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5.異世界転移

「これで全部渡せたかな?」

「うん。満タンになったよ。ルゼ、ありがとう」

ルゼがリディア様に触れ、魔力を渡していた。


俺はその様子を見て、神絵師がこの場に居ないことを悔やんだ。


「ハルキさん。今からルゼの魔力を満タンにしてあげてほしい」

「え?」

リディア様の発言に俺は驚いた。


「貯まったら一度元の世界にすぐに行きたいんだ」

「あーなるほど」

「どこに転移するのかの確認と転移場所が安全な場所なら、僕達を助けてくれた種族の様子を見に行きたい」


「助けてくれた種族?」

「うん。まずは鬼人族という種族の無事を確認したい。僕を支援してくれていた部族で、逃げているときに最後まで助けてくれていたんだ」

「それは心配ですね」

「うん。だからルゼとハルキさんはさっさと部屋に行っていいよー。僕は耳栓でもしておくから」

リディア様の言葉を聞いたルゼが顔を赤くした。


「もうお姉ちゃん!そんなことしなくていいから」

「そう?」

「ははは」


俺とルゼはリディア様に促されて、客間からルゼの部屋に移動した。



ルゼの部屋は女の子らしいシンプルな部屋だった。


飾ってある写真にはルゼとリディア様と年配の男性が写っていた。

「お姉ちゃんがごめんなさい」

「ん?別に大丈夫だよ。リディア様も冗談で言っただけだと思うよ」

「そうだといいんですが」

「とりあえず、魔力を取る?」

俺はルゼに手を伸ばした。


「あ、あの。『魅了』は解くので、昨夜のように抱きしめてもらえませんか?」

「え?」

「その方が、ま、魔力が貰いやすいんです」

「さすがにちょっと気が引けるけど、『魅了』がないなら大丈夫なんだよね?」

「はい。大丈夫だと思います」

「わかった」

俺とルゼ様はベットに横たわった。


昨夜と違うのは、向かい合っている状態だということだ。

「る、ルゼさん?態勢が昨日と違うんですが」

「こ、この態勢だとどれだけ魔力を貰えるか試したいので」

「なるほど」

俺は緊張がばれないように平然を装った。


昨日は酒を呑んでいたから気付けなかったが、魔力が吸われている感覚が分かる。

魔力を吸われる感覚は少し心地よくて眠くなってきた。


「なんか、眠くなってきたよ」

「寝てていいですよ」

「本当?」

「はい。ハルキさんは寝ててください」

「うん」


俺はそう言われると意識がなくなった。


▽ ▽ ▽


目が覚めると目の前にはルゼの顔があった。


「うっ!」

推しガチ恋距離の寝顔に心が締め付けられた。


呼吸を整えていると、ルゼが目を覚ました。

「ごめんなさい。私も寝ちゃってました」

ルゼは恥ずかしがっていた。


「魔力はどう?」

「はい。満タンです」

「じゃあリディア様に報告しに行こうか」

俺が起き上がろうとすると、ルゼが抱きしめてきた。


「あ、あと5分」

「ん?」

「あと5分だけこうしてていいですか?」

推しからの言葉は強烈すぎた。


「う、うん」

緊張で身体が固まった。

俺にはこの5分がものすごく長く感じた。


▽ ▽ ▽


俺達はリディア様の部屋を訪れた。


「おねえちゃん!」

「入っていいよー」

リディア様の部屋は和風の部屋だった。


「もう終わったの?」

「うん」

「思ったより早かったね。まだ18時だよ」

「え?18時?」

「そうだよ。こっちの時間経過とあっちの時間経過が同じかどうかも分からないけど夜に転移は不安だから、明日の朝に出発しよう」

「わかった」

「はい!」


それから俺達は夕飯を食べ、そのまま泊まることになった。


寝る部屋はリディア様に言われ、ルゼの部屋に泊まった。



▽ ▽ ▽



翌日俺達は客間に集まっていた。

ルゼとリディア様は『変化』を解いた状態だ。


「じゃあ準備はいい?」

「うん」

「はい」


リディア様は一息つくと、口を開いた。

「ワールドトリップ!」


すると周りが真っ暗な空間になった。

足元が光り、大きな扉が現れた。


「よし。行くよ!」


リディア様が脚で扉を開け、俺達は落ちるように扉に入っていった。


▽ ▽ ▽


「ハルキさん。大丈夫ですか?」

「う、うん」


俺は目を開け、周りを見渡した。

木々が生い茂り、木の隙間から見える空は青かった。


「失敗?」

「ふふふ。魔人領って聞いたら、薄暗い世界だと思いますよね」

「うん。そう思ってた」

「違いますよ。魔人領も普通の世界です。そしてここは紛れもない魔人領です」

「じゃあ成功したってこと?」

「はい!」

ルゼと話していると、リディア様がいないことに気付いた。


「リディア様は?」

「少し離れたところに居ます。感傷に浸りたいようです」

「まあそうだよね。ルゼは平気?」

「私も故郷に戻れて感動していますが、ハルキさんが心配で」

「あっ、すみません」

「ふふふ。良いんですよ」


少しするとリディア様が戻ってきた。

「ハルキさん、起きたんですね」

「はい。すみません」

「大丈夫だよ。体調は平気?何か違和感などない?」

「大丈夫です。それでここは?」

「僕達が最後に居た場所ですね」

「なるほど」

「ここから移動するから、ハルキさんはルゼに魔力を渡しながら移動してね」

「わかりました。鬼人族を探すんですか?」

「うん。僕達がこの世界に居た時は近くに鬼人族の里があったから、まずはそこを目指すよ」


俺達は鬼人族の里に向かって歩き始めた。


▽ ▽ ▽


「お姉ちゃん。ステータスは見た?」

「見た。前より数値が低くて、スキルも変わったままだったよ」

「そうだよね。どうにかこの改変されたスキルを治さないとダメそうだね」

「そうだね。それ過去のスキルで戦うのに慣れるかだね」

2人の話があんまり理解できなかったけど、多分改変と反動で全盛期より弱くなってるってことだろう。


「2人は今はどんなスキルが使えるの?」

俺が聞くとルゼはステータスの確認を始めた。


「私はエクストラスキルの『節制の悪魔』で相手の魔力の使用量を減らす事と、自分が受けるダメージを減らすことができます。それに『サモン』というのも使えます。通常スキルは『槍術』『魅了』『変化』『スリープ』ですね。あとは使用不可と書いてあります」

全然理解できなかった。


「魔法とかは使えるの?」

「元は風魔法を使えたのですが、いまはなぜか土魔法になってます」

「それも改変されたってことか」

「そうみたいです」


「リディア様は?」

そういうとリディア様も確認をした。


「僕は『救恤の悪魔』で能力をあげたり回復したりできるよ。あとルゼと同じように『サモン』。通常スキルは何個かあるけど、戦闘で使えそうなのは『威圧』と『剣術』だね。魔法も火魔法から水魔法になってる」

「なるほど。2人とも武器を使えるのなら、どっかで調達したいですね」

「したいですね」

「僕達の専用武器はあいつらに回収されちゃってるだろうな」

「そうだね」

2人は少し悔しそうだ。


「でもいいなー。俺もスキル欲しいな」

「ハルキさんもスキルは持っているはずですよ?」

「え?」

俺はそういわれて少しワクワクしていた。


「エクストラスキルはさすがに持ってないと思いますが、何か特別な能力があれば、通常スキルの可能性もありますから」

「そうなの?どうやって確認するの?」

「ステータス!って言ってみてください」

「ステータス!」

目の前にディスプレイが現れた。


【募前】 撰川縺ウ希

【繧ュ繝】 雅0

【職業】 縺社員

【レベル】鉦ォ

【窮命力】暦シ8蜘ウ

【魔艦】暦シ8榛シ鍍ォ9螺ウ

【筋匿】撰シ螺ウ榛シ

【碁ケ濱力】榛シ曇シ鍍ォ

【禽敏力】螺ウ0

【繧ュ繝ォ縲】

○繧ッ繧ケ繝医Λ繧ケ繧ュ繝ォ

逡荳也阜繧貞女縺大繧後閠?v1

→焚荳也阜蟇セ隧ア

○壼クク繧ケ繧ュ繝ォ

縲?譖ク鬘樊紛逅

縲?蝠?ォ



「ルゼ、文字化けしてる」

「え?見せてください。私に見せたいと思えば見えますので」

俺はルゼにステータスを見せたいと頭の中で考えた。


「ありがとうございます。見えました。本当だ、文字化けしてますね」

「だよね」

「多分ですけど、エクストラスキルと通常スキル2つを取得してそうですね」

「あーそうなんだ」

「中身が分からないので、何とも言えませんが」

「まあなんか身体に変化が出たらわかるだろうから、それまで待つよ」


ステータスが見えなかったのは残念だが、気にしないようにして鬼人族の里に向かった。


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