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17.ダムザムの街

俺達は目的地に到着した。


「ここであってるんだよね?」

「はい…」

「聞いていた外観とだいぶ違うな」

「そうですね。私の記憶していたダムザムとは全く違います」


ダムザムの街は堀と巨大な石の城壁に囲まれていた。


「これはすぐに潜入とはいかなそうだな」

「まずは入口を探しましょう」

「そうだね」

俺達はダムザムの街と距離を保ちながら入口を探した。



「あそこじゃないかな?」

俺は跳ね橋のようなものを見つけた。


「そうですね…。街自体もだいぶ大きくなっているみたいですね」

俺達が跳ね橋を見ていると堀沿いに歩いている人影を見つけた。

「隠れよう」

「はい」


その人影は武装をしていた。

容姿はルゼのように角が生え、悪魔のような尻尾が生えている。


「あれは魔人族?」

「そうです。正確には悪魔族の兵かと思われます」

「悪魔族?魔人族じゃないの?」

「魔人領に住んでいる種族を総じて魔人族と呼ぶのです。正確には私もお姉ちゃんも悪魔族なんですよ」

「なるほど」


俺は悪魔族の兵士を観察した。

「これ以上近づくと見つかる恐れがあるな。とりあえずタンク達に中を見てきてもらおうか」

「はい。そうしましょう」


俺はタンク達に中の偵察を頼んだ。


「くれぐれも目立ったりしないでくれよ」

「わかっている。偵察だよな」

「まかせてー」

「がんばるー」

タンク達は俺の周りをくるくる飛んでいる。


「ビュラ。もし捕まっている人で怪我をしてる人がいたら回復を頼む」

「頑張るよー!」

「じゃあ頼んだ」


俺がそういうとタンク達は城壁の上に向かって飛んで行った。



▽ ▽ ▽



俺らは城壁を越えてダムザムの街へ入った。

街の中は人も歩いており、普通の街のように思えた。

ただ大きく違うのは武装をしている人とボロボロの奴隷のような人しかいなかった。


「これはハルキにはきつい状況かもしれないな」

「怪我してる人いっぱいいる―」


この街は捕虜を奴隷として扱っていた。待遇は最悪のようだ。


「とりあえず、手分けして偵察をしよう。牢屋とかがあるかもしれない」

「「わかったー」」


ビュラとポンプは飛んで行った。

俺も怪しいと思われるところを探しに行った。



この街は内側と外側の2つの地区に分かれていた。

兵士の居住区が街の外側にあり、内側には石で頑丈に作られた建物があった。


その建物は兵士の居住区と同じくらい広かった。

建物内には牢屋が何個もあり、その中には手錠を付けて鎖に繋がれた人がいた。


「ここに捕まっているようだな。ビュラ、この建物に居る人を回復してあげて」

「わかったー」

「ポンプはファジャと同じ鬼人族を探してくれ」

「行ってくる―」

ビュラとポンプは建物の中を探しに行った。


捕虜はマジックアイテムと思われる手錠をつけていた。

「手錠を外すマジックアイテムと牢屋の鍵を探さないとな」


俺がそんなことを考えていると、兵士2人が近くに現れた。

俺は素早く小さくなり、物陰に隠れた。


「マズドール様が帰ってくるのっていつだっけ?」

「明日だったはずだ」

「あーあの人いるとサボれないから嫌だなー」

「そんなこと言ってるのバレたら殺されるぞ」

兵士達はそのままどこかへ行った。


「マズドールっていうのはここを管理しているやつか?そいつが帰ってくるまでにどうにかしないと」

俺はこの街のボスと思われる奴の情報を手に入れることができた。


「とりあえず手錠を外すマジックアイテムだな」

俺は気合を入れ直した。

ここからは出会った兵士は殺す可能性もあるだろう。


俺はマジックアイテムと鍵を探しに向かった。


▽ ▽ ▽


俺は兵士がたくさんいる部屋でマジックアイテムと鍵を見つけることが出来た。

兵士は殺さずに脚を攻撃して動けない様にして縛った。


「ビュラに死なないように回復してもらわないと」

俺はビュラとポンプと別れた場所に戻った。


「鬼人族見つけたよ!」

「みんな回復させたよ」

2人共ちゃんと仕事は済ませてきたようだ。


「ありがとう。じゃあここの建物を制圧しよう。俺はルゼを呼んでくるから、2人にここを任せる」

「「わかった!」」

「出来るだけ殺さず縛って捕獲して。でも抵抗するようなら殺しちゃっていいから」

「「うん!」」

「既に倒した兵士が何人かいるから、その部屋に入れておいて」

「「はーい」」


2人に建物の制圧を任せ、俺はルゼを呼びに向かった。



▽ ▽ ▽



「結構時間かかってるね」

「そうですね。でもだいぶ広いですから」

「そうか」


俺とルゼはタンク達が戻るのを待っていた。

この街で捕まっている人を助け出さないといけない。

もしかしたら戦闘になる。

気合を入れ直さないと。


少し待っていると空からタンクがやってきた。


「タンク、お疲れ。どうだった?」

「街の中には兵士も捕虜も大勢いた。ハルキも一緒に入るのは危険すぎる。まずはルゼだけで街に入る方がいい」

タンクはしっかり報告をしてくれた。


「ルゼ、どうする?」

「そうですね。タンクさんがそういうのであれば、一度私だけで様子を見に行った方がいいかもしれません」

「わかった。何かあったらすぐに逃げてきてくれ」

「わかりました」


ルゼは兵士の格好に『変化』し、タンクと共に街に向かって行った。


俺はビーとティーと共に森の中で待つことになった。



▽ ▽ ▽



「タンクさん。ありがとうございます。街の制圧は可能ですか?」

「問題ない。街に入る前に少し詳細を話しておく」

「はい」


俺は街の造り・兵士の数・捕虜の数・鬼人族がいた事・兵士は殺さず捕まえている事・この街のボスが明日帰ってくる事を伝えた。


「わかりました。ありがとうございます」

「まだ居住区には捕虜と兵士がいる。さすがに広すぎるから、隠密で捕縛するには人数が足りない」

「建物にいる捕虜は回復してるんですか?」

「しているはずだ」

「じゃあ捕虜の皆さんに協力してもらいましょう」

「なるほど」


俺達は城壁を乗り越え、建物へ向かった。



▽ ▽ ▽



ビュラさんとポンプさんの元に行くと、兵士達が部屋にパンパンに詰まっていた。


「ビュラさん、ポンプさん。これは一体?」

ビュラさんとポンプさんは私の周りをくるくる回っていた。


「タンクに言われて、建物に居た兵士をこの部屋に入れたの!」

「誰も死んでないよ」

兵士はわかる範囲でも50人近くいた。


「ルゼ、これが牢屋を空ける鍵と手錠を外すマジックアイテムだ」

「ありがとうございます。この手錠はまだありますか?」

「あるよー」

ポンプさんが箱に入った大量の手錠を持ってきた。


「これを捕まえた兵士に付けてもらえますか」

「「わかったー」」


この場をビュラさんとポンプさんに任せて、私はタンクさんと牢屋へ向かった。



牢屋には見覚えのある顔がたくさんあった。

私達を支持していた悪魔族、魔獣人族、木人族がいた。


「おい!なんださっきの人形は!」

「何が目的だ!」

「俺達が屈すると思ってんのか?」

牢屋に居る人たちは私に怒号を飛ばした。


私は頬に触れて『変化』と解いた。


「え!?」

「ルゼ様?」

「幻か?」

「俺にも見えてる」


牢屋の中に居る人達は目に涙を溜めていた。


15年も大変な目に合わせてしまっていた。

私達を信じて待っていてくれた。

私は深く頭を下げた。


「みなさん。15年も待たせてしまい申し訳ありません!ルゼ・グラント二ス、戻りました!」


牢屋は一瞬静まり返ったがすぐに歓声が上がった。


「「「うぉおおおおお!」」」


「信じて、信じて、待ってましたよ!」

「本当に遅くなってすみません。また私達に力を貸していただけませんか?」


15年も待たせてしまった。見限られてもおかしくない。

私はみんなの顔を見ることが出来ず頭を下げ続けた。


「当然ですよ!」

「何のためにここにいたと思ってるんですか」

「任せてください!」


私に降り注ぐ言葉は、昔と変わらず愛に満ち溢れた言葉だった。

私は涙をぬぐい顔をあげた。


「ありがとうございます。まずみなさんを牢屋から出します」


私は牢屋の鍵を開けた。


「タンクさん。手錠を付けた兵士達をここに入れてください」

「わかった」

タンクさんは兵士を入れた部屋に向かって行った。


「みなさん。体調はどうですか?」

「問題ないです」

「なんか変な人形に攻撃されたら、古傷も痛くなくなりました」

「あれは私に協力してくれているモンスターです。失礼の無いようにお願いします」

「「「「「「「わかりました!」」」」」」」

みんなは一斉に答えた。


久し振りに会ったのが、回復している状態でよかった。

みんなが弱々しい時に会っていたら私は耐えられなかったかもしれない。


「みなさん。手錠を外します!外れた人は兵士をこの牢屋に入れるのを手伝ってください」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」


私はみんなの手錠を外していった。



私達は8つの牢屋から捕虜を解放した。

みんなは昔と同じように私と接してくれた。


「牢屋はこれで全部ですか?」

そう聞くと、ポンプさんが飛んできた。


「まだ下にあるよー。そこに鬼人族がいるよ」

「地下ですか?案内してもらえますか」

「うん!」


兵士達の収容をみんなに任せ、私達は地下へ向かった。




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