合流
ひらひらと、淡く輝く蝶が舞う。
青みがかった白い蝶が群れをなす中、突如として赤い蝶が現れた。
血のように赤く、そして美しい黒の模様をもつその蝶は白い蝶たちを導くように前を横切る。
それに釣られて白い蝶も列をなす。1番前の蝶がなにやら人工的な入れ物に入っても、構わずにその後に続く。
「はいお疲れ様です」
その入れ物の蓋が塞がれる。
赤い髪の男が、小さくなったクロック蝶の入った筒状の入れ物を隣に立つ少年に渡した。
「クロック蝶の鱗粉とのことでしたが、その鱗粉は本体が時を飛ぶと同じようにその場から消滅します。なのでクロック蝶を捕獲する際は本体ごと魔封じの籠に入れるのが一般的なのですよ」
「へぇ…さすが博識だなぁ」
「伊達に長生きはしておりませんので」
悪戯っぽく笑うリュツィに礼を言い、クロック蝶の入った魔封じの籠を服の内側に仕舞う。これで無くしはしないだろう。
「では急ぎましょうか。シャリアル嬢とジルヴァラ殿なら大丈夫でしょうが、警戒するに越したことはありません」
「うん、頼むよリュツィ」
「お任せを」
リュツィの指先に光が集まり、その光で地面に魔法陣を描いていく。
数秒で完成したそれの中に入り、次の瞬間には見覚えのない場所へと飛ばされていた。
「ここは…」
「!!」
グランの首元をリュツィが引っ張る。そのまま後ろへと引き倒されたグランはこちらに刃物を突き立てる謎の人物、そしてその刃物を受け止めるリュツィを見た。
「リュツィ!!」
「大丈夫ですよマスター」
リュツィが刃物を蹴り上げる。よく見るとリュツィの右手は硬い甲羅で覆われており、どうやらそれで刃物を受け止めたようだった。
「リュツィ……?」
襲ってきた何者かが不思議そうにそう呟く。
「はい、正真正銘リュツィですよジルヴァラ殿」
「えっ! ジル!?」
その言葉に驚いて何者かをよくよく見れば、確かに彼はジルヴァラであった。フードを深く被っているので顔はよく見えないが。
「驚いた、まさか人型の悪魔だったとは」
「お見せするのを忘れていましたね、警戒させて申し訳ない」
「いや、その魔力は確かにリュツィだ。鈍かった俺も悪い」
リュツィが蹴り飛ばした刃物を拾い、軽く土を払ってジルヴァラへと渡す。
「それにしてもどうしたんだ? お前たちの担当はここじゃないだろ?」
「あっ! そ、そうなんだ! ちょっと大変な事が起こりそうで…!!」
「……? よく分からないが、その話はシャルも聞いた方がいいのか?」
「そ、そうだね。2人とも関係することだからその方が」
「分かった、着いてきてくれ」
夜になり意識がハッキリしているらしいジルヴァラが身を翻す。少し進むと彼は地面にしゃがみ地面に触れた。するとその場所が淡く光り、突如として人が何人か入れそうな大きさの穴が現れる。そしてその中には
「あっれー? グランと……え、もしかしてリュツィ? めっちゃイケメンじゃん!!」
「お褒めに預かり光栄ですシャリアル嬢」
「良かった、いつも通りだ」




