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天才に惹かれる兄弟達の活躍

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

 高校サッカー総体は3回戦へと入り、此処も今日と明日続けて連戦となる。



 午前の早い時間帯だが夏の太陽は燦々と輝き、容赦なく選手達の体力を奪っていく。観戦する観客達も水分補給が欠かせない。場内では水分補給を取るようにと、アナウンスが何度か流れていた。



「新潟代表の藤海ふじうみ第一高校は2回戦で当たった米井沢と同じ攻撃型のチームだ、2回戦で6ー2と派手に得点を重ねてるから勢い乗ってると思う」



 摩央から対戦校についての説明がされ、相手は6ゴールを決めて勢いに乗る新潟の藤海第一。


 彼らのアップする姿を試合前の補給となる、カステラを食べながら弥一は見ていた。



 勢いがあるのは立見も同じ事でこちらに関しては、今大会で唯一2桁得点の試合をしている。立役者である、氷神兄弟に半蔵と明は今日もスタメン出場の予定だ。



「じゃ、今日は前半で勝負決めちゃおっか。前線の皆をそれで交代させて休ませないとねー」



 よく点を取ってくれる前線だが全試合フル出場は流石に厳しく、無理をさせ過ぎて彼らがもし負傷でもしてしまったら、立見にとって大変な痛手なのは間違いない。


 特に氷神兄弟がよく動き回っていて相手を翻弄してくれるが、他と比べてスタミナの消耗は大きいだろう。彼らは何処かで休ませなければならない。



 それに関しては薫が考えているだろうと、弥一はベンチに居る薫へ視線を向ける。その心を見てみれば、氷神兄弟を途中で下げる事をやはり考えていた。



 前半で多くリードが奪えれば理想的。予想外に粘られ、接戦でも下げる事は変わらない。



 今回は相手との戦いと同時に暑さとの戦いでもある。




 やる事が決まれば弥一は詩音と玲音の居る方に向かい、2人へと声をかける。



「ね、2人とも今回は前半35分だけ働いてくれる?後半は僕らでなんとかするからさ」



「神明寺先輩に言われるなら35分といわず70分でも80分でも90分でも行きますよー」



「120分もどんと来いですー!」



 相変わらずな弥一信者の2人。弥一に頼まれれば彼らは前半に力を注いでくれるだろう。



「今日も頼もしいねー♪あ、ちゃんと試合の合間の水分補給も忘れずにー」



「「はーい」」




 そして迎えた藤海第一との3回戦。氷神兄弟は前線から攻守でちょこまかと動き回り相手を翻弄。



「っ……!(このチビ共!邪魔だな!)」



「戻せ!こっち!」



 一旦戻すようDMFの選手が伝えると、ボールを持っていた司令塔はヒールで後ろへ、その選手にバックパス。



 それを明が読んでいたのか一気にダッシュで寄せに行くと、相手DMFとの競り合いになる。



 明と相手が競り合っている間に川田も加われば、相手はキープしていたボールをこぼしてしまう。



 セカンドボールとなった球を明が拾い、前を向きドリブルを開始。迫る1人を鮮やかにターンで躱し、場内の注目を浴びつつ左サイドへ大きくパスを出した。



 そこに走る玲音の足元に収まると左サイドを駆け上がり、クロスを上げると見せかけ、相手エリア内に侵入。



 長身の半蔵へ来ると思い、マークを集中させていた藤海守備陣はドリブルを仕掛けて来た、玲音に対して1人が止めに向かう。



 咄嗟に玲音は左足で強めに右へと転がし、半蔵を通過。


 一瞬ミスかと思えばそうではない。彼ならそこに走り込んでるはずだと思ってのパスだ。



 玲音の転がしたボールに反応していたのは詩音。これを右足でそのままシュートを放てば、相手GKの伸ばした手はわずかに及ばずゴールネットを揺らした。




「ナイスシュート詩音ー♪」



「来ると思ってたよナイスパス玲音ー♪」



 双子ならではの連携、攻撃だけでなく守備でも貢献していて、立見に先制点をもたらしてくれた氷神兄弟は互いに抱き合い、ゴールを喜んだ。




 それからも双子は止まらず縦横無尽に動き回り点差を広げ、前半で4ー0。


 玲音の2ゴールと詩音の1ゴール、更に半蔵が決めていた。



 予定通り氷神兄弟はこの前半でお役御免となり、彼らは前半働いた後にベンチで水分補給を取りながら涼んで休む。



 後半に薫は氷神兄弟に加えて明も下げ、後半は武蔵と優也の出番だ。



「石田は下がらなくて大丈夫ー?」



「俺は行けます、暑さには強いんで」



「そりゃ頼もしい♪けど無理しちゃ駄目だよー、それで倒れられたら困るからさ」



「はい、こまめに水分補給は取っていきますから」



 前線で唯一半蔵だけ交代せず、弥一は大丈夫かと尋ねるが本人はやれると言い切る。痩せ我慢してないかと心の中を覗き込むが、無理している様子は無い。



 半蔵が残ってくれるなら高さという強みが残り、相手にとって無視できない存在感を放つのでありがたい事だ。



「お前らー!前線の1年に負けてらんねーぞ!残り時間集中してけー!」



 最終ラインから立見の闘将間宮が声を張り上げ、しっかりと気を引き締めさせる。



 攻め込んで来る藤海の攻撃も彼を中心に弾き返して、隙を与えない。



「三笠ー、8番に来るよー!」



「はい!」



 そして弥一は後輩へと先読みの指示を伝え、未然に攻撃を止めさせる。


 自らが動かず後輩がその力で止めて自信を付けてもらう為だ。



 攻めあぐねる藤海、するとチャンスは突然やってくる。



 優也が自陣でパスを回す藤海の動きが甘くなった事を感じて、パスコースを読んで動けばインターセプトに成功。



 そこからスピードを飛ばし単独で突き進み、足の止まっていたDFを置き去りにする。相手キーパーと一対一になった所を冷静に右足で蹴り込み、ダメ押しのゴールを決めた。




 藤海の心はこれで折れて試合は決まる。立見ペースで試合は最後まで続き、危なげなく5ー0で藤海を下す。



 立見5ー0藤海



 玲音2


 詩音1


 石田1


 歳児1

大門「大活躍だったな氷神兄弟」


詩音「そりゃ神明寺先輩によろしく言われましたから!」


玲音「言われたら応えますよ勿論!」


大門「そ、そうなんだ」


優也「ブレないな弥一信者」


摩央「ひょっとして来年もその信者増えるとかあるんじゃね?」


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