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元チームメイト同士の執念の戦い

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 立見が初戦に続いて圧勝し、それに続くかの如く八重葉も4ー0、琴峯が2ー0と3回戦を勝ち抜く。最神のような番狂わせが今回起きる事はなかった。



 その最神を破り、番狂わせを起こさせたダークホース牙裏は3回戦で前川と激突。



 今大会無失点のGK岡田と注目のストライカー狼騎の対決でもあり、彼らを知る者にとっては石立中学の同期対決だ。



「よお、狼騎久しぶり」



「フン……雅治か」



 ウォーミングアップの時に2人は出会い、かつての同級生同士として互いの事は知っている。


 岡田が気さくに挨拶したのに対して、狼騎は素っ気ない感じだ。



「お前にはよくシュート練習付き合ったっけか、容赦なく撃ち込まれてよ」



「……そんな事もあったか」



「そのおかげで実力伸ばせたと思ってるけどな、良いシュートに良いコース突いたりと止めるのがマジ大変だったし」



「取りやすいコースと強さで誰が蹴るかよ」



 石立中時代によく練習で一緒になっていた2人。それぞれシュートやキーパー練習として互いに活用し、己のレベルアップに励んだ過去を持つ。



「悪いが今日は1点も許す気はねーからな」



 そう言って岡田は再びアップへと戻る。ストライカーに対して1点も許さないという言葉は挑戦状のようなものだ。



 岡田の後ろ姿をじっと見る狼騎。今回の狼の獲物は決まったらしい。




 フィールドで互いにユニフォーム姿となり、それぞれポジションへと散って試合開始の時を待つ。



 スタメンには狼騎の姿が見え、相手のゴールマウスには岡田が立っている。



「相手のGKは相当やるみたいだけど、俺達でそいつをぶち破りに行くぞー!」



「「おう!!」」



 円陣を組んでキャプテンの佐竹は気合いの掛け声。これに声を揃えてチームメイトは応える。



 その中で狼騎だけは応えず形だけ合わせてやってるという感じだ。




 ピィーーー




 前川と牙裏の試合がキックオフ。最初の攻撃は前川から始まり果敢に牙裏のゴールへと迫る。


 左サイドの選手に預けて左から切り崩すと見せかけ、ワンツーで中央から前川は攻めに行った。



 これを読んでいたか牙裏DFが阻止。素早く中盤の佐竹へと繋ぐ、



「左来てるぞ左ー!」



 ゴール前から岡田は声を出して味方へ指示を送りつつも、狼騎の動きを見ていた。



 牙裏の左サイドDFが上がっているが、佐竹は狼騎へと直接右足で正確なパスを送っていく。



 対してインターセプトを狙いに行く前川DF。その前に狼騎が強引にDFを腕で押し退けて、彼より一歩先に出ればボールを取る。



 そこにシュートコースを塞がんと、2人がかりで狼騎の前に立つ。


 どんなフェイントで来ようが抜かせない構えだ。



 だが狼騎の次に取った選択はドリブルでもパスでもない。コースを塞ぐ彼らに対してシュートだった。



「かはっ!」



 近距離で振り抜かれた左足のシュート。DFの1人が胸にこれを受けて、一瞬息が出来なくなる感覚に陥ってしまう。



 弾かれたボールに狼騎が一番早く反応すれば、一気にトップスピードへと乗ってセカンドボールに追い付いて見せた。



 DFの対応が遅れる中で、再び狼騎は左足を振り抜く。


 今度はコースが空いており、ゴール左隅を狼騎のシュートが強襲する。



 これに対して岡田が素早い反応。ゴール左隅のシュートにダイブした後、右腕を伸ばすとボールを弾き飛ばし、コーナーへと流れた。



「ち……!」



 狼騎もこれには追う事が出来ず足を止めれば、この時シュートストップに成功した岡田と目が合う。



 どうだ止めてやったぞと言わんばかりに、岡田はニヤリと笑っていた。


 狼騎はそれに対してフン、と鼻を鳴らすのみ。



 序盤から元石立中の2人はバチバチにやり合う。




 両チーム攻め合うが互いの守備陣が奮闘。牙裏は体を張った守備で粘り、前川は岡田のファインセーブが光る。



 0ー0のスコアから中々動かず後半戦へと入れば、暑さも増して選手達の体力は奪われていく。



 体力と同時に集中力も低下。それは前川DFの自陣でのパス回しで起こった。




「あ!」



 パスを捌ききれずトラップミス。普段ならしないであろうミスが起こってしまう。



 それを狼は見逃さなかった。



 トラップ出来ず、こぼれたボールに素早く走って行き、相手が拾うよりも先に掻っ攫いゴールへと狼騎が独走。



 一気にトップスピードへと乗ったその足には、誰も追いつく事が出来ない。



 岡田との一対一。狼騎はギリギリまでドリブルで迫り、距離を詰めれば岡田の方も飛び出して狼騎に向かっていた。



 狼騎は岡田の足元を狙いに、モーションの短い右足のトゥーキックでボールをゴール右へ蹴った。



 GKにとってタイミングの取りづらいトゥーキック。だが岡田は咄嗟に左足を出して、足に当てるとボールを弾く。


 執念のセーブだ。



 しかし執念に関してはこの男も負けてはいなかった。



 弾かれたボールへと、瞬時に動き出す並外れた反射神経を見せれば、弾いて浮いたボールに対して額で捉え、ヘディングで狼騎が押し込みに行く。



 岡田も諦めずダイブし左手を伸ばすがその手は届かず。ボールは前川ゴールへと吸い込まれて、牙裏に先制点がもたらされた。



「くっそ!」



 今大会初失点。岡田は倒れ込んだまま右拳をフィールドへと叩き、悔しさを見せている。



「(手こずらせやがって……相変わらずしつこい野郎だ)」



 先制ゴールを決めた狼騎、チームメイトがゴールを喜ぶも彼だけは岡田を見ていた。




 前川の決死の反撃を凌ぎ牙裏が狼騎の1点を守り切り、1ー0で牙裏がこの試合の勝者となる。




「おい狼騎」



「あ?」



 ロッカールームへと引き上げる狼騎を岡田が呼び止める。振り返った狼騎の顔は勝利に浮かれた顔とは程遠く、不機嫌そうな表情だ。



「本当は俺らが立見に八重葉を倒して優勝するつもりだったけど……お前にやられちゃしょうがない、うちの分も勝って優勝して来いよ」



 それは岡田なりの元チームメイトへの激励。負けた悔しさはあるが優勝をかつて一緒だった狼騎に託す。




「お前らの分なんざ背負う気は無ぇよ、俺はムカつく野郎を殺しに行くだけだ」



 ふいっと岡田から視線を外しそれだけ言えば、狼騎はさっさとロッカールームへと引き上げてしまった。



 狼が狙う獲物は立見の神明寺弥一、その1人だけだ。

優也「前川、3回戦で負けたみたいだぞ」


弥一「岡田さん今年好調そうだったけどね、破ったのが牙裏かー」


大門「前川には去年お世話になったなぁ、合同練習やったりしたし岡田さんには低いパントキック教えてもらってたね」


優也「しかしダークホースの牙裏がどんどんと勝ち上がってるな、最神も倒している事を考えるとこれは……」


弥一「とりあえずうちはきっちり勝っていこー♪」


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