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ライドネの魔法

 なんなんだ、これは


 アーウィンは椅子に括りつけられたまま、目の前の戦いを見ることしか出来なかった。……いや、これはもはや戦いですらない。

 ただの一方的な空回りだ。


 赤毛の男とライドネが戦い始めてどれくらいたったのだろうか。初めはライドネの攻撃を避けてばかりの男に、これならライドネが勝つだろうと高を括っていたのだ。

 なのに1分、2分と経つ間に、男の異常性が段々と浮かび上がってきた。

 部屋を埋め尽くすライドネの魔力に全く臆することなく、吹き荒れる風に足を取られることも無く。

 殴りかかった拳は指先で逸らされ、放たれる風の刃は指鳴り一つで掻き消える。

 ならばと竜巻を作り出せば、それすら掌ひとつで消滅させる。それも自分たちを防衛魔法で守りながら、だ。


 ライドネは魔法の打ちすぎで息も絶え絶えだ。それなのに赤毛の男は汗一つかいていない。

 実力が違いすぎる。


 傍から見ていても、いや、傍から見ているからこそ分かる残酷な真実。しかし、アーウィンにはまだ一つ希望があった。

 なにも自分たちは考え無しにライドネの下についているわけじゃない。それだけの実力があるからついて行っているのだ。


「お前、中々やるな」

「貴方は想像よりも弱いですね。大丈夫ですか? 息が切れていますよ?」

「っ、うるせぇ!! ……いーぜ、余裕ぶっこいたこと後悔させてやるよ」


 ライドネがニヤリと笑い、手で手印を結ぶ。

 それを邪魔することなく、なにをするのか興味があるとばかりに黙って見つめる赤毛の男。

 馬鹿が、ライドネの勝ちだ。

 思わず顔がニヤける。ライドネは短気で粗暴だが、間違いなく実力者なのだ。だからこそ普段の悪行が許されている。


「"ここに呼び出すは四大精霊"」


 ライドネの雰囲気が一変する。

 冷たい空気を纏ったライドネが手印を顔の前に上げ、厳かに呪文を唱え出す。


「"北には地の精霊・ノーム"」


 ライドネの目の前に黄色い光が現れる。


「"東には水の精霊・ウンディーネ"」


 先程と同じように、左に青い光が現れる。


「"南には火の精霊・サラマンダー 西には風の精霊・シルフ"」


 赤と緑の光が後ろ、右と順に現れる。


「"相容れることはない四大元素、しかし共に作用するは可能なり"」


 4つの光がライドネの頭上で混ざり合い、1つの魔法陣を作り上げる。


「"原質の力、この世の基本である四つの力、ここに姿を現し、精霊の名のもとに全てを薙ぎ払え"」


 魔法陣が光り輝き、それに呼応する様に赤毛の男の周りにいくつもの魔法陣が現れる。


「"精霊四重奏(アリストカルテット)"」


 赤の、青の、黄色の、緑の光が、男を囲んだ魔法陣から放たれその体を貫いた。

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