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11.作戦会議

用意してもらった家は土でできた立派な一軒家だった。


「なんかあったら呼んでください」

そう言うとウィノナは出て行った。


家に残っているのは俺とルゼとリディア様とファジャとタンク達だ。


「ファジャ、いろいろ申し訳なかったね」

「いえ。鬼人族は誰も後悔しておりません」

「そうかい?」

「はい。父も後悔していないはずです」

リディア様もルゼもまだ少し落ち込んでいるようだ。


「僕もすぐにダムザムに行って囚われている人達を助けに行きたいんだ、でも僕達は戦えるほどの力が今はないんだ」

「わかっております。父から聞いております。魔力も取られ、エクストラスキルも改変されたと」

「そうなんだ…」

助けに行きたいが力がないリディア様達と助けに行ってほしいが無理を言えないファジャ。

話は全然進まなかった。



「あのー、部外者が口出してもいいですか?」

俺は変な空気を掻き消すように口を開いた。


「えーっとハルキさんでしたよね?」

「はい。なんか話が進まないので口を出そうと思って」

「「なっ!」」

2人はそんなこと言われるとは思っていなかったのか驚いていた。


「ハルキさん。言い方を考えてくださいよ」

ルゼに怒られた。


「ごめんごめん。いや2人の気持ちはよくわかるんだけど話が進まな過ぎて。ダムザムに行きたいという意思は同じなんですよね?」

「うん。僕は助けに行きたい。でも助けれるほどの力が今の僕にはない」

「それでファジャは無理だとわかってはいるが、助けに行ってほしい」

「は、はい。すみません」

2人は申し訳なさそうにしている。


「まずはダムザムの情報が必要ですよね?本当に戦力が足りないのか、ファジャのお父さんが本当に捕虜になっているのか」

俺がそういうとファジャが口を開く。


「蟻人族と共にダムザムの偵察は何回か行きました。街の中には入れませんでしたが、リディア様を支持していた他種族が連れて行かれるのを確認しております」

「なるほど。それにしても情報が少なすぎるね。連れて行かれるのは事実だが、本当に囚われているのかもわからない」

「それはそうですが…」

「なので俺がタンク達と偵察をしてきます」

「「「え?」」」

3人は驚いている。


「3人には協力者集めをしてほしいですね。戦力は多いに越したことがないので、過去に支持してくれていた種族の生き残りが鬼人族のように隠れているどこかに暮らしているかもしれません。他にも怠惰・色欲・憤怒の3人がどこかに居るかもしれない。謀反を起こした者達に報復をするんですよね?今の力じゃできないからって行動をしなくなったら、一生この状況は変わりませんよ」

3人は黙っている。


「あ、あれ?言い過ぎました?」

リディア様は口を開いた。

「そんなことはないよ。ハルキさんの言っていることは正しい。僕も腹を括らないとね」

リディア様は決心した表情になっている。


その様子を見てルゼが口を開く。

「そうですね。でも協力者集めはお姉ちゃんとファジャにお任せします。私はハルキさんと共に偵察に行きます」

「え?」

「そういうと思ったよ。実際ハルキさん一人は危険だしね」

「蟻人族も協力してくれると思いますのでルゼ様はハルキさんに付いてもらって問題ないです」


女性3人の意見を覆せるほど俺は強い男ではなかった。

「わかったよ。ルゼも偵察チームね」

「はい!」

ルゼは嬉しそうだった。


▽ ▽ ▽


話し合いをしてわかったことがあった。

魔人領は6つの島と1つの諸島の7つのエリアで構成されていて、リディア様が魔王だったころは本島をリディア様、その他のエリアを他の幹部が治めていたようだ。


蟻人族の街があるこの諸島エリアは怠惰のゴフェルが治めていた場所らしい。


「力を貸してくる可能性があるのは、龍人族・魔獣人族だね」

「この島に暮らしていた魔人族はほとんど本島に移動したみたいなので、今この島に居る種族は蟻人族と鬼人族しかいません」

「他の種族がいるとしたら…」

「ダムザムに囚われてる人と捕えている人くらいですね…。一番近くの島に移動するのも船が必要ですし、現魔王軍にばれないで移動するのは難しいと思います」

リディア様とファジャは悩んでいた。


俺とルゼも偵察のための話をしていた。

「何日もかかるよね?」

「はい。どうしましょ」

「どれくらい残ってる?」

「1回も使ってないので結構残ってますよ」

「俺も使ってない」

「でも同じタイミングで取れますかね」

「ルゼはいいかもだけど俺が無理かも」

「ですよね」


俺とルゼは頭を抱えた。

「難しいようでしたら、私が『魅了』を」

「最終手段だね…」

「明後日とりあえず申請しましょう」

「1週間前か…」

「「有給とれるかなー」」


俺とルゼの話を聞いていたリディア様が口を開いた。

「2人共、温度感が違い過ぎるんだけど」

「「有給が取れれば長時間こっちに入れるんです!」」

「あっ…ごめん」


俺とルゼは話し合いを進めた。


「有給が取れたと仮定して話を進めよう」

「はい」

「『変化』って人にもかけられる?」

「はい。可能です」

「それを使って潜入出来そうだね」


「その前に街の情報を仕入れた方がいいかもしれないですね」

「それはタンク達にってあれ?タンク達は?」

俺はタンク達がだいぶ前からいないことに気付いていなかった。


「ここに居ますよ」

「え?」

ルゼの谷間からビー玉サイズのタンク達が出てきた。


「え?小さくね?」

「いつものサイズからこのサイズにまで変えられるようになったみたいです」

「いつの間に?」

「移動中に何度かやってましたよ」

「え?ほんと?」

俺がそういうとタンク達が俺の周りをくるくる回りだした。


「ちゃんと見ておけハルキ」

「そうだそうだ」

「みててよー」

「ごめんごめん」

タンク達は俺の頬に体当たりをしてきた。




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