タッグ試験、開始
☆
もはや慣れた病室。
何時もより早く起きた(起こされた)理由は――
「今日からクラス決め試験ですね」
「俺いつ退院出来るの?」
「……そんなにここから出たいんですか?」
「え」
「……」
ジトっとした目で見てくる彼女。
よく見たら結構美人だよなえみりさん。
そんな彼女に看病されている俺は幸せ者なのかもしれない。
「いや、別に居心地は悪くないけど」
「そうですか」
「いつもありがとうね、えみりさん」
「! 褒めても何も出ませんよ」
「寧ろここに住みたい」
「そっ、そんな……だから何も出ませんってば」
何か出てきても困るんだが。
でも彼女の照れてる表情はレアだから嬉しい。
「たださ……それでもこんな元気なんだよ? 病室圧迫してない?」
「その時は一時的に自宅療養になりますのでお構いなく」
「何だそれ……あ、だったらナースさんが家に来てくれるの? だとしたら嬉しいな~」
「!? はっはい!?」
「そんな声出さんでも。冗談だよ冗談。流石に傷付きますね」
「いや、あ、もう……ごめんなさい。あっほら、そろそろお時間ですよ」
「はーい」
ま、彼女が言っていたが。
今日からクラス分け試験の開始である。
いそいそと着替える。
この制服も慣れたもんだ。ネクタイ? もう余裕ですよ余裕。
余裕過ぎて引きちぎりたくなる。邪魔なんだよこれ!
「はぁ。勝てなかったらどうしよう」
「……」
「何か言ってよえみりさん」
「だらしない人ですね。それでも男ですか」
「確かにカッコ悪かった」
「……貴方なら大丈夫です」
「嬉しい!」
激励を貰ったところで。
「……碧君」
「お、行くか」
現れた音無。
自分の最強のタッグ様である。
まずは一勝だな。
☆
タッグ試験。
一日一回行われ、そしてそれを二週間、毎日続ける。
計十回の決闘を通し……各生徒の来年度のクラスを決定する。
決闘はレート戦のようなモノで、闘って勝てば勝つほど強い者同士、勝った者同士で闘う事になる。
分かりやすい話、全勝したらAクラス入りは確定って訳だ。
Eクラスの俺がこんな事考えても意味ないんだが、Aクラスの奴らはAクラス同士で闘うんだろうか? だとしたらかわいそうだよな。
「緊張してる? 音無」
「……」
ぷるぷるしてる、スライムかお前は。
隣にコレだけ震えてる奴が居るおかげで全く俺は緊張しない。
……ま、やる事をやるだけだ。
負ける時は負ける。死なない時は死なない。
これまでと同じ――俺の異能を暴れさせてやるだけ。
さあ! テンション上げてやっていこう!
初戦、頑張るぞー!!
☆
対魔法使いとの戦闘において、装備を見るのは大事だ。
例えば――
□
ロッド……長い杖。 攻撃魔法を扱う者向け
ワンド……短い杖。 回復魔法・補助魔法を扱う者向け
オーブ……手に付けるタイプのコンパクトな杖。 魔力消費量を削減できるが魔法威力は低下。
特殊例
煉……竹刀、見たら分かるが近接戦多め
音無……ヘッドホン ?? 見て分からない。諦める。時には諦めることも大事。
□
ノートを閉じた。
こんな感じに、ある程度装備で何をしてくるか分かる。
つまり闘う前から勝負は始まっているのだ。
決してその情報を逃してはならない。
対峙した時点で敵を見定め、計画を練る――これが喧嘩(決闘)の極意である。
《――「テメェ話聞いてんのか? 続けるぞ」――》
ちなみに全て煉先生からの受け売りです。
眼鏡を掛けて解説しだした彼女には、危うくギャップで惚れかけた。
アイツ頭も滅茶苦茶良いんだよ。凄い。
「ココまでしてもらったんだし勝たなきゃな」
「うん!」
俺は拳を握りこんだ。
何よりこの試験は俺だけのものじゃないんだ。
音無の将来もここで決まる、そんな覚悟で挑まなければ。
――さあ。
勝ちに行こうか!
☆
「……あー、えっと。音無&碧ペア、対戦相手の降参により不戦勝になります」
「……」
「……」
試験開始、一日目。
結果。
決闘場、寂しく響き渡る先生の声。
……何だよそれ!
次回からしっかり闘います……。
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