5.やれやれだよ
それからどうなったかだって?
バカ王子が仕返しに、全校生徒にあたしをいじめるように命令した?
スケさんカクさんに毎日のように嫌がらせを受けてる?
いやいや、あたしがそんなの受け入れるわけないだろう。
というか、そんなことにはならなかったんだよ……
「ミサ~~!!」
「はあ。シリウス様。
だから、ここは1年生の校舎なんですから、上級生の、しかも王子がちょいちょい顔を出さないどくれよ。
ただでさえ目立つのに、他の子が怖がるだろう」
「むう。
怖がられるようではまだまだだな!
俺様は父上以上に親しみやすい王を目指すのだ!」
ハッハッハッじゃないよ、まったく。
あれから、このバカ王子はことあるごとにあたしの所に来ちゃって。
変に懐かれちゃって困ってるんだよ。
「ミサ。
貴様、王子がせっかく会いに来てくださったのだ。
もっと喜んだらどうだ!」
「そうだぞ。
私たちも会いに来てやっているのだからな!」
スケさんカクさん。
そのキャラはそのままなんだね。
「むう。
もう休憩時間終わりか。
短いな。
王子&生徒会長権限で休み時間を10倍にしようか!」
「シ、リ、ウ、ス、様?」
「じょ、冗談だ、ミサ!
そんな怖い顔をするな!
いや、でも、怖い顔のミサも良いな!」
ハッハッハッって言いながら去ってったよ、あの人。
いきなり教室に来て、俺様の妃になれ!って言ってきた時はどうしようかと思ったけどね。
王子まずは婚約者ですよ、じゃないんだよ、スケさん。
あたしは旦那一筋だからね。
もちろん、丁重にお断りしたよ。
あの時の王子は地獄に落ちたような顔してたね。
いま思い出しても笑けてくるよ。
まあ、そのバカさ加減は、あの人に似てなくもないかも、ね。
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「こら!弱い者イジメはやめなさい!」
「ほらほら。男の子が泣くんじゃない。
はい。お菓子をあげようね」
「割り込み禁止だ!
順番を守れ!」
「あんたはなんだってそんなに正義感が強いのかね」
「俺は理不尽に人が嫌な目にあうのが嫌なだけなんだ。
俺が人の悲しむ姿を見たくないっていう、ただの自己満足だよ」
「……まあ、そういう所にあたしは惚れたんだけどさ」
「可愛いやつだな!」
「ちょっと!
頭をぐしゃぐしゃするんじゃないよ!」
「みさえ。
すまない、俺が先に逝くことになって……」
「なに言ってんだい……」
「みさえには、俺に付き合わせて、ずいぶん頑張らせてしまったな。
これからは、虚勢を張ったりせずに、おとなしく過ごしなさい。
俺はもう君を守ってやれないからな」
「あたしにそんなこと言っても無駄なのは知ってるだろう?
あんたの生き方はあたしが継いであげるから安心しな」
「はは。
それでこそ、俺のみさえだ……」
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「ミ~~サ~~!!」
前言撤回!
少しはあの人の爪の垢を飲ませてやりたいよ!
「あ、こら!
あんたら!
弱い者イジメなんてしてんじゃないよ!
待ちなさ~い!!」
やれやれ、前途多難な学生生活だねえ。
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