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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第16章 アジアをぶっ壊せ!Uー20アジアカップ
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アジアの虎と巨人

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 日本とサウジアラビア戦の準決勝が行われている時、もう一つの準決勝も同時刻に行われていた。



 韓国VSオーストラリア。



 アジアの君主を狙う韓国。Uー20ワールドカップ出場権を獲得しても貪欲に勝利を、優勝を狙ってこの試合に臨む。



 此処まで得点ランキング首位のユンジェイ。韓国は総得点でチーム1位と、超攻撃的なサッカーを展開してきている。



 赤き軍団が猛然とゴールを目指す姿。大会最多得点が重なれば迫力満点で、守備側としては大きなプレッシャーになるだろう。



 ただ黄色い巨大な壁はそれに対して全く動じない。




『韓国、中盤で素早いショートパスで繋ぐ!ユンジェイ前に出た!』



 スルーパスが来る。ユンジェイがFWとしての感覚を研ぎ澄ませ、味方の左サイドから来たボールに合わせてダッシュを開始。



 裏へと何度も抜け出しゴールを重ねて来た。この試合でもそれで得点を重ねようと狙うが、並走する大柄な選手が行く手を阻んで来た。



「くっ!?」



 ユンジェイとボールの間に体を入れ、彼がその球に追いつく事は叶わずゴールラインを割ってしまう。



 オーストラリアのキャプテンで守備の要レヴィン。彼を中心とした鉄壁の守備を前に、韓国は此処まで中々チャンスを掴ませてもらえない。



『オーストラリア、自慢の守備力で韓国の攻撃を跳ね返す!』



『スタメン全員が180オーバーの大男揃いですからね。しかも屈強と来ますから堅いですよ守備』



 アジア予選の中で随一の高さを誇る大男の集団、それがオーストラリア。


 高さやパワーにおいては、アジア予選で一番と言っても過言ではないだろう。



 オーストラリアのフォーメーションは4ー4ー2、中盤の3人が守備的MFでトリプルボランチという守備的構成だ。



 日本や韓国と比べて攻撃で派手さはあまり無いが、少ない点差を確実に守り勝ち切る事に関して長けている。




「前出過ぎだ、もうちょっと引け!」



 レヴィンが味方へ指示を送りポジションを修正させ、守備の綻びを許さない。


 この韓国に対しては徹底して引いて守り、相手の怒涛の攻めを跳ね返すサッカーを貫いていた。




「(くっそ……!こんなデカブツ達にゴール前固められたらやりづらい!)」



 得意のスピードを中々活かし難いとユンジェイは苛立っている。何度かチャンスはあったが、レヴィン達オーストラリアの守備陣に阻まれて得点に繋げられない。



 その繰り返しばかりだ。




『韓国CKを取った。190cmを越える長身DFが此処で上がって来てます!』



 韓国のセットプレーでチャンスと見たか、韓国の長身DFが此処で上がる。



 シンプルに彼の高さに合わせようと左からのCK。精度の高い左足のキックで高く蹴られると長身DFの頭上、それに合わせて跳躍を開始していた。



 それと同時にレヴィンもジャンプ。巨漢同士の空中戦はレヴィンが高く飛んでおり、彼のクリアが勝る。



『高いレヴィン!クリア、っと?オーストラリア、カウンターだ!一気に韓国ゴール前へ速攻ー!』



 セカンドボールを拾ったオーストラリアの選手が前へと、力強いロングキックを蹴り、前線がポストで繋げばカウンターのチャンスと変わっていた。



 これに韓国の選手がファールで止め、今度はオーストラリアがゴール前でFKのチャンスを獲得。




『目まぐるしい攻防!今度はオーストラリアのセットプレーチャンスです!』



 ゴール正面、距離にして30m程。狙える距離なので韓国も壁を慎重に作っていた。



 此処でオーストラリアはレヴィンが前へと出て来る。



「レヴィン……気を付けろ、あいつのキックは強烈だぞ」



 韓国はレヴィンがセットされたボールの前に立つのを見て、蹴ってくると読む。彼は1本強烈な弾丸ロングを決めており、厄介なキック力の持ち主だ。



 レヴィンはかなり距離を取っている。壁の選手は緊張が高まっていた。


 逃げずに彼の放つ大砲を、その身で受け止めなけらばならない。此処で失点したらかなり追い込まれてしまう。




 ゆっくり助走を開始すると、レヴィンはそこから一気にスピードを上げ、ボールへと向かい右足を素早く振り抜く。



 目にも止まらぬ振り足から放たれたキック。凄まじい勢いでボールは壁を越えて、韓国ゴールに迫る。



 まるで大砲から放たれた砲弾を思わせる。それはあっという間に到達し、GKが反応する間もなくゴールネットを激しく揺らしていた。




『レヴィン強烈なキックが炸裂ー!!まさにキャノンシュート!オーストラリアが韓国から先制です!』



『物凄いパワーですね!18歳とは思えません!』




「ウオォーー!!」



 ゴールを決めた喜び、興奮からかレヴィンはオーストラリアサポーターに向かって吠える。周囲のチームメイトも大喜びで駆け寄っていた。




 一方の韓国は終盤で失点を許し、重苦しい空気。



「取り返す!早くポジションつけ!」



 その中でユンジェイが声を出し、自らボールをセンターサークルへと持ってセットに向かう。



 まだ点差はたったの1点で韓国の攻撃力を思えば、決して逆転が不可能ではないはずだ。



 アジアの頂点を勝ち取る為にこんな所で負けられない。ユンジェイの言葉で奮起すると、韓国はオーストラリアの巨大な壁に再び挑む。



『右サイドから低いクロス!ユンジェイボレー!』



 ユンジェイが味方からの低いクロスに右足ボレーで合わせる。


 これをレヴィンが体を張ってシュートブロックすれば、ボレーを弾いていた。



 混戦の中こぼれ球となり、先に拾ったオーストラリアがクリアして凌ぐ。




「くっそぉ!!」



 悔しさを見せるユンジェイ。時間はどんどん無くなり、試合終了が迫って来る。



「(日本と戦えず、神明寺の奴に借りを返せないまま終わるなんて……嫌だ!!)」



 このドーハでやり残した事がある。それを達成出来ないまま大会を去れない。


 体力の限界間近な体に鞭を打って足を動かし、ユンジェイは懸命に走り続ける。




『ユンジェイ抜け出した!チャンスだ韓国ー!』



 執念が実ったか、味方からのスルーパスでオーストラリアDFの裏へ抜け出すのに成功したユンジェイ。



 このチャンスは逃さんとゴールへ一直線に走る。



 そこにユンジェイの右肩にズシンと、骨身にも伝わる程の衝撃。



 レヴィンがすかさず追いついて来て、右からユンジェイにショルダーチャージで当たっていたのだ。



「ぐっ!」



 倒れるものかと、レヴィンを横目で鋭く睨むユンジェイ。





「大した奴だが、此処までだ!」



「がっ!?」



 2度目の強い当たりでユンジェイはついにバランスを崩し、転倒してしまう。



 かなり激しいがノーホイッスル。レヴィンに軍配が上り、セーフティーにクリアしていく。




 その後の韓国の攻撃もオーストラリアはシャットアウト。1点差をひたすら守り続ければ、試合終了を迎える。




『オーストラリア1ー0!レヴィンの1点を守りきり決勝進出です!』




「畜生……畜生……!!」



 うつ伏せにフィールドへと倒れ、ユンジェイはドンドンと右拳を何度も地面に叩きつけていた。



 日本と決勝を戦う事が出来ず、日韓戦を実現させられない自分を許せなかった。





「レヴィン、今年のベストゴールが早くも出てしまったんじゃないかい?」



「どうかな?今日のゴールに関しては我がオーストラリアのサポーターが力をくれたおかげさ」



 勝者のインタビューでレヴィンは自国のリポーターへと答える。



「決勝の相手は日本。今大会無失点でアジア最強のカテナチオと呼ばれるチームだけど、今日みたいなゴールを狙えそうかな?」



「向こうには優秀なDFが居るからね、簡単じゃないと思う。何しろ規格外の天才だ」




「蹴る機会があるなら蹴るよ、向こうの守備から得点してオーストラリアがアジアの頂点に輝けば最高だね」



 レヴィンのインタビュー、それは日本の弥一を意識していた。


 日本の無失点記録を破壊して自分達が優勝する。アジアを制覇して更にUー20ワールドカップ優勝を目指す。



 決勝に向けてオーストラリアは本気だ。




 オーストラリア1ー0韓国



 レヴィン1

半蔵「オーストラリアが相手か……」


詩音「良いじゃん、2006年のドイツワールドカップの借りを倍にして返しちゃえー!」


玲音「そうそう!遠慮なく神明寺先輩やっちゃってください!2桁得点してもいい!」


半蔵「流石にオーストラリア相手に2桁は無い…いや、心情としてはやってほしいけどな」


宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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