第一試験突破
「確かに受け取りました。ジルヴァラチーム、第一試験合格!!」
カランカランと鐘が鳴らされる。
合格、その言葉を聞いた途端にどっと身体の力が抜けた。横を見ればジルとシャルも地面に座り込んでいる。
それもそうだ、さっきまで命をかけた戦いをしていたのだ。きっと僕よりも消耗は激しい。
「お疲れ様です、次回の試験までゆっくり休んで下さい」
試験官の教師が手に持った杖を振る。すると地面がボコりと浮き上がり、みるみる内に三体のゴーレムが召喚された。
ゴーレムは3人の体をそっと抱き上げ、合格者が休息する為のテントへと足を進める。周りを見れば同じように運ばれている生徒がチラホラと見えた、皆疲労困憊といった様相だ。
「この試験の期間は3日間、1日休息日を挟んでから次の試験という日程でしたね。今日は試験2日目、休息の時間は十分取れるかと」
「僕よりも2人の方が心配だなぁ、ジルなんてあちこち吹き飛ばされてたし……」
「ダンピールの回復力を侮ってはいけませんよ。もう一晩経てばすっかり全快しているでしょうね」
ダンピール……そう言えば刺客のせいで有耶無耶になっていたが、彼らが半人というのは確かなのだろうか。
「否定もしてらっしゃいませんし、何よりあの魔力は確かに闇の精霊と吸血鬼のものです。刺客が言っていたことは事実でしょうね」
「そっか…」
だからどうということでもないのだが、少し……少しだけ、彼らが僕に優しかった理由が分かった気がする。
元々彼らが優しいというのが大きいだろう。だけど、きっと彼らも疎外感を感じていたのだ。同じ痛みを知るもの同士、仲間意識のようなものがあったのだ。
「仲間、か……」
勿論彼らと僕は違う。同じ痛みとは言っても、その内容が全く同一のものというわけでもないだろう。
それでも、自分は1人じゃないような気がして。自分以外にも『同じ人間』がいた気がして。
ホッとしたのだ。
「……今はお眠り下さい。魔道具とは言え、それを使うのは貴方の魔力と精神。慣れない飛行でお疲れでしょう、後は私にお任せ下さいな」
「……うん、ごめん…よろしく……リュツィ…」
優しい言葉に眠気が誘われる。
リュツィに見守られながら、グランの意識は闇の中へと落ちていった。
◇
「それで、私になんの御用で?」
眠りに落ちた3人がベッドに寝かされるのを見守りながら、リュツィは背後へと話しかける。
戻ってきた時からコソコソと後ろをついてきた複数の気配。目当ては子供たちではない、自分だ。
「……流石上位悪魔、といったところかな」
物陰から2つの小さな人影が現れる。
美しい金の髪に白い肌、青い大きな瞳。
現れたのは双子の少年と少女であった。
「貴方方の事は知っていますよ。この学園の学園長ですね?」
「その通り、僕の名前はノア」
「私の名前はアリス、貴方はリュツィであっているかしら?」
「はい、マスターからはリュツィという名を授かっております」
「本当の名前は? ……と聞いても、教えてはくれないのでしょうね」
その言葉にニコリと笑う。その通り答える気は無い。
双子の背後に複数の人物が現れる。彼らは教師だ、これはこれは警戒されてしまったものだ。




