Uー20アジアカップ予選決勝トーナメント1回戦 日本VSバーレーン
※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。
アジア予選グループリーグを勝ち抜いた、猛者達が集結の決勝トーナメント。
ベスト4までがUー20ワールドカップの切符を掴める戦い、日本の初戦は5枠に入り勝ち上がって来た中東の国バーレーンだ。
『日本、Uー20ワールドカップへ行く為に此処から1つの取りこぼしも出来ない、一発勝負のトーナメントに挑みます!このバーレーンに勝ってまずは先に進みたい!』
『辰羅川君や照皇君の負傷と厳しい状況ではありますが、これをなんとか乗り越えてほしいですね。相手も過酷な戦いを勝ち上がって無傷ではないはずですから』
決勝トーナメントへと入り声援もより大きく、スタジアムが歓声に包まれる。
選手達はその中で現れ、国歌斉唱が行われた後に両キャプテンでのコイントス。結果は日本の先攻だ。
「弥一、弥一」
「うん?」
キックオフの為に位置へとそれぞれ向かう中、弥一を呼ぶと光明はヒソヒソ話し始めていた。
「じゃ、それで行こっか♪頼むねー」
「おう」
何やら悪巧みをしていそうな弥一と光明。打ち合わせを終えれば、互いにポジションへと向かって小走り。
センターサークルに光明と室が立つと主審の笛が鳴り、試合は始まった。
ピィーーー
室が軽く蹴り出すと光明は弥一へ、一直線にボールを送った。
送られたパスを弥一は軽々と右足でトラップ。
大事な決勝トーナメント、バーレーンは慎重であり弥一の動きを警戒している。
彼が守備だけでなく、ドリブルやパスにシュートまで優れたリベロだという事は既に知っており、厄介な相手として見られていた。
すると弥一はドリブルを開始。そのまま来るかと、バーレーンの2トップがプレッシャーをかけようと向かう。
だが向かって来る事を分かっていた弥一には、なんのプレッシャーにもならず。相手の2人に構う事なく思いっきり左足で、右サイドへ大きく蹴っていった。
「(大き過ぎだ、ゴールキックだな)」
バーレーンの左サイドを守るDFはパスが大きいと、序盤から走ってスタミナを消耗する事を避けてか無駄に走らず、弥一が蹴ったロングボールを見送る。
「(思った通り、注意力が足りてないな!)」
しかしこのボールに追いかける、蒼きユニフォームを纏う選手が居た。その姿にバーレーンの左SDFはぎょっとしてしまう。
光明が右サイドを走り、弥一の大き過ぎると思われるロングボールを追い掛けていた。
ゴールラインを割る、かと思われたがフィールドにワンバウンドすると、ボールは前へ行かず後ろに跳ねる。蹴る直前に弥一がバックスピンをかけてたせいだ。
それが分かっていたか、光明はこれを追いかけてボールを取る事に成功する。
『通った!神明寺からのロングパスを源田が受け取る!』
バーレーンはゴール前を固め、光明の侵入を阻止しようとしていた。
だが彼はドリブルで中へ切り込む気は無い。後は彼に合わせれば良いだけなのだから。
右足で高いクロスを上げ、ボールは綺麗な弧を描きジャンプする室の頭に行っている。
バーレーンのDFも飛んでいるが室の頭が1つ上。195cmと日本の巨人ストライカーに高さで勝てる者は早々いない。
高角度で捉えた室の叩きつけるヘディング。地面を叩けばボールは大きく跳ね上がり、バーレーンのGKが伸ばす手を躱し、ゴールネットを揺らしていた。
試合開始から電光石火のゴール。観客が一斉に叫べば、スタジアムは熱狂の渦と化していく。
『室の豪快ヘディングー!!日本なんと開始から1分も、いや!30秒も経たない間に先制点!』
『神明寺君のロングパス、それを受け取った源田君のトラップと正確なクロス、そして室君の圧倒的高さと見事に噛み合いましたね!素晴らしい先制ゴールです!』
「源田ー!良いクロスありがとうなー!」
「アンタの高さあってこそ、だよ」
ゴールを決めた室。チームメイトと喜び合いながら、アシストしてくれた光明へと礼を言う。
その光明は室に対してナイスゴールと、右手親指を立てて称賛していた。
これを後ろから見ていた弥一は先程の光明との会話を振り返る。
「バーレーンの左サイドバック、アップ前動きが重そうだった。右から不意打ち行けると思うんだ」
「うんうん、それで僕はどうすれば?」
光明はアップの時にバーレーンの選手を観察。その時に左SDFの動きにキレが今一つだと感じていた。
ひょっとしたら連戦で疲れているのではないのかと。
「あいつの隙を突けるようなボールを蹴ってほしい。弥一なら可能だろ?」
「結構な無茶振りだねー、まあやるけどさー」
「何でもいい、俺はそれを受け取るから」
動きが重いとはいえ相手の隙を突けるボールを蹴れ、パスする方からすれば中々無茶な要求に思える。
だが弥一はその要求に応えていく。
そして彼はあのバックスピンをかけたロングパスを蹴り、光明は受けてゴールへと繋げてみせた。
バーレーンの1人の動きが重い事を見抜いてから、戦いは既に始まっていたのだ。
「守備陣ー!気を抜かないでねー!相手さん攻めに来るよー!」
「わーっとるわ!俺らがヘマする訳にいかんやろ!」
弥一が守備陣へと声をかければ想真が応え、バーレーンの反撃に備えて集中力を高めていく。
『先制ゴールを許したバーレーン、最低でも1点取らなければならなくなったので前に出るしかないでしょう!』
『それか、まだ時間はありますから慌てず最悪1点ビハインドでこのまま乗り切って来るという考えもあるかもしれませんよ』
前半28秒のゴール。いきなりの失点に驚きはするが、慌てはしないバーレーン。
しっかりと中盤でボールを繋ぎ、日本ゴールへと迫る。
だがその流れは突然断ち切られる。
『天宮、インターセプトだ!よく読んでいた!』
「カウンター!」
右サイドから中央へ折り返しの球を読んだ春樹。バーレーンのパスをカットした後に速攻だと叫び、明へとパス。
ワントラップして、前を向けば目の前にバーレーンの選手が詰めている。
だが明はそれを軽やかに躱してスタンドから「おおー!」と彼の華麗な動きに対し、歓声が上がっていた。
左サイドを弾丸の如くスピードで駆け上がる月城へ、明は左スペースに右足で相手DFの間を通すスルーパス。
このパスが通り月城は左斜めから素早く切れ込み、GKは身構えている。
このまま一対一に持ち込んで月城は得意の左足でシュート、だがこれを相手GKが必死で弾く。相手のスーパーセーブに阻まれてゴールならず。
DFが後はこのこぼれたボールをクリアするだけ、バーレーンDFが向かうがその前に拾ったのは光明だった。
追いついた光明はそのままゴールへ向かって、思い切り左足で蹴り込む。
月城のシュートを止めて体勢が不十分だったGKはこれを取れず、ゴール右へとボールがネットに突き刺さり、豪快に揺らしていく。
『日本追加点ー!月城のシュートが弾かれた所を詰めていた源田!この試合早くも1ゴール1アシストと好調だ!』
『良い所に詰めてましたね、嗅覚と言うべきでしょうか、それが優れていますよ!』
「美味しい所持ってきやがったなー!」
「1点は1点だから良いでしょ別に!」
月城が光明の頭をくしゃくしゃと乱暴に撫で、荒っぽい祝福となった。
一方でこの時間、もう一つの試合でオーストラリアとヨルダンの試合が行なわれていた。
此処も本大会への切符を目指ず真剣勝負、だが試合は一方的だ。
高いクロスからオーストラリアの長身選手が頭で合わせ、ゴールネットを揺らしていた。
『オーストラリアこれで5点目!ダメ押しのゴールが決まり5ー0!圧倒的だ優勝候補!』
ヨルダンは要のハサ、カッシムを日本戦で欠いて戦力はダウン。
非常に不利な状況下で優勝候補のオーストラリアと当たり、彼らの圧倒的なパワーと高さの前に屈したのだった。
試合はこのまま終了し、オーストラリアがベスト8進出を決める。
ロッカールームにてチームメイトが談笑しつつ着替える中、レヴィンは日本戦をスマホで速報のチェックをする。
「また、派手にやってんなぁ」
レヴィンがスマホで見た日本戦のスコア、思わず彼はそんな感想が口に出ていた。
2点リードで日本は勢いに乗り、左右から日本の誇るサイドアタッカー達のスピードある攻撃、優れた技術を兼ね備えた中盤のパス回しや個人技、バーレーンは振り回されまくり心身ともにすり減らされていた。
そこから再び室の頭で追加点、更に混戦から抜け出した春樹がミドルを決めて前半で4ー0。
後半は室に代わり狼騎が出場し、彼の個人技や反射神経で1点を追加。
相手はロングボールを放り込んで来るが高さに優れる番、佐助がこれを跳ね返して、ダブルボランチの2人が主にセカンドボールを拾って追撃をさせない。
苦し紛れにロングシュートが飛んでくるも、藤堂がきっちりと抑え、バーレーンを完封。
途中から月城に代わり出場した優也が、ダメ押しの6点目を決めて試合は決し、日本が6ー0の完勝でベスト8に駒を進めていた。
日本、オーストラリアに続き韓国も勝ち上がり、更にイラン、イラク、サウジアラビアと中東の強豪も順当に勝っていく。
日本の次の相手はその中東の強豪イラク。彼らとワールドカップの切符を争う事が決まる。
日本6ー0バーレーン
室2
源田1
天宮1
酒井1
歳児1
想真「皆お好み焼き食ったおかげでパワー出たやろ?」
光明「だとしたら毎食お好み焼きになりそうだなこの結果は」
月城「さすがに美味くても飽きるっつーの、スーパーフードでもそんな頻繁に食えばいいってもんじゃねえと思うし」
想真「毎日は俺も食わへんわ、色々なのバランス良く飽きずに美味しく食うのが一番や」
弥一「じゃあ次は飛翔龍の炒飯でー♡」
大門「何か期待される目で俺見られてる……!?」
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