Uー20アジアカップ決勝トーナメント準決勝 日本VSサウジアラビア
※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。
アジアカップでベスト4に勝ち上がったのは日本、韓国、オーストラリア、サウジアラビア。
この4カ国がUー20ワールドカップへの出場権を獲得している。
ベスト4の組み合わせは日本とサウジアラビア、韓国とオーストラリア。
本大会出場が決まった後に彼らはアジアの頂点を目指し、競い合う。
準決勝の日本のスタメンが発表された。
GK藤堂
DF神明寺 仙道(佐) 青山
MF緑山 広西 歳児 八神 天宮
FW酒井 源田
『日本、天宮から左サイドの広西へと素早い展開のカウンター!』
春樹が中盤でサウジからボールを奪うと、左サイドを走る冬夜にスルーパス。
これを受け取った冬夜に対して、サウジDFが追う。
その前にゴール前へと高いボールを上げた。
「(クリアだ!日本の長身ストライカーはいない!)」
今日の日本の2トップに高さある室と照皇はいない、対してサウジは180cm台の長身DFを揃えている。空中戦なら有利だと、DFが冬夜の上げたクロスをクリアに行く。
有利だったはずだが現実は違った。
クリアしようと飛んだサウジDFよりも更に頭一つ上。光明が室のお株を奪う高角度からのポストプレー。
頭で落としたボールを狼騎が反応して、右足を振り抜いた。
ダイレクトシュートにサウジGKは飛びつき、右手を伸ばすが僅かに及ばず、ゴール左上のネットへ突き刺さると、大きく揺らしていた。
『日本先制点ー!!源田のポストから酒井の豪快なシュートが炸裂!』
『広西君の左からのクロス、その前の天宮君が中盤で奪ってからの速攻と繋いでくれましたね!』
「ナイスゴールー!」
「うぉ!?てめ、重ぇよ!」
「そんな太ってないつもりなんだけどなー!」
ゴールを決めた狼騎へと、光明は後ろから飛びついて抱き着けば、のしかかる体勢になっていた。
普段ゴールパフォーマンスをしない狼騎の分も喜んでるみたいだ。
「1点1点ー!守備陣しまって行こうー!」
「野球のノリやないかそれ」
「じゃあリーリーリーとか言った方がいいかなー?」
「サッカーで何を盗塁する気や!?」
漫才でもしてるような弥一と想真の会話、これに笑いを堪える佐助と番。
藤堂も思わず噴き出しそうになってしまう。
これが良い感じでリラックスとなり、力を入れ過ぎずサウジの反撃に対して、日本の守備陣は柔軟に対応していた。
『サウジの左からのクロス!仙道弾く!八神クリアで日本守った、今大会無失点の守備陣が今日も日本ゴールに鍵をかけていく!』
『中東の強豪達を相手に立て続けに守れてますね。今までの日本で言えばそういった相手は苦手としていたはずですが、彼らの場合だと関係ありませんね』
日本の守備が堅い。それも勿論あるのだが、加えてサウジの方は本大会出場を既に決めており、勝利へのモチベーションが低下していたのだ。
此処で無理するよりUー20ワールドカップの方が大事。この日本戦で勝とうが負けようが、サウジとしてはそこまで重要ではなかった。
「(モチベ下がってるなら遠慮なく勝たせてもらおうかな!)」
彼らの勝利への意欲が低下している事は、既に心を読んで見抜いた弥一。相手の甘くなったパスをインターセプトしてチャンスを潰す。
「優也走ってー!」
「っ!」
弥一が叫ぶと共に空いているスペース。右サイドへ左足でのロングスルーパスが蹴られた。
相手DFの僅かな隙間をボールが通る、針の穴を通すような正確性。加えてシュート並のスピードが出て、球は弾丸パスと化していく。
「(相変わらず鬼のようなパスを出して来る!)」
正確無比にしてスパルタな弥一のキラーパス。立見で優也は何本もこれを受けて来ている。
無茶振りが過ぎると思いながらも彼は追いかけ、彼の俊足を持って追いつく事が出来た。
後少し遅かったらラインを割ってしまい相手に渡す所だ。
『神明寺からの長いパス、右の歳児に通った!立見ホットラインが此処で炸裂だ、あっとサウジ、ファール!』
必死に追いかけていたサウジ。後ろから優也のユニフォームを掴み、倒してしまうと主審の笛が吹かれてファールの判定。
優也を掴んだDFの選手にイエローカードが掲げられると、日本はFKの準備に入っていた。
今回の位置はサウジの右サイド、そこのゴール近くからFKだ。
『日本FKのチャンス……お、神明寺上がって来ました!イラク戦では見事なキックを見せて貴重なゴールを決めましたが今回も見せるのか!?』
『いやー、今回は角度厳しいですからね。どう蹴るんでしょう?』
「明ー、来て来て」
「あ、はい……!」
ボールを持つ弥一は明を呼び、立見の後輩である彼は呼ばれて、すぐに駆け寄って来ていた。
弥一が明へと小声でボソボソと何か打ち合わせをし、サウジの方は弥一が仕掛けて来ると警戒する。
「何か小細工来るんじゃないか……?」
「直接もあるかもしれない……あいつなら狙えてもおかしくないぞ……」
サウジ守備陣は弥一ならあの位置から直接もあると思い、GKもそれに対して用心していた。
セットプレーの準備が整えば、弥一と明がボールの前に立つ。
「!?」
次の瞬間、サウジはぎょっと驚いていた。
弥一が突然逆走、自分の守る日本ゴールへと向かって走り出したのだ。
自分を強く意識している事を利用し、弥一は1秒でも自分に注目させようと行動を起こす。
その動きにサウジの意識が向いている間、明が右足で光明へ高いクロス。
先程の事があり、光明を飛ばさせないとマークは付いていたが、妨害を上手く躱した光明は明のクロスに合わせて、高くジャンプする。
今度はシンプルに頭で叩きつけるヘディング。DFがこれを体に当てて弾くと、エリア内でこぼれ球を拾った選手がすかさずシュート。
混戦の最中でゴールネットは揺れ、2点目のゴールが決まればスタンドから歓声が沸いた。
『あ!入った!ゴールだ!日本こぼれ球を押し込んだぁー!!』
「誰が決めたんやあれ!?」
「分からないけど、1点入ったのは確定だよな?喜んでいいよなこれ!?」
誰が決めたのか分からず、後ろから見ていた想真と番はゴールを決めたのは誰か見えなかった。
『ゴールを決めたのは歳児君ですね、最後に詰めてました』
リプレイで確認すれば混戦の中、光明のヘディングが弾かれた時に優也が反応して、サウジDFのクリアより速くシュートしている映像が見られた。
これに同時刻SNSでは「久々の歳児タイムキターー!!」と騒がれる。
「1人格好良く決めやがって!狡いぞー!」
「1点入ったから良いだろ……!」
冬夜がいち早く優也へと近づけば、幼馴染のゴールを祝福。
間近で見てたので優也のゴールにはすぐ気付く事が出来ていた。
「相手ビビってるよー!もう2、3点決まるよー!」
勝利のモチベが低下し、2点のリードを許している相手。弥一はチャンスとばかりに声を出して、攻撃的に行けと指示。
「ちっ、相変わらず偉そうなチビだな」
「まあでも取れそうな予感はするし、畳み掛けとこう。此処で力の差をハッキリさせるのも悪くない」
狼騎をまあまあと宥めつつ、春樹は弥一の策に乗るのも良いと判断。
矛先をサウジへと向けた狼騎。中盤で繋いで明からのスルーパスに素早く抜け出し、DFの裏へと飛び出すのに成功すれば、相手GKとの一対一を確実に決めて追加点。
更に上がって来た春樹が不意打ちの豪快ミドル。サウジゴールへと突き刺さりダメ押しの追加点で試合は決まる。
『試合終了ー!中東の強豪サウジアラビアを相手に日本4ー0と完勝!アジアの頂点まであと一つだ!』
日本はモチベーションを落とさず、本大会出場権を獲得した後もアジアの頂点を目標に戦い続けられた。
その差が出た試合だったかもしれない。
日本4ー0サウジアラビア
酒井2
歳児1
天宮1
光輝「日本やとこっちも現実も今真冬真っ只中やろな」
室「作者も寒い寒いってぼやいてたしなぁ」
月城「こんな寒い日は美味いだろうなぁ、肉まんとかラーメンとか」
光輝「なんや、思考が神明寺寄りになっとるやないか飯の方が出たりと」
月城「!?いや、あんな食いしん坊と一緒のつもりねぇぞ!」
室「分かるけどね、食べたくなる気持ちは。日本に帰ったらコンビニ行こうか」
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