011:魔石が大量だー
100体ものゴブリンを一掃した私は、ドロップアイテムである石をひたすら集めていた。
私はこの石を〝魔石〟と呼ぶことにした。 (その方がかっこいいからね)
モンスターからドロップしたことも含めて、魔石と呼ぶのが相応しいと思ったのだ。 (我ながらなんか賢いぞ。かしこかわいいミミックちゃんだっ)
この先のことも考えるとレベルアップは必須。
そのためには魔石をたくさん食べないとっ。
レベルアップの条件は魔石を食べることで間違いないと私は思っている。
レベルアップの経験は少ないが、魔石を食べた時にレベルアップした。だからそう思ってる。
そしてゴブリンを一掃したときには、一度たりともレベルアップしなかった。
魔石を食べた時。それが私が知ってるレベルアップの条件だ。
普通の石でもレベルアップの条件に該当するかはわからない。
経験値1くらいは貰ってるかもなーって感じはするけど。
きっと宝石の壁の中から見つけた青くて綺麗な宝石は、経験値がたっぷり詰まってた宝石なんだろうな。
味と経験値がイコールなら物凄い経験値が詰まっていたに違いない。
あの味は忘れられない。天にも昇る美味しさだった。 (本当に天に昇りかけてた状況だったけど)
それに比べてゴブリンの魔石は……美味しいとは言えないな。
普通の石とどっちが美味しいのかって聞かれたら、ゴブリンの魔石って答えるけど……だからと言って美味しいわけではない。
味がしない硬い根菜を食べてるような感じかなっ。 (あぁ、ドレッシングが欲しい)
30個くらいはもう食べた。
残さず食べようと思ったけど、さすがにお腹がいっぱいで食べられないわ。
ミミックになっても食べる量はそんなに変わらないのかもしれない。 (この体太らないよね?)
なので私は今、残りの魔石を非常食として集めているのだっ!!
トートバックとかキャリーケースみたいなのがあれば良かったんだけど、都合よく洞窟の中にあるわけないので、とりあえずは体に埋められるだけ魔石を埋めた。
綺麗な色じゃないから、お洒落してる感じがしなくてちょっと残念。 (むしろダサくない?)
ミミックって宝箱に擬態してるモンスターでしょ?
だったらさ、収納能力とかあればいいなって思うんだけど。 (何のための宝箱なのよー)
口の中に入れちゃったら食べるしかないし……。食べなきゃ顔の周りでゴロゴロして痛い。 (正確に言うと痛気持ちいいかなっ)
まあ、体に埋め込むこの能力自体が収納能力みたいな感じなんだけどね。
とりあえず埋め込めるだけは埋め込んだぞ。
残りの魔石はどうしようかな。
えーっと……50個くらいあるぞ。
ここに置いていく?
いや、食べ物を粗末にするのは良くないよね。
だったらここで休むか。
どうせこれ以上持ち歩けないんだし。
連続して戦うのも結構辛いしね。
それにゴブリンを倒したからって、あのオーガやドラゴンカップルにも勝てるって奢るほど私は、おバカなミミックちゃんじゃないからね。
レベルも5くらいだったし。戦わずに済むなら、それに越したことはないからね。
よしっ!
そうと決まればここを私の一時的な拠点にしようではないかっ。
ドラゴンカップルがいた下の層と比べたらモンスターはいっぱいいるけど、ここなら大丈夫だろう。
ゴブリンと戦ってたときは他のモンスターは来なかったし、それにここは他のところと比べても薄暗い。
ちょうどいい場所なのかもしれない。
あーあ。
イケメン冒険者やイケメン勇者、それに異世界の男たちに早く会いたいけど、焦りは禁物だよねっ。
慎重に進まないと。そのためにしっかりと休まないと。
休んでる間にイケメン冒険者が私を起こしに……って、この流れ前にもやったな。
それにしても今の私どっからどう見ても罠だよね。
魔石をたくさん埋め込んだ宝箱。その横に大量の魔石。
うん。どっからどう見ても罠だ。罠としか思えない。
こんなに罠感出てるんだから近付いてくるおバカさんなんていないよね。 (モンスターは知らんけど)
今回はイケメン冒険者が起こしに来ることはなさそうだな。
寝顔を見られる心配はないっ!!!
安心して寝れる!!
ということで私は寝るぞっ!!
食べたら眠くなっちゃうのよ。薄暗さも相まって睡魔が襲ってきたわ。
三大欲求様には抗えませ〜ん。
おやすみなさ〜い!!