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夏の制覇に向けて動き出す立見サッカー部

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「皆ー、これフランス土産のお菓子ー♪」



 立見サッカー部へ今日から再び通う弥一達。部の皆にカヌレやマドレーヌといったフランスの菓子をそれぞれ配っていた。



「おおーこいつはありがてぇや」



 実は甘い物好きな間宮。練習終わりに食べようと楽しみが出て来る。



「本当はこっちが国際大会優勝祝わなきゃなのにお土産くれるなんて嬉しいですー♪」



「大事に食べますー♪」



 相変わらず弥一信者な氷神兄弟。貰ったマドレーヌやカヌレを大事そうに抱えていた。



「2人はあれから決勝の前川戦、大活躍だったそうじゃないか。リーグ戦も順調に勝ってるし」



「代表の皆さんいない間に負けてしまったとか出来ないですからー」



「連勝記録及び無失点記録は守りました♪」



 大門に大活躍と言われ、詩音や玲音は揃って誇らしげに胸を張る。





 日本からフランスへと旅立った日から翌日。立見の方では総体東京予選の決勝が行われていた。



 相手は立見と同じ此処まで無失点を誇る、曲者GK岡田率いる古豪の前川。立見は弥一達を欠いた状態で決勝戦を戦う。



 中盤で明が組み立てて行き、前線の半蔵や氷神兄弟へとパスを送るが前川のDFは非常に堅く、此処まで誰にも得点を許していない自信もあり、立見の攻撃を跳ね返していった。



 最後の砦である前川のGK岡田も半蔵のヘディングや玲音のボレーシュート、明のミドルと立見のシュートを次々とシャットアウトする。



 3年生となって彼も更に力を付けていた。



 一方前川の攻撃は間宮、影山、田村と最上級生トリオを中心とした守備陣が通さない。


 間宮の闘志溢れるプレーに三笠や立浪も引っ張られて奮闘する。



 弥一がいないからと言って守備が弱くなったとは言わせない。間宮のそういった弥一への対抗心もあって、この試合意地でも相手にゴールを許さないと、既に本大会進出を決めているにも関わらず、高いモチベーションでぶつかっていった。




 そして後半の終了間際、明が個人技で相手を1人振り切るとスペースを狙ってスルーパス。



 飛び込んでいたのは玲音。だがそれを読んで岡田も大胆に飛び出して向かっていた。



 岡田が飛び出してボールをクリアするより先に玲音の左足が当たり、球はゴールの方へと飛んでいく。



 このまま決まるかと思えば、懸命に戻っていた前川DFの1人が足に当ててシュートをブロック。立見の決勝点を阻止していた。



 そのこぼれ球に素早い反応で飛び込んで行ったのは詩音。右足で蹴り込んで豪快に前川ゴールのネットを揺らす。



 会場は岡田のスーパーセーブ連発で盛り上がっていた、前川応援団の声をかき消す勢いで大歓声が会場を包んだ。




 この1点を守り切り、立見が1ー0で前川を下し2年連続の東京予選優勝を決めていたのだ。



 フランスでの国際大会が行われてる間のリーグ戦も全勝。連勝記録と無失点記録の2つは伸びを止めない。





「これからの戦い、最大の敵は暑さだ。皆も知っての通り年々暑さは酷くなるばかり、普段よりも体力の消耗は更に激しくなる事が予想されるだろう」



 3人が戻り再び全員集結した立見の前で、薫はこれからについて話し始めていた。



「インターハイでは試合時間が短くなり暑さ対策も色々大会本部の方で行ってくれるらしいが、それでも1チームで戦い抜くのは至難の業だ。今大会は控え組も積極的に起用し、体力の消費を最小限に抑えていく」



 主力だけでなく控え組の出番もある。これには控えの立見選手もチャンスがあると、目の色が変わってきていた。



「試合も当然そうだが練習でも水分補給は積極的に行っておけ。その為の飲み物は有り余る程に用意してある」



 薫の視線の先には彩夏が「準備OKでーす♪」と他のマネージャー達と共に用意した多くのドリンクが用意されている。他にも冷やしたタオル等もあって、暑い中での練習の準備は万全だ。



 本番前に暑さで倒れてしまっては意味が無い。





「おーし、そんじゃ練習開始だ。辛いと思ったら絶対無理すんじゃねーぞ!」



 キャプテン間宮の声で今日の練習が開始。




 暑さ対策の為に、外での練習は午前や日が落ちかける午後を限定に行われる。



 陽射しが最も厳しい時は外での練習はせず、屋内の道場で合気道の稽古を中心とした練習メニューで、立見サッカー部はそれぞれ練習をこなしていく。




「はい小休憩ー、皆飲み物飲んで飲んでー」



 こまめに休憩を挟み、弥一は指導していた1年組に飲み物を飲むよう伝えれば、自らも水を飲んで喉を潤していく。冷たい水が太陽に当たり続けて、熱くなった体に染み渡ってくるのが感じられた。





「ほあ〜」



「おー、フォルナ大丈夫?ちゃんと水飲んでるー?」



 休憩中に弥一へと近づいてきたフォルナ。姿に気付いた弥一が、その頭を優しく撫でてあげる。



「水は何時もより多めに入れておきました……これからの暑さを思うと何時もの量じゃ足りなくなりそうなんで……」



 フォルナの世話にも慣れてきた明。弥一がいない間にフォルナの体調面を守ってくれて弥一は感謝した。



「ありがとね明、フォルナの事をちゃんと見ていてくれて♪」



「僕らも!お水あげたりご飯上げたりしましたー!」



「猫じゃらしで遊んだりもしましたからー!」



 明が弥一に褒められてるのが羨ましいと映った、詩音と玲音は自分達も世話したとアピール。



「うん、氷神兄弟もありがとね♪」



 弥一は双子にも忘れずにお礼を言う。向けられた笑顔に氷神兄弟は揃って、幸せを感じたのだった。



「神明寺先輩、フランスから帰ってお疲れではないですか?全試合スタメンのフル出場でしたし時差の方も…」



 そんな中で半蔵は休憩を取りつつ弥一の体調面を心配している。世界であれほどの大男達と戦った後にフランスから戻って、そこまで日が経たない内にこの練習。



 大丈夫なのかと思ってしまうのは半蔵だけではないだろう。



「時差は調整したし、疲れも特に無いから大丈夫だよ。総体は去年逃してるから取りたいんだよね」



 立見は選手権を制覇してるが、去年のインターハイは八重葉に負けた事で逃してしまっている。



 それを弥一は忘れていない、今年は逃す気など全く無かった。



「総体は取るし、それだけじゃなく先の選手権も2連覇狙う。夏と冬の両方を制覇して立見が高校サッカー界の頂点に立つ、そうなりたくない?」



「……!なりたい!」



「なりたいっす!」



「俺も!」



 総体だけではない。その先にある選手権の2連覇も見据えている弥一に、1年組は立見が揺るがぬ絶対王者になりたくないか、問われればなりたいと全員答えていた。



 立見を負けさせる気は無い、その気持ちは共通している。



「じゃあその勢いで練習再開ー♪」



 モチベーションの増した1年組と共に弥一は練習再開を告げ、メニューを次々とこなしていく。




「何かあそこモチベ上がってんなぁ」



「弥一と1年組だよな、気の所為か熱気が凄いような……」



 一方の川田や武蔵といった2年組、弥一達のチームを見て熱の凄さを感じていた。



「お前ら、気を抜いてる場合じゃないぞ。あいつらのポテンシャル考えたら追い抜かれるのは時間の問題だ」



 そこに黙々と練習する優也が2人へと話しかける。優也は1年組が自分達を追い抜くかもしれないと、後輩の成長にその可能性を考えていた。



「そうなるとレギュラー…やばいな、俺らも頑張るか」



 川田の言葉に武蔵が頷いて答えれば、後輩にレギュラーを簡単に渡せないと奮起。彼らとて弥一や優也と共に1年から試合に出続け、共に全国制覇している。



 凄いとはいえ後輩に負けてはいられない。





「はい右ー!と見せかけて斜め左ー!」



「うわー!えぐいー!」



 弥一はその後輩へと走りのトレーニングで、様々なルートを指示して共に走る。



 方向は全部弥一の気まぐれの上に途中で急なフェイントを織り交ぜ、後輩達はどちらに走るのか全く予測出来ない中で、弥一になんとかついて行く。




 夏の戦いに向けて全員揃った立見が動き出す。去年掴めなかった夏の栄光を手にする為に。

武蔵「久々の出番な気がするなー」


翔馬「だよね、僕達ずっと日本で留守番だったし」


川田「最近は1年達が目立ったりしてるしなぁ」


武蔵「なんか生意気だからシメようぜみたいな感じなってないか?」


川田「そんなつもりないから!嫌な先輩なってないかなぁ……?」


翔馬「まあ、とにかく夏は1年も2年も3年も関係無く総合力の戦いだよ。此処はもう団結してこ!」


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