25.ダンジョン発見
俺達は無事に野宿が出来そうなところ見つけた。
とにかく距離を稼ごうと真っ暗になっても移動していたため、野宿できる場所を見つけるまで時間が掛かった。
ポンプが火の玉を常に出してくれたから何とかなった。
俺達はテントを張って食事の準備を始めようとしていた。
ルゼは俺と一緒に食事の準備、タンク達は周囲の警戒、ビーとティーはスヤスヤ眠っていた。
「やっぱり買いすぎたかなー」
俺はマジックバッグの食糧を確認していた。
「そうですね。思ったよりも早く制圧出来ちゃいましたから」
「俺がダムザムの責任者を倒すなんて、誰も想像してなかったよな」
「本当にハルキさんは凄いです」
「ははは」
ルゼに褒められると純粋に恥ずかしくなる。
「ルゼ……」
「ハルキさん……」
焚火でルゼの顔が照らされている。
これはいい雰囲気ってやつだ。
徐々にお互いの顔が近づく。
「ハルキー!いい物を見つけたぞ!」
タンクの声を聞いた俺とルゼはすぐに顔を離した。
「おーどうしたどうしたどうした?」
「ん?ハルキ、様子がおかしいぞ。なんか変なものを食べたのか?」
タンクは俺の様子を見て、首を傾げた。
ルゼは下を向いていた。
「気のせいだ。なんもおかしくない。それよりいい物ってなんだ?」
「すぐそこにダンジョンがあったぞ!」
「ダンジョン?」
ゲームとかである洞窟とかのあれの事だろうか。
「ダンジョンですか!!!」
俺がダンジョンについて考えているとルゼが声を荒げた。
「ああ。中のモンスターを倒したら死体が消えた。間違いなくダンジョンだ」
「いいですね。ダンジョン!ハルキさん、ダンジョン行ってみましょう」
ルゼは目を輝かしていた。
「えーっと、ダンジョンって俺が想像しているやつであってるかな?」
「ものによって差はありますが、アニメとかゲームのダンジョンとほとんど一緒です」
「モンスターが居て、階層が分かれてて、ボスがいる感じ?」
「はい。その通りです」
ルゼはダンジョンが好きなのだろうか、ものすごいテンションが上がっている。
「そんなすぐに行って帰ることができるの?リディア様と合流しないといけないし」
「あっ。……そうでした」
ルゼはあからさまに落ち込んだ。
「なんでルゼはダンジョンに行きたいの?」
「慣れてない魔法やスキルを実戦で使ってみたいんです。この世界に戻ってきてから、まともに戦えていないので」
「そっか。じゃあ行ってみる?」
「え?いいんですか?」
ルゼは満面の笑みで俺を見る。
「ああ。『異世界装備』のおかげで早めに移動できたし、少しくらいならいいかなって」
「ありがとうございますー!ハルキさん!」
ルゼに悲しい顔をさせてしまうのは耐えられなかった。
「おい!話は纏まったんだよな?」
タンクが冷たい目線で俺達を見ているように感じた。
「ああ。案内してくれ」
俺はビーとティーを起こして、タンクに付いて行った。
▽ ▽ ▽
目の前には森の中には異質な岩山があった。
岩山には穴があって洞窟のように中に入れるみたいだ。
「これがダンジョン?」
「はい。魔力が溜まるとできると言われています。自然災害に近いですね」
「自然災害ってことは危険なの?」
「スタンピードというダンジョン内のモンスターが溢れかえって外に出てくることがあります」
「それは災害だな」
「ですのでダンジョンは魔人領で管理してモンスターを間引いてスタンピードが起こらないようにしてます」
「壊すことはできないの?」
「ダンジョンの最深部にコアがあるので、それを破壊すれば消滅します。ですがダンジョンは災害であると同時に資源なんです」
「資源?」
俺は理解するのにいっぱいいっぱいになっていた。
「ダンジョン内のモンスターを倒すとドロップアイテムが出るんです」
「なるほど。そこらへんもゲームとかと同じってことか」
「はい。珍しい素材やその地では手に入りにくい素材がドロップアイテムとして出てくる可能性があります。なので資源として管理するんです」
ルゼは自慢げに俺を見た。
「ありがと。よくわかったよ」
「いつでも聞いてくださいね」
ルゼは嬉しそうにしていた。
ダンジョンを見ていると、中からポンプとビュラが出てきた。
「1階層のモンスターは倒したよー」
「階段も見つけたー」
タンクの指示で先に入っていたようだ。
「じゃあ行く?」
「はい!」
俺は初めてのダンジョンに向かった。
▽ ▽ ▽
入口に入って通路を進むと広い空間に出た。
壁や天井がほんのり光っているおかげで、視界は良好だ。
「人工的に作った洞窟みたいだ」
見渡すと地面に何かが落ちている。
俺は落ちているものを拾った。
「なんだ?角?」
10cm程の動物の角のようなものだった。
「それはホーンラットの角ですね。ポンプさん達が倒したホーンラットのドロップアイテムです」
「こんな綺麗な状態で手に入るなら、国が資源として使いたくなるのもわかるわ」
「皮や内臓も綺麗にドロップするんですよ。たまに容器に入ったものも出てくるとか」
「すごいな」
俺はダンジョンの凄さを目の当たりにした。
「ハルキさん。階段で下の階層に行きましょう」
「わかった。ルゼがメインで戦うんだよね?」
「はい!」
ルゼはニコニコで答えた。
俺はホーンラットのドロップアイテムを拾いながら階段に向かった。
▽ ▽ ▽
地下1階層には大量のスケイルラットとホーンラットが地面を這っていた。
「ストーンボール!ストーンランス!デスサンド!」
ルゼは蟻人族から借りている槍を振り回して、モンスターの群れを薙ぎ払っていた。
モンスター達は次々とドロップアイテムになっていた。
「タンク。ルゼって強いよね?」
「うーん。魔法の威力はだいぶ弱い。たぶん本来の力の1割ほどしか出てないと思うぞ」
「え?あれで1割?」
俺からしたら美人女将軍みたいな雰囲気なのだが、本来のルゼはもっと強いみたいだ。
「今のルゼとハルキが戦ったら、ハルキが圧勝する」
「え?」
俺はタンクの言葉に耳を疑った。
「『異世界装備』があれば余裕だ」
「スキルってすごいんだな」
タンクと話している間に、ルゼの殲滅が終わっていた。
「ハルキさーん!階段見つけましたよー」
俺達はニコニコのルゼの元へ向かった。




