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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第16章 アジアをぶっ壊せ!Uー20アジアカップ
425/658

決勝前に戦士達は思い出に浸る

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「悪魔の右足?」



 宿泊するホテルの部屋にて、オーストラリア戦の動画をスマホで見ていた弥一。


 一方PCの方で同じ動画を見る優也。その彼から言われた言葉に弥一は反応。



「オーストラリアの現地じゃレヴィンはその異名で通ってるそうだ。かの有名なブラジルの悪魔の左足にあやかったかは知らないが」



「そりゃFKでこの破壊力を見せてくれちゃったからね〜。壁は恐怖感が半端ないと思うよ」



 弥一のスマホに映るのは、昨日行われたオーストラリアと韓国の試合。両チーム通じて唯一ゴールが生まれた、レヴィンによるFKのシーンを弥一は今見ている所だ。



 目にも止まらぬ程速い右足の振りから繰り出される破壊的な一撃。ユースで此処までパワーあるキックを、蹴れる選手はあまりいないだろう。



「こんなの顔面とかに当たっちゃったら、ヤバいよね?」



「辰羅川さんの居る病院に運び込まれるかもな」



 今度の日本戦で彼がキックをくり出す可能性はある。弥一と優也が共に考えるのは、FKをオーストラリアに与えない事。


 ゴール前で直接FKのチャンスを可能な限り与えなければ、レヴィンも早々撃てないはずだ。



「レヴィンはそこまでオーバーラップ仕掛ける選手じゃなさそうだが、先入観は良くないだろ」



「そうそう、今までの試合やらなかっただけで僕らの時にガンガン上がって来るかもしれないからねー」



 2人がレヴィンのシュートの機会を考えると、DFながら積極的に前へと出て仕掛ける。攻撃的なリベロならそれぐらいしてくるだろう。



 レヴィンの攻撃と守備、この攻略が日本にとって最重要ミッションとなる。





 オーストラリア戦を控えた前日、マッテオの口からスタメンが発表される。



 GK藤堂



 DF神明寺 仙道(佐) 青山



 MF三津谷 月城 白羽 仙道(政) 八神



 FW照皇 室





 大事を取って数試合休んでいた照皇がオーストラリア戦から戻り、2トップを向こうの大柄なDFに対抗しようと、長身ストライカーで揃えて来た。



「照さん、もう体大丈夫なのー?」



「元々そんな重い怪我じゃないから問題は全く無い」



 駆け寄って来た弥一に、照皇は平気だと答える。



「相手は留学時代のお友達だから出られて良かったね♪」



「誰が相手でも全く変わらん、何時も通りのサッカーをするだけだ」



 レヴィンとオーストラリアで友となり、弥一から見れば友人でありライバルとの勝負だと思っているが、照皇は特に意識してはいない。



 日本勝利の為にプレーをする、それだけだと。



 弥一が心の中を覗き込んでも考えている事は一緒、裏表が無かった。





「八重葉じゃ試合前にカステラ食べるのがお決まりのスタイルなんだよねー」



 決勝戦当日を迎え、日本が一足先に会場入りしてロッカールームへと入れば、試合前の軽食としてカステラが用意されていた。


 フワフワで甘い生地と食感を味わいながら、弥一は八重葉勢にそういえば、という感じで思い出したように話す。



「食べやすく手軽にエネルギー補給が出来るって理由がデカいけどな。噂じゃ学園の理事長が大のカステラ好きで学校に良さを広めたっていうのもあってさ」



「俺らサッカー部だけじゃなく、学園中の運動部が試合前にカステラ食うようになったよ」



 佐助、政宗と仙道兄弟が揃って慣れ親しんだカステラを食べながら、自校の噂について語っていた。


 八重葉のカステラは試合前の伝統として有名だが、誕生については初耳だ。



「中には龍尾先輩みたいに食べ飽きたとかいうのも居るけどな」



「そういえばあの人そうだったねー、たまには違うのが食いたいとか言ってたしー」



 月城の話を聞いて、弥一は龍尾と最初に会った時の事を思い出す。



 あの時は彼が高校随一の天才GKと気付かず、呑気にカステラをご馳走してもらってたなぁ、と2年ぐらい前の出来事を弥一は食べ終えるまで、初めて八重葉と出会った時を振り返る。




「思い出話もそこまでだ、アップ行くぞ」



 カステラを食べ終えた照皇は一番先に、フィールドへとアップに向かう。




「照さーん」



 フィールドで声をかけられ、照皇が振り返ると彼の足元にボールが転がって来る。


 右足でトラップして前を向くと、視線の先に弥一が立っていた。



「今日のアップ、付き合っていいですかー?」



「いいだろ、構わん」



 弥一の申し出に照皇が頷くと、パスを弥一へと返す。高校サッカー界の天才2人によるパス交換が始まる。



「今日戦うレヴィン、悪魔の右足って呼ばれてますけど照さんが留学してた時からそう言われてましたー?」



「いや、あいつが凄まじいキック力を持っている事は知っていたがその頃はFKを蹴っていなかった。DFの仕事にひたすら専念していたな」



 照皇が留学先でレヴィンと知り合った時。まだ悪魔の右足と呼ばれる前らしく、当時は蹴っていなかった事を弥一とパスを交えて照皇は語る。



「DFとしての力とか当時どうだったんですかー?」



「俺が過去にぶつかってきたDFの中で最も優れていると感じた。奴には何度も止められてしまったからな」



 照皇が何度も止められる程。それだけでレヴィンが当時から並外れた実力のDFだと、天才ストライカーの力を知る者が聞けばそう感じられた。



「(悪魔の右足と呼ばれる程の攻撃力まで身に着けた事を考えると、ひょっとしたらお前よりも……)」



 照皇がレヴィンを間近で見てきたのは中学時代までの事。それから数年が経って互いに成長し、レヴィンがあの頃よりも守備能力が伸びた事に加えて、攻撃力も兼ね備えたなら弥一を凌ぐ可能性がある。



 それこそアジアNo.1DFと呼ばれるに相応しいレベル、そこにレヴィンは到達しているかもしれないと。




 すると日本チームがアップしている位置から、反対側の方で驚くような歓声が上がる。



「!?」



「わっ、なになにー?」



 弥一と照皇が視線を共に向けると、ゴールネットにボールが突き刺さり、大きく揺れていた。



 そのゴールを見据えていたのはレヴィン。彼がアップを兼ねてのデモンストレーションとして、悪魔の右足を披露したのだ。



 レヴィンが振り向くと弥一、照皇と目が合う。その時にオーストラリアが誇る巨人にして悪魔の右足と呼ばれる男はニヤッと笑う。



 次は日本ゴールに今のキックを決めてやる。その意味を含めたような笑みとシュートだった。




「向こうはめっちゃ意識してるみたいー」



「……そのようだ」



 照皇がレヴィンを意識していないのに対し、レヴィンは日本と弥一達を意識している。弥一と違って心が読めない照皇にもそれは伝わっていく。



 悪魔の右足の破壊力を目にした観客達が、日本の連続無失点が此処で止まるんじゃないか、という期待感が試合前から早くも上がって来た。

大門「物凄いキッカーで言えば弥一以外には鳥羽さんとか居たけど、彼らとは違ってパワーに振り切ってるなぁ……!」


五郎「受け止めたら僕とかボールごとゴールに押し込まれそうな破壊力です!」


春樹「漫画じゃないから流石にキャッチしたGKごとは五郎が小さくても押し込まれないと思うよ」


冬夜「とんでもねぇなぁ……やっぱ海外のパワー半端ないな」


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