形勢逆転の兆し
時は数分前に溯る──
「シャル、ジル、ひとつ聞いてもいい?」
「ん? なになにグラン」
「何か気になることでもあったか?」
的確にこちらの弱点を突いてくる攻撃。マリアの剣技は卓越したものであり、サポートチームのレベルも高い。
3人で固まって迎撃を行いつつ、グランはふと思いついたことを2人に訪ねた。
「トラップが多い場所?」
「うん、僕には全く分からないけど、もしかしてと思って」
「……あるな、3箇所」
「あぁなるほど!!」
地面に敷き詰められたトラップ魔法、だが相手も魔力が無制限というわけじゃない。
ただでさえ低級とはいえいくつも魔法を使っているのだ、トラップ魔法も地面全てに設置できる訳じゃない。
なら重点的に置くのはどこか。
戦いの舞台となる中央か? 現に比較的数は多い。だがマリアが踏まないよう足の踏み場は確保されている。
距離を取る為には端によることになる、ならばそれを狙っている? だが端にはあまり無い。本当にくるかは分からないところに無駄な魔力はさけないのだろう。
そんな中、不自然に多く設置されている箇所が3つ。普通の探知能力ならあちこち充満する魔力のせいで近づかなければはっきりとその気配は感知出来ないだろう。だがここにいるのは普通からは少し外れた者のみ。
つまりは、彼らの戦術で御しきれる相手ではないということだ。
「シャルはここでマリアの牽制と俺たちのサポートを頼む。グランは右、俺は左、先に終わった方が後方だ。いいな?」
「「了解!」」
その言葉と同時にグランとジルは走り出す。
グランにトラップは聞かない。魔力による攻撃はグランにとっては蚊に刺されると同じようなもの。
一方ジルヴァラ、彼はグランほどでは無いが頑丈であり、加えて高い再生能力を持っている。それを妨げる光魔法も、シャリアルの蛇によってある程度防がれていた。
慌てたのはマリアたちである。今までの相手はトラップ魔法の群生地にわざわざ近寄らなかった。その先に何があると理解しても、わざわざ命を捨てるような事は出来ないからだ。
それが彼女達の敗因。彼女達は普通の中の最大しか想定できなかった。
マリアが2人を止めようと剣を構えるが、目の前にシャリアルが現れ進むことが出来ない。彼女はいつの間に取り出したのか、全身に蛇の鱗の鎧を纏っていた。そして背後には巨大な大蛇、無視して進むことは出来ない。
ふ、と2人がトラップが消えた箇所に出る。群生地を抜けたのだ。
ここまで来れば後は容易い。ジルヴァラの瞳には隠された姿がはっきりと映し出され、グランはただ思い切り腕を振りかぶる。
「ぐぅっ!!」
「きゃあ!!」
ジルヴァラがレミーを鞘のついた剣で打ちのめし、グランのパンチの余波でミアが吹き飛ぶ。
ここに、マリアチームの連携は崩された。




