26.初めてのダンジョン攻略①
階段を降りると、変わらず洞窟が広がっていた。
さっきの階層より天井が高く、鍾乳洞のように天井がトゲトゲしている。
ルゼが進もうとすると、タンクが声をかけた。
「ルゼ、この階層は俺らが戦ってもいいか?」
「いいですよ。私は見てた方がいいですか?」
「ああ。ルゼには少し相性が悪い相手かもしれない」
「わかりました。タンクさん達にお任せします。次の階層はやらせてくださいね」
「ああ」
タンクはポンプ達の元に行った。
「ポンプとビュラは目に見えた奴を撃ち落としてくれ」
「「うん!」」
「ビーとティーは地面に落ちてきた奴を頼む」
「わかったー」
「いっぱい走っていい?」
「ああ。岩が多いから気を付けろ」
「うん!」
こんな状況でもティーは変わらなかった。
タンク達は洞窟を進んでいった。
タンク達は宙を進み、ビー達は地面を飛び跳ねる。
「大丈夫だよね?」
俺はルゼに問いかけた。
「ビーとティーが少し不安ですが、タンクさん達がフォローするはずです」
「そうだよね。それにこの階層は全然モンスターいないし」
俺がそう言うとルゼは首を横に振った。
「先ほどタンクさんが私と相性の悪い相手がいると言っていたので……」
ドーン!
ルゼが話している最中に爆音が鳴り響いた。
タンク達を見ると天井の岩から煙が上がっていた。
天井から崩れ落ちる岩がふわふわと浮いた。
「え?え?」
岩はごにょごにょ動いている。
「ルゼ、あれは?」
「ロックバットです。岩に擬態しているモンスターです」
「コウモリ?リーフバットの親戚?」
「そういう認識でいいと思います」
タンクは天井を次々攻撃し、ロックバットは姿を現す。
姿を現したロックバットはタンク達に突っ込んでいくが、ポンプとビュラの攻撃を食らって地面に落ちていく。
地面に落ちたロックバットはビーに噛まれ、走り回っているティーに踏み潰されてドロップアイテムになった。
完全に流れ作業だった。
地面にはロックバットの牙・羽根・皮・魔石が散らばっていた。
「何かに使えるかな?」
「防具や武器の素材になるので、取っておいて損はないと思います」
「わかった」
邪魔にならないようにルゼと回収をした。
20分程でロックバットは殲滅された。
「終わったぞ。先に進もう」
タンクは変わらず冷静だったが、他のみんなは楽しかったのか俺の周りをくるくる回っていた。
▽ ▽ ▽
地下3階層に降りた。
洞窟は少し狭くなっていた。
「タンクさん。約束通り私が行きますね」
「わかった」
タンクは頷いた。
「スキルの確認をしたいので、わざと攻撃を受けますが気にしないでくださいね」
「え?大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。ビュラさん、回復してほしい時は声をかけるんでお願いしますね」
「わかったー」
そう言ってルゼは洞窟を進むが、俺は心配だった。
少し進むと大量のゴブリンがいた。
「ストーンランス!」
石の槍がゴブリンの群れに突き刺さる。
ギャー!ギャー!
ゴブリンの群れは怒鳴りながらルゼに向かって行く。
しかしルゼは武器を構えない。
ゴブリンは次々とルゼを攻撃する。
それでもルゼは動かなかった。
仲間の声が聞こえたのか、洞窟の奥からゴブリンが次々と出てくる。
「ゴブリンではあまり検証ができないですね」
何度も攻撃を受けているはずだが、ルゼはピンピンしている。
大量のゴブリンがルゼを囲んで攻撃をしている。
「ゴブリンじゃダメみたいですね。サモン!食い尽くせ、グラール!」
地面には魔法陣のようなものが現れ、小さなワニが現れた。
グラールは周りのゴブリン達に噛みついていくが、噛まれたゴブリンの様子が変わらない。
「ん?噛みついてないのか?」
様子を見ていた俺は首を傾げた。
グラールは土を掘って移動し、次々とゴブリンに噛みつく。
しかし1匹も倒すことはなかった。
「ストーンランス!」
ルゼは石の槍を器用に動かし、グラールが噛みついたゴブリンに向かって行く。
先ほどより強い石の槍なのか、ゴブリンを次々と貫通していった。
ルゼは階層にいたゴブリンを全員倒し、俺の元にやってきた。
「お待たせしました」
「大丈夫だった?」
「はい。『ダメージ節制』というスキルを試したのですが、ゴブリンの攻撃が弱すぎてほとんどノーダメージでした。それにレヴィクロコダイルという種類になったグラールの力も確認したんですが、姿と同じように能力もかなり変わっていました」
ルゼはグラールを抱きかかえて頭を撫でた。
「どう変わっていたの?」
「前はすべての物を食べ尽くす子だったんですが、今は噛みついた相手のステータスを食べるみたいです。グラールが噛みついたゴブリン達は防御力が減っていたので、スムーズに倒すことができました」
「強い石の槍を使ってたわけじゃなかったんだ」
「『魔力節制』のおかげで魔力操作もしやすくて1本だけで倒せました。最初はスキルが変わって戸惑いましたが、極めれば前のスキルと同じくらいの力を発揮できそうです」
ルゼは嬉しそうだった。
「美味しかったー!ルゼ好き!」
グラールの声はしっかりと聞くことができた。
ステータスが美味しかったようだ。
「まだ下の階層に行く?」
「はい!でもその前にお腹が……」
「そういえば夕食の準備途中でここに来たんだった」
ダンジョンのモンスターは時間が経つと復活するらしい。
さっき倒したばかりで、食事をするくらいの時間はあるというので俺はすぐに準備をした。
「そういえばゴブリンの声が聞こえなかったな」
鳴き声は聞こえたが、今までのように言語のようなものは聞こえなかった。
「それはダンジョンのモンスターだからかもしれません」
「外のモンスターと何か違うの?」
「ダンジョンのモンスターはダンジョンの魔力で生まれているみたいで、死体も残らないし『テイム』もできません。判明はできていませんが外のモンスターとは違うと言われています」
「そうなのか」
『異世界会話』の謎に迫れると思ったが、理解するにはまだまだ時間がかかりそうだ。




