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全国へ集う強豪達に対しての選択肢

※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。

「ほあ~」



「えっへっへ~♪全国また行けるよフォルナ~、って前決めた頃はまだいなかったっけ」



 インターハイに続き選手権も全国出場を決めた立見高校。校舎には早くもそれを祝しての横断幕が作られて、大きく飾られているのが見える。



 夏の時といい行動が早い。



 学校内ではサッカー部が、またしても全国出場を決めた事が既に広まっていた。夏に続いてサッカー部員に人が集まれば、祝福してもらっており、その中で弥一は部室脇でフィールドを眺めるフォルナへと、おやつのササミをあげながら予選を勝ち上がった報告を満面の笑みで伝えていた。



 おかげで今日は購買部に行けば、菓子パンをサービスで貰えたりと弥一はご機嫌だ。ちなみに今日は練習は休みで、学業に専念する日となる。



「優勝した祝いにまた大門のおじいさん、おばあさんから中華ご馳走してもらえるかなと思ったけどなぁ」



 おやつを食べるフォルナの隣で、サービスに貰ったチョコチップのメロンパン。その封を開けてメロンパンとチョコの甘い匂いを楽しみつつ、弥一はパンにかぶりつく。



 中華を食べられないのを残念に思う、弥一にパンの甘味が慰めてくれる。ザクザクのクッキー生地に、チョコチップの相性が良く美味しく味わえていた。




「そういえばBブロックの方、もう結果出たっけ?」



 メロンパンを左手で持って食べながら、弥一は右手でスマホを操作。今日行われていたBブロック決勝戦。この時間その結果がもう出ているはずなので、確認すると試合の方は既に終わっていた。






 真島2-1桜王




 試合の様子が動画で流れており、左からのCKのチャンスを真島が掴むとこれを蹴るのは峰山。直接ゴール前には放り込まず、一度近くに居た1年FWの緒方へと左足で送る。緒方は更にそれを峰山へ返し、ダイレクトで左足のクロスを上げ、低いボールに鳥羽が頭から飛び込むダイビングヘッド。



 桜王の190cmを誇る長身GK、高山の手を掻い潜りゴールネットを揺らす。華麗な技を好む鳥羽が珍しく、身体を投げ出してのゴールだった。




 更にこれで勢いに乗った真島は攻めに出るも、DF榊を中心とした守備が、高山のセービングが追加点を許さない。



 そして鳥羽と同じUー16に選ばれている蛍坂、原木といった優秀な中盤の選手も黙ってはいなかった。



 桜王の守備から蛍坂と原木の居る中盤で、華麗なパスワークからスルーパスでDFの裏に抜け出した冬夜、¥。優也にも劣らぬ桜王のスピードスターが、一気に斜めからエリア内に侵入。真島のDF田之上の突進やGK田山の飛び出しを続けて躱し、冬夜は無人のゴールへ蹴り込んでネットを揺らした。



 此処で桜王が追いつき1ー1。インターハイに立見と共に出場した意地を見せて逆転を狙う。




 そこから両者の激しい攻めと守り、それぞれの攻撃と守備は一歩も譲らない。





 だが桜王の守備の時、真島の選手が倒されてファール。




 ゴール正面30m付近からのFKに鳥羽と峰山の2人が立つ。峰山がボールへ向かうかと思えば、峰山はボールを飛び越えて行き直後に鳥羽が右足を一閃。



 壁の頭上を超えて行きゴールをも超える、かと思えば急激に下へと落下して行く。横へと鋭く曲がる、バナナシュートの方を警戒していた高山はこれに反応が遅れて、ゴール左上隅のボールへダイブし、手を伸ばすが届かず。



 鳥羽の30mドライブが決まり、真島の勝ち越しゴールで2ー1。




 攻撃と守備で互角だったがFKの一本。その精度が真島に勝利をもたらした。



 Bブロック優勝は真島が制して立見と共に、冬の選手権出場を2年連続で決める。





「鳥羽さん好調だなぁー」



 動画を見終えた弥一。全体的にプレーヤーのレベルが高い真島の中でも、一際輝く鳥羽の存在感。改めて以前に立見と戦った時とはまた違う、弥一にはそう感じた。



「ほあ~」



「フォルナもそう思う?だよね~♪」



 その弥一の言葉に反応するかの如く、フォルナは鳴いた。




「あ、大阪の予選も終わってるんだ。見よ見よ」



 スマホでチェックしていくと、大阪の予選も結果が出ている。大阪で思い浮かぶのが最神第一高校。



 同じ1年で同じリベロ。関西の美少年DF八神想真とは、特に合宿で一緒の時が多く、時に競い合い時に遊んだりとした、夏の合同合宿の事は忘れていない。



 そして彼とどちらが絶対王者の八重葉を先に倒すのか、競争というのも覚えている。




 最神は決勝まで勝ち進んで相手の三波高校を3ー0で破り、完勝で大阪予選を優勝していた。




 守備で想真が巧みなディフェンスを見せて相手の突破を阻止。右腕に巻かれるキャプテンマークを煌めかせつつカウンターへと運び、司令塔の光輝にボールが渡ると右足でミドルシュート。



 キーパーの正面に行くが、シュートが強烈だったのか正面でボールを弾き、溢れ球に最神のFWが詰めていて押し込みゴールを奪う。




 安定した試合運びで、最神は三波を寄せ付けなかった。




「もしかして、本当に全国で決着付けるのかなぁ?」



 あの時の千葉公園での想真と勝負。付けられなかった勝負が全国で実現するのだとしたら、中々ドラマチックな展開だろう。



 クジ運次第で本当に実現するかもしれない。



 メロンパンを食べ終えた弥一は、ペットボトルの麦茶を飲むと予選をチェック。




 その時弥一の目に止まったのは静岡予選。




 八重葉学園の居る予選。まさか絶対王者が此処で負けたりとか無いだろうと、思いながらも気になり弥一は予選の結果を見てみる。




 八重葉の予選はどれも大差で下しており、決勝戦ですら5ー0で大勝。完璧な結果で全国出場を難なく決めていた。



 同じ高校生では勝負にならないとまで言われる今の八重葉。間違いなく選手権で優勝候補筆頭となってくるだろう。





 そして最神に八重葉だけでなく他にも全国の強豪はまだまだ居る。その学校を倒さない限り全国制覇は出来ない。



 だったらトーナメントで当たる強豪全員を倒して、優勝を掴み取る。



 実にシンプルだ。




「ねえフォルナ、立見は優勝出来るかな?」



 弥一はフォルナへと問いかける。この先の選手権で立見は優勝出来るか否か。



 この問いかけに白い猫が鳴く事はなく、黙ったままだった。




「ああ……自分で掴み取れって訳ね」



 フォルナの頭を優しく撫でつつ、弥一は小さく笑う。



 先の未来については心が読める彼にも分からない。どちらにしても弥一の選択肢は一つだけ。




 対戦チーム全てに完封で勝利する。



 ただそれだけだ。

宜しければ、下にあるブックマークや☆☆☆☆☆による応援をくれると更なるモチベになって嬉しいです。


サイコフットボールの応援、ご贔屓宜しくお願いします。

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