手左サイドのウォルツがオーバーラップを仕掛ける。それを読んだ弥一はコーチング。



 声が届くと上がって来たウォルツのマークに向かう白羽。これにオーストラリアはすぐ狙いを変更するとディセ、ダント、コバルトの3兄弟による中盤のパス回しからヘイワドに繋ぐ。



 前線の選手にラストパスを狙うかと思えば、上がって来たディセにバックパス。



「藤堂さんロング!」



 瞬時にディセのロングシュートを察した弥一。藤堂へと伝えた後に右足で蹴られたボールが、日本ゴールへと強襲する。



 シュートに対して素早く反応し、ほぼ正面で藤堂はキャッチ。



『オーストラリア、ディセの力あるロング!これは藤堂の正面で日本助かった!』



『レヴィンといい遠めのシュート怖いですね向こう、楽には撃たせたくないですよ』




「よく見抜いたな、相手がロング撃つっていうのを」



「ゴール睨みつけて走ってたからねー、そりゃバレるよー」



 瞬時にシュートを見抜いた弥一に対して、興味深そうな光明。相手が分かりやすかったと、弥一は自らの力を誤魔化していた。




「(分かりやすかった……か、それにしたってあんな混戦で見る余裕があるなんて相当視野が広いよ)」



 まるでスタンドかテレビや動画から見てるような視野の広さ。弥一への興味が増す中で光明は走る。




『ピンチを凌いだ日本、神明寺がボールを持ち八神、三津谷と繋がる!』



 弥一、想真、光輝によるパス回しは向こうのボランチ3兄弟にも負けない連携を見せていた。



 だが光輝に渡れば瞬きする間も無く、コバルトが再びハードマークで潰しにかかる。



「!(源田……!)」



 一瞬光輝の視界にボールを要求しながら、前へと出ていく光明の姿が見えた。右から上がっていく光明に対してコバルトへ背を向けた状態で、光輝は右足のヒールでパス。



 大股に構えていたコバルト。ボールが股下を通って、光明がそれを受け取り中央突破に成功する。



『上手い!三津谷、ヒールパスで源田へと繋ぐ!』



 ゴール前には照皇と室の前線2人が居る。しかし2人をそのまま放置している訳もなく、レヴィン率いるDF陣がそれぞれにピッタリと付いていた。



「(俺はフリー、コースは空いている。だったら一つしかないだろ!)」



 今なら光明は自由。すぐにディセが迫って来るが、この一瞬のチャンスを逃す気は無い。



 ゴールを見据えれば右足を振り抜き、ゴール左隅を狙ってシュート。



「ぐっ!?」



 ゴールへ届く前にフューザーの左肩へと当たり、ボールは敵味方で混戦状態のエリア内に転がる。



「室!照!それ拾えー!」



 自分達が拾えば攻撃が繫がってチャンス。光明は中にいる2人へと叫ぶ。



 これに素早く反応していた照皇が拾っていく。



『源田ミドル!混戦の中で照皇取った!』



「(ショウ!) 」



 それを見たレヴィン。照皇との距離を詰めて彼の前に立ち塞がる。


 旧友と敵として相対するレヴィンの目つきは鋭く、照皇を睨みつけていた。



 迷っている暇など無い、照皇は右足でシュートに行く。


 レヴィンは彼の利き足が右と知っていてブロックの構えだ。



 だが右足でシュートに行くと見せかけて、軽く左へボールを動かして左足を振り抜く。


 照皇の利き足を使ったキックフェイント。



「!」



 これは行ったと思った照皇だったが、直後にレヴィンの長い右足が伸びてきてシュートをブロック。ボールは弾かれてゴールラインを割れば、日本ボールのCKだ。




「レヴィン、よく守ってくれた!」



 オーストラリアDF陣がレヴィンへと駆け寄ると、軽く抱き合い感謝を伝える。



「(混戦の中でも冷静にフェイントを読んでいたか。伊達にアジア最強DF候補とは呼ばれてないな)」



 一連のプレーを見ていた光明。キックフェイントに騙されず、照皇へ食らいついたレヴィンをかなり良いDFと見ていた。




「(此処はシンプルだけど、速いボールで!)」



 日本ボールで左からのCK。キッカーを務める光輝は作戦を組み立てると勢い良く右足で蹴る。



 スピードが出ていて室の頭へ一直線に飛んでいく。これに合わせようとする室だが、その前にGKアルベルが飛び出し、右拳を思い切り突き出しての片手パンチング。ボールは弾き飛ばされる。





「(大チャーンス♪)」



 弾き出されたボール、これがラッキーな事に弥一の目の前へ転がって来ていた。



 相手GKが飛び出して倒れている。体勢を立て直される前に、弥一は転がって来て僅かに球が浮いた所へ、左足のインステップキックで下から上へと擦り上げるように蹴った。



 普通にロングを撃ってはゴール前に多くの選手で密集しており、誰かにブロックされる可能性が高い。



 弥一が撃ったシュートはゴールマウス頭上を飛んでおり、そこから下へと向かって落ちて行く。



「ぐおおっ!」



 放たれたロングドライブシュートに対して、前に出ていたアルベルが立ち上がり、懸命に下がりながら右手を伸ばすが届かない。



「(先制いただき!)」



 してやったりと弥一は右拳を握り締めて笑う。




 その直後だった。



 ゴールマウスへとボールが吸い込まれる直前、レヴィンが頭でこのシュートを弾き出していたのだ。



 最後の最後、198cmの大きな壁が日本の先制点を阻む。



『ああー!神明寺、決まれば文句無しのスーパーゴールだったがレヴィンの超プレーに阻まれた!』



『飛び出したGKの隙は突けましたが、ううん……!手強いですね!』



「うおお!レヴィン助かったぁー!!」



「アルベル、良い飛び出しだった!気にせずドンドン行けよ!」



 ピンチを救ってもらい、アルベルはレヴィンに抱きついて感謝。


 そのレヴィンも守護神の彼を良いプレーだと称える。




「あー!今の1点って思ったのにー!」



 自分のシュートでゴール出来なかった事に、弥一は頭を抱えて悔しそうだった。




 再び日本のCK。今度は右から光輝は低空飛行のクロスを蹴るが、コバルトに体を張ったブロックで止められて、セカンドボールをダントが大きく蹴り出してクリアする。




 ピィーーー



 此処で主審から前半終了の笛が吹かれた。



『前半終了!Uー20アジアカップ決勝戦、前半は0ー0でスコアは動かず!日本、オーストラリア、共に鉄壁の守備で相手の攻撃を通しません!』



『日本惜しいチャンスがいくつかありましたけどね。これを続けて向こうの守備に負担をかけていけば綻びが生じてゴールに繋がると思いますよ』




「やるねー、オーストラリア。此処まで無失点に恥じない守備を見せてくれるね♪」



 ベンチへと引き上げる時、弥一がレヴィンへと駆け寄って話しかける。


 何時もの明るい調子だ。




「そういうお前はどうした弥一?何時もの鋭い読みからのインターセプトが特に見られなかった。不調なら仲間が奮闘してくれて良かったな」



 それに対してレヴィンは挑発するかのように、弥一へと言葉を返す。



 今の所DFとしては俺の方が優れている、そんなメッセージが含まれていた。



「(ああ、そう来るんだ)」



 何時もは煽る側だが、今回弥一は先に煽られている。




「体がちょっと重いから不調かなぁ、後半思うように行けないかも……」



 不調と言われれば弥一は調子悪そうに振る舞い、挑発を逆手に取っていた。



「そう言ってお前の居る守備が甘めで狙い撃ちをさせる、だろ?」



「あ、バレたかぁ」



 レヴィンは罠にかからない。弥一は駄目そうだと見て、大人しく日本側のロッカールームに下がって行った。





「(技術も心理戦も俺が勝つ、アジア……世界最強のDFは俺だ)」



 照皇を完封し、弥一に惑わされる事なく勝つ。日本の天才達に勝って世界の頂点をレヴィンは狙う。

詩音「はぁ〜、神明寺先輩のロング決まるかと思ったのにー」


玲音「レヴィンめー、僕達も出てたら連携で引っ掻き回せたのに!」


半蔵「相当なDFだな、キックといい守備といい」


詩音「でも神明寺先輩が上だよー!」


玲音「そうそう、神明寺先輩は天下無敵で無双だからー!」


半蔵「お前ら新しく出来る後輩の前でもその調子、多分変わりそうに無いな」


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サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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