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サイコフットボール ~天才サッカー少年は心が読めるサイキッカーだった!~  作者: イーグル
第16章 アジアをぶっ壊せ!Uー20アジアカップ
413/657

悪質兄弟に対してざまぁをするサイキッカーDF

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。


今回はちょっと(?)ざまぁな感じにしてみました。

 ヨルダンのロッカールームでは監督含め、チームの面々がそれぞれ笑い合っていた。



「面倒な右サイドが潰れてくれて良かった。あいつがいなくなれば日本の勢いは鈍ってくれる事だろう」



「日本はサッカーが上手くても真っ向勝負、正々堂々を好む真面目な連中だからな」



 彼らは日本人の性格等を利用し、ラフプレーを決行していた。


 向こうは相手がどう来ようが冷静に正々堂々な勝負をする、それが美学であると。



 やり返して来る事も皆無なので、実にやりやすい相手だと笑っていた。



「後半は1点を取りに行くぞ、その為には確か日本の神明寺弥一か……あのチビが何かと厄介だと聞く。あいつさえ潰せば完全に日本は機能停止かな」



「あんな小さい奴を潰すぐらい楽勝さ、貧弱そうでそういうプレーに慣れてなさそうだったしな」



 ハサとカッシムはそれぞれ高笑いしながら、日本の弥一を今度は狙いにつける。守備の要を潰して、それで自分達がこの試合をもらう。これが彼らのプランだ。





 だがこの時まだ気づいていない。それを企み決行する事が彼らのサッカーのみならず、人生で最大の間違いだった事に。





『両チーム出て来ました。今大会初めて日本は0ー0で折り返し、辰羅川が負傷退場してしまうという苦しい状況。代わって歳児が右サイドへと入ります』



『引き分けでも日本は得失点差の関係で首位通過は決まりますが、スッキリと勝って決めてほしいですね』




 フィールドへと姿を現す両チーム。そこにハサとカッシムの2人は弥一の姿を見つけてニヤニヤと笑う。



 その彼らが考えている事、弥一には筒抜けだった。



「(へぇー、来てくれるんだ。手間が省けて助かるね♪)」



 辰羅川を潰しただけじゃ足りず、今度は弥一を潰そうとしている。


 悪意を向けてくる事に弥一は内心で笑う。





 バカな奴らと。






 後半が始まりヨルダンは攻勢へと出る。引いていた前半と違い、勝ちに来ていた。



 ロングボールを放り込む戦法を主に使うヨルダン。これが日本の弱点だろうと言わんばかりに、高さで攻めまくる。



『ヨルダン高いボール放り込む!仙道佐助これを弾く!』



 しかし日本の佐助、番と高さある2人がそれぞれ頭で弾き返していく。



「精度全然怖くないよー!どんどん弾き返しちゃってー!」



 それを盛り立てる弥一。セカンドボールを拾いに行くと、そこに襲いかかるハサの姿があった。



「(お前もくたばれ!)」



 弥一の顔面へと肘が伸びて行く。明らかにハサはわざと狙ってだ。



「オオ!?」



 だが彼の肘は空振り。弥一は更に身を低くして躱すと、目測を誤ったハサはそのままバランスを崩し転倒。



 その間に弥一はボールを蹴り出してクリア。



 ハサが立ち上がる中、弥一は彼の方を見る。




「だっさ♪」



「!」



 ニヤリと笑う弥一の顔を見て、ハサは自分をバカにしている。そう感じて顔は怒りへと変わっていく。



 弥一が何を言ってるか通じなかったが、態度は伝わったらしい。




「あいつ……へぇ」



 相手に対する弥一の態度。ベンチから見ていた光明は他と違う弥一に対して、興味深そうにその姿を見ていた。





 ドリブルでボールを運ぶカッシム、そこに弥一か並走する。



 これにチャンスだとカッシムは一瞬ニヤッと笑えば、彼も同じように肘で並走する弥一の顔面を狙った。



 だが弥一には当たらず先程と同じように身を屈めて躱し、逆にカッシムからボールを奪取した際に彼の右膝を削っていく。



「ぐう!?」



 痛む右膝を押さえ、カッシムはファールだとアピールするが、審判は取ってもらえない。



 全ては審判の目に届かない死角の位置。VARもこの試合は導入されてはいないのでバレない。


 ヨルダン側がやってきた事を今度は弥一が利用しているのだ。



「(日本人が俺達にやり返して来やがったのか……!?そんな事してこないはずじゃなかったのかよ!)」



 日本人はやり返さない、そう思っていたカッシムだったが弥一は例外だ。



 彼らよりも狡く、躊躇無く実行してくる。




 そして弥一が渡したボールは影山から光輝と素早く繋がり、相手を綺麗にターンで躱す技を見せて光輝はドリブルで中央を突破。



 このカウンターに戻るヨルダンDF。そこに光輝は相手DFの間を抜けるスルーパスを右足で出すと、照皇が走る。


 そう思ってヨルダンDFは彼に意識が向いていた。



 だからか、大外の左から猛スピードで上がってきた人物に気付いていなかった。



 優也と同じく陸上経験を持つ冬夜。彼もまたスピードに自信を持つプレーヤー。


 FWの照皇より前に行って光輝のスルーパスを受ければ、左斜めからゴール前へと一直線にドリブル。



『広西抜け出したー!GKと一対一!』




 GKが前へと飛び出して来る。それがしっかり見えていた冬夜は、相手の下を狙って右足でシュート。



 ヨルダンGKの股下を通過していき、ボールはゴールマウスの中へとしっかり入っていた。




『決めたぁぁー!後半8分、日本先制点!決勝トーナメントに大きく近づくゴールです!』




「うおお!やったぁぁー!」



 今大会初ゴールの冬夜。日本代表となって決めた得点に喜びを爆発させて、大歓声の観客に応えていく。



「ナイスラン冬夜ー♪」



「流石の走りだなお前」



 冬夜のゴールを喜ぶ弥一と幼馴染の走りを称賛する優也。





「くそ、先制点はあっちか!」



「まだだ、あいつを潰して日本の守備を壊せば2点ぐらい……!」



 ハサ、カッシムの兄弟は揃って、弥一を敵意剥き出しで睨む。


 潰す事はまだ諦めていないようだ。




 試合が再開し、積極的に攻めてくるであろうヨルダンに対して、照皇と室が前からプレスをかけていく。



「ウオっ!」



 その最中、ヨルダン選手が倒されるファールをしたのは室だった。



 これに主審はすぐに笛を吹くと、ヨルダンはセンターサークル付近からFKのチャンス。



「(お前ら、日本の他の奴らの注意を引いてろ。その間にあのチビを……潰す!)」



 ハサはヨルダンの選手達に作戦を伝えると、数人の長身選手が日本ゴール前へと集まる。




『これはヨルダン、長身選手が上がって来ました!』



『このパワープレーは危ないですね!日本気をつけないと!』



 ヘディングの高さでチャンスを作るつもりと周りは思っているが、真の狙いは弥一を潰す。その為の目眩ましに過ぎなかった。




 弥一の前、後ろにハサとカッシムの兄弟が忍び寄る。辰羅川と同じように、弥一も此処で潰そうとしている。




「(あ、来てくれた。ホント手間を省かせてくれるなぁー)」



 顔には出さず弥一はこの状況。自分を潰そうとしている事は把握しつつ、獲物が来てくれたと思っていた。




 それに気付かずハサとカッシムは殺気立たせながら弥一を睨む。




「(くたばれ日本人のチビ!!)」



 ヨルダンのFKが始まり、放り込まれるロングボール。



 合図されたかのようにハサとカッシムの2人が前から、後ろから勢いをつけて弥一へと迫る。



 弥一は来たロングボールに対して飛び上がろうとしている。これを見て兄弟2人は飛んで無防備となった所に前からハサが膝蹴り、後ろからカッシムが肘打ちを狙う。


 勢いを今度は付けている分、当たれば辰羅川よりも重傷の可能性大だ。



 だが彼らは最後まで末路に気づく事は無かった。






「お前らがくたばれ」



「!?」



 冷酷な言葉を言い放った弥一。すると次の瞬間に弥一の姿が、兄弟2人の前からフッと姿を消していた。



 ハイボールに対して上へ飛ぶと見せかけて、弥一は地面を強く蹴れば右へと横っ飛び、ハサとカッシムの襲撃を躱す。



 そして弥一が目の前から消えたハサとカッシムは勢いをつけて、飛び上がってしまうと空中でガツンと激しく衝突。



「か……!」



「お……!」



 ハサの膝がカッシムの胸部へ、カッシムの肘がハサの顔面へとそれぞれ強打。



 更に不運な事にバランスを崩してフィールドへ倒れる際、頭から落ちてしまっていた。受身が取れないままの危険な落ち方だ。




「倒れてるー!倒れてるー!ボール早く外に出してー!」



 これに弥一は緊急だと騒ぎ、ボールを早く外に出すよう言うと、球はタッチラインへと出されていく。





『あーっと!これは!?ヨルダンの方で選手2人が倒れています、ハサとカッシムでしょうか……?』



『うわ、これ……味方同士で激しく衝突しましたね』




「ハサ!」



「カッシム!」



 これにヨルダンのチームメイトはそれぞれの元へ駆け寄り呼びかける。主審も向かうと、思わず目を背けたくなるぐらいに悲惨な状況だった。


 ハサとカッシムの2人は揃って白目をむいて、立ち上がるどころではない。



「た、担架!担架だー!大至急早く!!」



 辰羅川の時よりも慌ただしく担架がやって来る。ヨルダンのベンチもバタバタと交代で動き出していた。



 言うまでもなく兄弟2人は試合続行出来る状態じゃない。



 背筋の凍るような惨状を見て、先程までゴールで盛り上がっていたスタンドは静まり返る。


 ヨルダンのラフプレーでブーイングを送っていた日本サポーターも、自国のラフプレーにもっとやれと声援を送っていた、ヨルダンサポーターも呆然としていた。





「ムカつくとは思ったけど……あれは……」



 向こうのラフプレーで、辰羅川を負傷させた事は許せないと冬夜は思っていたが、それ以上の危険な状態の可能性ある2人が、担架に運ばれるのを見ると流石に大丈夫かと思ってくる。



 その時、彼は思い出す。



 弥一が後半始まる前に言った言葉。




「あいつら後半死ぬからさ」




 何がどうなってそうなるのか、ただの冗談かハッタリと思っていたが彼の言葉は本当に近い状態で実現。




 だが弥一はラフプレーを仕掛けていない、むしろ仕掛けたのは相手側。向こうが弥一を潰そうとした末路だ。


 ただの偶然、しかし言葉を思うと冬夜は背筋がゾッとしていた。




 そんな中で弥一は。




「(こういうのって今時は言うんだっけ?「ざまぁ」って)」



 担架で運ばれていった2人の姿を見て、内心ニヤリと笑ったのだった。

詩音「あー!神明寺先輩危ない!あいつら2人が来て……!」


玲音「うわ!?痛そうー!」


半蔵「おいおい……あいつらヤバくないか?」


摩央「一歩間違えれば弥一がああなってたよな……?恐ろしい世界だ……!」


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