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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第16章 アジアをぶっ壊せ!Uー20アジアカップ
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決勝トーナメント進出を決めて

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 Uー20アジアカップグループ予選。日本が全勝で決勝トーナメント進出した事は、日本国内のニュースで流れていた。



 それ以上にSNSではヨルダン戦でちょっとした祭り騒ぎが起きている。




 日本にラフプレーをした報い!



 悪い奴には天罰が下るもんだな



 ハサ、カッシム兄弟ざまぁぁぁーーー!!



 照皇の仇討ちしてくれてありがとう酒井!3番いい気味!



 この調子で中東キラーになってってほしい!




 こんな調子でトレンドにもなるぐらい彼らは騒ぎ、更にはベトナムのサポーターもヴァンの仇討ちしてくれてありがとうと、感謝する投稿まであった。





「トレンドにラフプレー、ざまぁ……これほとんど昨日のヨルダン戦のだよな」



「外から見て相当ムカついてたんだねー」



 弥一と冬夜は病院へと来ていた。昨日負傷した辰羅川の様子を見に行く為だ。


 その待ち時間の合間にSNSをチェックした後、2人は辰羅川の病室を聞いて向かう。



 此処はヨルダン戦で負傷した、辰羅川が緊急搬送された病院。彼は一晩此処で過ごしている。



 彼の居る病室前まで来れば、2人は中へ入る事を伝えて病室内へ入る。



「おお、弥一に冬夜か……来てくれたんだな」



 病室にて辰羅川と対面すると、彼はベッドで寝ており胸には包帯が痛々しく巻かれていた。



「タツさん……大丈夫ですか?」



「正直胸は痛む。医師の話だと肋骨にヒビが入っていてな……骨が修復して完治するまで2ヶ月か3ヶ月らしい」



 心配そうにする冬夜に、辰羅川は医師から言われた事を隠さず告げる。



 肋骨にヒビが入っていて胸が痛む現状。辰羅川が今大会中に復帰する事は100%不可能だ。


 つまりこの大会、決勝トーナメントからは辰羅川無しで戦わなければならない。



「ワールドカップは9月、充分に期間ありますからタツさんは何の心配もせず治療に集中してくださいね♪」



 今の2月から7ヶ月後、本戦のUー20ワールドカップは秋に開催される。


 それまでに治そうと弥一は辰羅川に明るく言う。



「はは、まあ兄弟2人に比べりゃまだ軽かったのが不幸中の幸い、かな?」



「兄弟2人?ってまさかあいつらも此処運ばれました?」



「ああ、それも慌てた様子で集中治療室に運ばれたみたいでさ。相当ヤバかったらしい」



 辰羅川はその時の事を思い出す。自分が此処に運び込まれて治療を受けていたら、ハサ!カッシム!と呼びかける声が聞こえてきた。



 危険な状態だ!早く運べ!と切羽詰まった感じで言う医師の声。


 自分が運び込まれてから、何が起きたのか分からない。ただあの2人の身に何かあったんだというのは伝わった。



「あー……あいつら、弥一を挟んで空中戦に行ってたんですよ。タツさんの時と似た感じで多分今度は弥一を潰そうと、ただそれで同士討ちになったって感じで」



 試合に出て間近で見ていた冬夜はその時の状況を説明。



「おいおい……つまり弥一も此処で入院するかもしれないって所だったのか、そりゃ危なかったな」



「危機一髪って感じでしたよー」



「ムカついていましたけど、流石にああなると気の毒には思いましたね」



 辰羅川も冬夜も気付いていない。一部は弥一が仕組み、同士討ちを誘ったという事には。




 ハサとカッシムはそれぞれ鼻の骨が折れたり、肋骨が骨折するという重傷。それに加えて激突の時に頭から落下して、頚椎まで損傷していた。



 首が固定された状態での絶対安静。最悪後遺症が残ると言われており、彼らは今回のアジアカップどころか、この先もうサッカー選手として続けられない体となってしまう。




 後に彼らはこう語る。



 一瞬死神が見えた、と。




 それが違う世界から現れた異形の怪物か。または彼らが潰そうとしていた弥一がそう見えてしまったのか、真実は定かではなかった。






「おい、お前ら!」



 辰羅川の見舞いを終えてドーハの宿泊ホテルに帰ってくると、弥一達に声をかける者がいた。



「ユンジェイ……!」



 弥一に恨みを持つユンジェイ。冬夜は何か因縁でもつけに来たのかと警戒していて、弥一は彼の姿をマイペースに見上げるのみだ。



 だが彼から出たのは意外な言葉だ。




「タツの体は大丈夫なのか、ヨルダンの野郎共に手荒いラフプレーを受けただろ!」



「え?あ、ああ……肋骨にヒビが入ってて復帰まで2、3ヶ月らしくて今回のアジアカップは欠場って事に」



「ち……あいつら……!」



 ユンジェイは辰羅川の容態が気になり、日本の2人へと大丈夫かどうか聞いていた。戸惑いつつも冬夜は説明する。


 ヨルダンのラフプレーにユンジェイは怒っているようだ。




「(ああ、同じ横浜のチームメイトとしてタツさんの事が心配だったんだ。この人ツンデレタイプかぁ)」



 辰羅川と同じ横浜グランツユース。チームメイトとして心配なんだなと、ユンジェイの心を読んだ弥一は今の彼に対して、何だか微笑ましく思えた。




「お前ら、タツがいないからって日韓戦は手抜きしないからな!そこは韓国が勝つからな!」



 悪質なプレーを受けて少し同情はしたが、アジアカップで当たった時は手加減しない。それだけ言うとユンジェイは2人の前から立ち去って行く。



 決勝トーナメントには韓国も全勝で勝ち上がっているので、当たる可能性は充分だ。



「相変わらず騒がしくて熱い人だなぁー」



「ああ、あんな情熱的なのはそういないだろうさ」



「うん……ん?」



 弥一は冬夜が喋ったのかと思ったが、その声が彼と違う事に気づき、声のした方へと振り向く。



 一際大きな体を誇るオーストラリアのレヴィンが、その姿を見せていた。



「このホテルに宿泊する国揃って決勝トーナメント進出のようだな」



「って事はあんたらオーストラリアも?(つかこいつ日本語出来るんだ……)」



 冬夜、弥一と話す今のレヴィンの言葉は日本語として発せられており、2人によく伝わって来る。



「ああ、全勝さ」



 不敵に笑うレヴィン。きっちりとオーストラリアも全勝で、決勝トーナメント進出を決めていた。



「とりあえず初戦はお前らじゃないようで、初っ端からこのホテルでの潰し合いは無かったな」



「もう組み合わせ発表されたんだ?えーと……」



 レヴィンから決勝トーナメントの組み合わせが発表された事を知らされ、弥一はスマホで確認する。



 決勝トーナメントは各グループの首位10カ国。それに加えて2位の優秀成績を収めた5カ国。ホスト国カタールも含めた16カ国だ。



 日本は1回戦でバーレーンと当たる事が確定していた。ヨルダンに続き、中東勢との試合になる。




「そんじゃ、俺はこれで。決勝トーナメントに向けて調整しないとな」



 大きく体を伸ばしながらレヴィンはその場から去って行く。



「またねー」



 弥一はレヴィンに手を振った後に、トーナメントの組み合わせを冬夜と共に確認する。






「(神明寺弥一……か)」



 ヨルダン戦で彼のプレーを動画で見ていたレヴィン。人々は2点目の華麗なFKに注目するが、彼の場合はプレー全般に注目。



 コーチングによる的確な指示、ヨルダンの兄弟を翻弄する守備。それはユースレベルを超えたものだ。





「流石、神に愛された子供達の1人って所かな……」



 レヴィンが小さく呟いた言葉を聞いた者は誰もいない。

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