合流、そして対面
「ちっ、どいつもこいつも…」
ライドネは逃げ出した先で1人悪態をつく。
アーウィンもシッドもさっさと逃げるとは情けない。リナともはぐれてしまった。
男2人はどうでもいいが、リナは保護しなければ。
そう思って探しているがどこにも見当たらない。
もしや学園の外に出たのかとも考えたが、扉も窓も外へ繋がるものは何一つ開かない。
完全に閉じ込められた。さらに先程の猫、間違いなく何かしらの魔法が作用している。
「舐めやがって」
犯人がどこのどいつか知らないが、必ず見つけ出して殺してやる。
怒りのままに壁を殴るがビクともしない。舌打ちをしながら廊下を進んだ先で、ライドネは見覚えのない扉を見つけた。
本来なら行き止まりのはずのそこに、真っ黒な扉が出現している。
間違いない、この魔法に関係している何かだ。
扉へと足を進める。罠の可能性も考えたが、どっちにしろぶっ飛ばすだけだ。結果は変わらない。
「オラ出てこい腰抜け野郎! 今なら半殺しで済ませてやるよ!!」
扉を蹴り開ける。
しかし何も起こらない。中には4つの椅子と、同じく4つの人影が存在してるだけであった。
「お、お前ら……!!」
内3人はよく知ってる顔だ。
部屋に並べられた椅子に括り付けられアーウィンとシッドは猿轡を噛まされ、リナはうっとりとした顔で唯一見覚えのない男にしなだれかかっている。
「おや、遅かったですね。お待ちしておりましたよライドネ様」
赤い髪の男がにこやかに話しかけてくる。
細められた金の瞳に赤の髪。先程の猫はこいつの仕業かと拳を握り締める。
「さっきの猫もこの校舎もお前の仕業かぁ? 舐めたまねしてくれやがってよぉ!!」
「おや口が悪いですね。品性というものをご存知ですか?」
「そーそー、この方の言う通りよぉ」
リナが甘えた声で男に賛同する。その目はもはやライドネを見ておらず、目の前の美しい男に夢中だ。
「おいリナ!! お前そいつにつくのか!?」
「だってぇ、この人強いし優しいし? 何より顔がめちゃくちゃタイプ! アンタも強いから媚び売ってたけどさ? しょーじきそのイキった態度キツかったしぃ?」
「ふざけんな…!!」
リナに抱き着かれおやおやと笑う男に目の前が真っ赤になる。惚れた女に裏切られた怒りなのか、それともこの男に対する怒りなのか、もはやライドネ自身にも判断がつかない。
ただハッキリしているのは、目の前の男は必ず殺すということ。
「ぶっ殺してやる…!!」
「やれやれ、血気盛んですねぇ」