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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第16章 アジアをぶっ壊せ!Uー20アジアカップ
421/657

因縁の地での決着

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

『日本先制ー!!決めてくれた神明寺弥一!またしても彼のキックからマジックが飛び出たー!』



『これ無回転ですよね!?うわ、これは当たってるダルシンも取れませんね……急にストンと落ちてますから!』



 弥一の必殺とも言える無回転キック。決められてしまったダルシンは呆然。



 満員のスタジアムが歓声に包まれる中で、弥一は控えの仲間達と抱き合ってゴールを喜んでいた。



「凄い!凄いキックだったよ弥一!」



「良い所行ってくれて良かったー!何処向かうか分かんなかったから!」



「お前も知らんのかい!けど入ればええわ!」



 大門、想真が共に弥一のゴールにテンション上がり手荒な祝福。



「守備も攻撃も目立って憎いぞこのー!」



「調子に乗って気を抜くなよ」



 冬夜も参加して弥一をもみくちゃにすると、優也は喜びもそこそこに注意するよう伝えていた。




「弥一、呼ばれたら行くから。それまで持ちこたえといてくれよ!」



「あははー、待ってるよー♪」



 光明と最後に抱き合えば互いに言葉を交わし、弥一はフィールドへと戻る。


 イラクの方は何時まで喜んでんだ、という感じで日本のゴールが喜び終わるのを待っていたようだ。




「(しかし恐ろしいタイミングでチャージ仕掛けるかと思えばエグいキックもして……あんなんブラジルのトッププロクラスぐらいだろ)」



 弥一を観察していた光明。彼が守備の時にアブドラに対して絶妙なタイミングでぶつかり、バランスを崩させていたのは見ていて分かった。



 人によって飛ぶタイミングなど異なるはず、それを弥一は最も嫌な時に必ず仕掛けている。


 光明にとっては無回転キックよりも、そっちの方が驚く事だ。




「さあさあ此処から点を取り返される、なんて事無いようにしっかり守るよー♪」



「分かってるって、向こうは攻めるしかない状況だ。僕達守備陣の正念場だな」



 弥一が明るく場を盛り上げ、春樹はイラクがビハインドを背負った事で前に出て来るだろうと読み、気を引き締めて集中していた。




 イラクのキックオフから再開すれば予想通り、エースのアブドラを中心に日本ゴールへと迫って攻勢を強めていく。



 ショートパスで繋いでいくと、右サイドからイラクはドリブルで仕掛ける。



「(行かすかっての!)」



 月城が相手の前に立ち、右からの突破をさせんとしていた。


 これに左へとサイドチェンジで大きく、日本を振ろうとするイラク。



 しかし今度は白羽が頭でカット。両サイドの選手達がそれぞれ守備で貢献して、イラクにチャンスを与えない。



 このセカンドボールを狼騎が拾うと右サイドをドリブルで上がる。迫り来るイラク選手が狼騎へと強く、体を当てて来るが狼騎は倒れない。それどころか体をぶつけ返して、逆に向こうのバランスを崩させていた。



『酒井からクロス上がった!室が待ち構える!』



 右サイドから狼騎が右足でクロス。室が飛んで相手DFの上からヘディングを叩きつける。



 2点目は許さんとダルシンが跳ね上がるボールを右手に当て、意地のスーパーセーブ。



 こぼれたボールをDFのモンドが拾いに向かうが、抜群の瞬発力を持つ狼騎が此処で本領発揮。


 モンドが拾うよりも速く、ボールへと飛び込み右足で押し込んでいた。



 ゴールマウス内のラインを越える前にダルシンが弾く。だが主審は完全にラインを超え、ゴールマウスに入ったと判断して日本ゴールの判定を下す。



『ダルシンかき出す!おっと?ゴールだ!主審はゴールの判定、日本2点目が決まったー!』



 イラク選手達が駆け寄れば主審に入っていない、その前にクリアしたからノーゴールだと、かなり怒った表情で詰め寄っていた。



 記録は狼騎のゴールとなり、これで2ー0。日本サポーターの居るスタンドを中心に大盛り上がりのドーハ。



 此処から2失点で悲劇などにはさせない。





「5番と6番迫ってるよー!気を付けてー!」



 エースのアブドラをマークしながらも、弥一は上がって来るイラクの選手達を見つけてはコーチング。



 これに後半から両サイドの白羽、月城に代わり入った優也、光明がいち早くマークしていく。



 やはりアブドラの高さを使うしかないと、再び彼へハイボールを送る。



「(また来るんだろ!?今度は踏ん張っておけば!)」



 何度も嫌な所で弥一のアタックを受け続けてきたアブドラ。此処も来ると予測して彼の当たりに備えるが、今度は一向に来る気配が無い。



「あ……!」



 弥一の妨害へと意識が向き過ぎて、ハイボールを見逃してしまう。流れたボールは佐助が難なくキープして繋げて行く。



「(そりゃ警戒MAXでさっきみたいには行かないってー)」



 アブドラの心を見て、弥一の妨害に強い警戒を持っていた事を見抜き、弥一はあえて彼に何もせず放置したのだ。



 衝撃に備えていたアブドラはフリーだったのだが、弥一のせいですっかりと調子を狂わされてしまう。





「〜〜〜!!」



 ドンっ



「わー!?」



 あまりに苛ついて、アブドラは後ろから弥一を手で押してしまう。これに弥一は大きくリアクションしながら倒れていった。



 主審はすぐにアブドラへと走れば、赤いカードを胸ポケットから出して右手に掲げる。



『あー!レッドカード!アブドラ、神明寺を突き飛ばして倒した事で一発退場だ!!』




「な!?そんな強く押してないぞ!あいつが大げさに倒れたんだ!」



 納得いかないとアブドラが抗議するも、主審は首を横に振り聞き入れない。



「弥一、大丈夫か!?」



 怪我をしていたら大変だと影山が駆け寄ると、弥一はうつ伏せで痛そうにしている。



「お、おい!」



「あ……このまま心配してるフリしといて〜、僕もうちょっと痛い演技してるから〜」



 番も駆け寄ると、弥一から倒れながら演技しといてと言われ、彼が実はノーダメージだと知らされた。



 すべては弥一の演技、苛立ったアブドラを罠にはめていたのだ。



 すぐに立ち上がれば不自然、長く倒れたままでも不自然、これぐらいなら自然だろうというラインで、弥一は背中を痛そうに抑えながら立ち上がる。




「演技ならもうちょっと上手くやれ、ブラジルなら落第点だぞ」



「あ、今のマリーシア駄目だった?」



 弥一の演技はまだまだ、という感じで光明はこっそり弥一へと伝えていた。



 本場のマリーシアを知る光明からすれば、甘い演技に見えたらしい。


 場合によっては、弥一の方がカードを喰らっていた可能性があったかもしれない。



 マリーシアは奥深いなぁと呟きながら、弥一はポジションへと戻る。




 時間は刻一刻と過ぎて後半45分。そこに至るまでが試合を見守る日本サポーターにとって、特に長い時間のように思えた。



 アディショナルタイムに突入すればサポーターは特に声を上げて、集中しろと言わんばかりに声援を送り続ける。


 ドーハの地、相手はイラク、因縁が重なり選手以上にサポーターの方が気を抜けなかった。




 それとは裏腹に試合の方は日本ペース。アブドラの代わりに入った長身選手に高いボールを集めるが、佐助や番がこれを跳ね返す。



「2失点と言わず1失点もしないよー!完封で行こうー!」



 自分達守備が主役だと弥一はコーチングを続け、士気を高めさせている。




 そして最後、自らの前にボールが転がると、弥一はボールをドーハの空へ高々と蹴り上げた。



 瞬間、主審の笛は鳴らされる。




『試合終了ー!!Uー20日本、因縁の地カタール、ドーハで因縁の相手イラクを2ー0で下しベスト4進出!Uー20ワールドカップの切符を勝ち取りましたー!!』



 試合が終われば、世界大会出場を決めた日本は歓喜の輪を作り、弥一は日本サポーターの元へと駆け寄って喜び合っていた。



「遠いドーハの地まで応援ありがとうー♪悲劇起こさず勝てたよー♪」






「一つの山は超えましたね」



「ええ、やりました……!」



 ベンチでマッテオと富山は握手を交わし、最低ラインの本大会出場を決めて心底ホッとした事だろう。



「ですが、これだけの為にわざわざドーハに来たのではありません。目標はアジアの頂上ですから」



 出場権は手に入れたが日本のアジアでの戦いはまだ終わらない。マッテオだけでなく、切符を勝ち取った日本チームも此処で満足はしないはずだ。



 だが今は本大会出場。その大仕事をやり遂げた喜びに、もう少し浸っておいてもバチは当たらない。




 日本2ー0イラク



 神明寺1


 酒井1

弥一「ワールドカップ出場ー♪」


大門「Uー20、だけどやっぱりその名前がつくと特別感半端ないよな」


優也「世界最大の国際大会って感じが一気に出る、ついこの前立見サッカー部に入部したのが遥か昔に思えるのは気の所為か?」


弥一「なになにー?まだ老け込むような歳じゃないでしょー」


想真「ほらー!祝いやるから立見トリオ速く来んかいー!」


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サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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