モンスターVSダンピール
「吸血鬼という生き物を知っているか?」
それは闇に生きる人の姿をした化物。
高い身体能力と膨大な魔力、そして高い魔法適正を持ち、異種族の血を吸うことで自身の配下とする。
見目麗しく非常に賢く、人の血を好む人類の天敵。
その最大の特徴は高い再生能力にあるだろう。吸血鬼によって程度の差はあれ、彼らを殺すことはほぼ不可能だ。
だがそんな彼らにも弱点はある。彼らを殺すには太陽の光を浴びせるか、心臓に杭を叩き込むか。はたまた首を落として川へ流してしまうか。
「けど人間との間の子である半吸血種にその弱点は無い」
彼らは吸血鬼でもあり人間でもある。ダンピールを殺す方法は心臓に杭を打つ、それしか方法がない。
ダンピールは優秀な種族である。彼らは吸血鬼にように長い寿命を持たないが、外的要因で死ぬことは殆ど無い。吸血鬼の弱点を克服し、昼でも夜でも活動が可能。そしてその身体能力は決して吸血鬼に引けを取らない。
そして彼らの最大の特徴は
「ダンピールの血は不老不死を殺す毒だ。お前たちの主とやらも大方それ狙いか?」
この世で唯一、確実に不老不死を葬る劇薬。
それがダンピールをダンピールたらしめる最大の特徴。
「残念だったな、お前じゃ俺を捕まえられない」
モンスターに成り下がった女は、四肢を切断され地面に転がされていた。
それでも黒い液体は身体の再生を始めるが、それが終わる前に再び切り落とされ燃やされる。
「まさか切り落とした部位も動かせるとは思わなかった」
自身の足を掴んだ腕を思い出す。独りでに動く腕というのは中々に気味が悪かった。
「bけものga……」
「その形のお前には言われたくないな」
首周りを触る。キチンと繋がっているか今ひとつ自信が無い、後で縫っておくか。
ダンピールは吸血鬼と同じ能力を持つ。吸血鬼は頭を切り落とされても死ぬ事はなく、また、身体を灰や蝙蝠へと変化させる魔法を得意とする。
ジルヴァラのやった事は実に単純であった。
核となる頭を遠くへと避難させ、既に液体に侵された部位をその場に残して残りを灰とする。即座に灰を頭へと呼び寄せ、身体を再生させる。それだけの事だ。
最悪頭さえ残っていれば身体はくれてやっても良かった。思ったよりも侵食が遅かったのでそうはならなかったが。
女の体は大分小さくなっていた。液体は切り落とされ、それを端から焼かれている。もはや雌雄は決した。
「安心しろ、殺しはしない。その力はお前自身も蝕んでいるのだろう? 解放してやるからちょっと待て」
ジルヴァラが回復してからの展開は早かった。
元々不意打ちで優勢を取れたのだ、それが通じなかったらどうなるかなど火を見るより明らか。
一瞬のうちに胴体は真っ二つにされ、それの回復を待つことなく足を、そして回復しかけていた腕を切り飛ばされた。
全く相手にならなかった。
「さて、悪いが大人しくしててもらうぞ」
木の幹にどこからか取り出した縄で縛り付けられる。武器も全て取られてしまった。
殺さないというのは本当のようで、本来の腕や足はそのまま残っている。胴体だけは、回復したとはいえ酷い傷跡だろう。どうでもいいが。
仮面の女とダンピールのジルヴァラ
その戦いはダンピールの勝利で幕を閉じた。




