28.初めてのダンジョン攻略②
俺はダンジョンの変わりように驚いた。
階段を降りた先は草原だった。
天井はなく空が見える。
薄暗いがほんのり太陽が見える。
「ダンジョンってこういうものなの?」
俺は驚きすぎて、ルゼに問いかけた。
「ダンジョンはいろんな空間があるんです。先ほどまでの洞窟、そのほかにも草原や森、それに海や雪山などもあります。本島で管理していたダンジョンは火山や遺跡でした」
「色々疑問はあるけど、そういうもんだって自分に言い聞かせるべき?」
「それがいいかもしれませんね」
ルゼは混乱している俺が面白いのか、クスクスと笑っている。
「とりあえず進みましょ」
「ああ」
『異世界倫理』のおかげなのか、徐々に落ち着いてきた。
少し進むと、一本角が生えている白馬を数匹見つけた。
「あれはさすがに知ってる。ユニコーンだよな」
「半分正解です。あれはアングリーユニコーンといって、普段は温厚なんですがテリトリーに侵入すると怒りだして攻撃を仕掛けてきます」
「え?ということは」
「はい。今回はハルキさんも危険なので『異世界装備』をお願いします」
「わ、わかった」
念じると、目の前に始めて見るウィンドウが出てきた。
○異世界装備
頭:未装備
首:未装備
胴:未装備
下半身:未装備
右腕:未装備
左腕:未装備
右脚:未装備
左脚:未装備
○装備可能モンスター
タンク〇(範囲内)
ビュラ○(範囲内)
ポンプ〇(範囲内)
ビー○(範囲内)
ティー○(範囲内)
俺はビュラを胴、右腕にタンク、左腕にポンプ、両脚にビーとティーを装備した。
「タンク、向かってくるやつを撃つぞ」
「わかった」
タンクが返事をすると、右腕から手甲から銃口が3つ出てきた。
俺は銃口を突っ込んでくるアングリーユニコーンに向ける。
「頼む!」
ドシュシュシュシュシュ!
大量の弾丸が発射され、アングリーユニコーンに当たる。
アングリーユニコーンは倒れてドロップアイテムに変わる。
「よし。これならいける」
「いやまだだ」
「え?」
違うアングリーユニコーンが俺に向かって突っ込んできている。
しかもさっきのアングリーユニコーンよりも筋肉質で身体がうっすら赤くなっている。
「タンク!」
ドシュシュシュシュシュ!
アングリーユニコーンは次々とドロップアイテムになるが、他のアングリーユニコーンが立て続けに突っ込んでくる。
「ハルキ。アングリーユニコーンは仲間が倒されると怒って強くなる」
「そうなのかよ。じゃあどうすれば」
「俺を胴体に装備しろ。そうしたら全力で走って殺さない程度にアングリーユニコーンを攻撃して逃げろ。集まったところを一発で決めてやる」
「わ、わかった」
俺はタンクの指示に従うことにした。
「ビーとティーは全力で走れ」
「うん」
「楽しみー」
「ポンプとビュラはアングリーユニコーンを殺さない威力で攻撃」
「うん。やってみる」
「わかったー」
「じゃあ行くぞ」
俺はアングリーユニコーンに向かって走り出した。
突っ込んでくるアングリーユニコーンをすれ違いざまにビュラの光の刃で傷をつける。
アングリーユニコーンは膝をつくが、ドロップアイテムにはならない。
すぐに移動し、右の手のひらをアングリーユニコーンの群れに向ける。
水の球がいくつも放たれ、アングリーユニコーンに当たる。
水の球が当たったアングリーユニコーンは俺を追いかけてくる。
俺は再び走り出すが、あまりのスピードに身体に痛みが走り始めた。
「タンク、ごめん。速さに身体が付いていかないみたいだ。ビュラを下半身に装備してもいいか?」
「わかった。ビュラはハルキの回復に専念してくれ、まだアングリーユニコーンは10頭ほどいる」
「うん!ハルキー回復できなくてごめんねー」
「ビュラ、大丈夫だ。ありがとう」
俺はビュラを下半身に装備し、再び走り始めた。
▽ ▽ ▽
アングリーユニコーン達が俺を追いかけてくる。
後はルゼが戦っているやつだけだ。
「ルゼ、それもらっていい?」
「は、はい」
俺は水の球を飛ばしてアングリーユニコーンに当てる。
水の弾が当たったアングリーユニコーンがこちらを睨みつけて俺に向かってきた。
ルゼは追いかけられている俺を見て少し引いていた。
「タンク!この後は?」
「アングリーユニコーンを引きつけろ。あとは俺がやる」
「わ、わかった」
俺は脚を止め、アングリーユニコーン達の方を見る。
「いくぞ」
右肩に砲台が出てきた。
砲台の先端に魔力の塊なものが溜まっていく。
魔力の塊がどんどん大きくなっていく。
「これ大丈夫なのか?」
「ああ。マズドールを脅したときは威力を押さえていた。これが本気だ」
魔力の塊がアングリーユニコーン達に向かって飛んで行く。
地面を抉りながらアングリーユニコーンに当たる。
当たった部分がえぐり取られ、次々とドロップアイテムに変わっていく。
魔力の塊はすべてのアングリーユニコーンをドロップアイテムに変えて、どこかに飛んで行った。
「つ、強すぎないか?」
俺がタンクに問いかけると『異世界装備』が解けた。
「ハルキ、気合を入れすぎた。魔力を少しくれ」
「大丈夫かよ」
俺はタンクに触れて魔力を込める。
「こんなに魔力を持って行かれるとは思わなかった。あの威力は頻繁には出せないな」
「無理しないでくれよ。タンクがいないと困るんだから」
「ああ。すまない。少しやりすぎた」
ポンプとビュラはタンクが心配なようでくるくると周りを回っている。
「大丈夫?」
「タンクー。回復もするねー」
「すまん。ルゼ、魔力が回復したら下の階層に向かうぞ」
「ん?ルゼ?」
ルゼの反応がない。
先ほどまでルゼがいたところを見ると、ルゼが固まっていた。
「ど、どうしたの?」
「な、なんなんですか!あの攻撃は!!」
「タンクの本気の攻撃みたい。反動はあったからいつでも使えるわけじゃないけど」
「凄すぎます。並のモンスターや魔王軍の兵士には防ぐことはできないでしょう」
「そんなに?」
「はい。マズドールは確実に死ぬレベルです」
「…使う場所考えないとね」
「…気を付けてください」
タンクの回復が終わり、俺達は下の階層に目指した。




