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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

死ねたと思ったら転生してたんだけど、取り敢えずこの世界を氷河期にしてやろう

作者: 鈴野前

死んでから数十年経って、やっとあの世に行ける機会がやって来た。やっと楽になれる。


そう思っていた。


「ここはどこ?」


木が沢山……森だろうか、林だろうか。少なくとも見渡す限りは樹の幹のみだし、森だろう。


この体が実体を得られる環境を持つ環境となると、可能性があるところは沢山ある。だが、残念ながらそこに入り込める程の力は、自分には無いはず。


ならば、転移か。となると、地球の輪廻転生枠から外された可能性が高い。

死神の野郎が「最近は上からの命令でぽこぽこ殺せないんで暇なんすよね~なんなら、魂を別の世界に売り飛ばすとかいう噂もあるので、一丁どうです」とか抜かしていたのを覚えている。


その一丁を軽はずみにしたら二度と会いたい人に会えない。と考えるとそれはできなかった。

状況を見るに、勝手にやられたようだけれど。


何が言いたいか、ここは異世界の可能性が高いと言うことだ。


まあそれはおいおい分かるだろう。

現状の問題は実体があるとなると、取り敢えずは寝床とご飯の用意をしなければならないのだろうし、面倒が増えるということ。


森の寝床というと、木の上がいいのかな。どんな動物がいるか分からないし、それが一番な気がする。

けれど、ご飯はどうすりゃいいんだ。その辺に生えているキノコはアタリハズレがあるだろうし、後は……食べれそうなものがない。


少し歩いてみるか。

聞こえるのは自分の足音だけ、薄気味悪いところだじめじめしていて、この地の主は相当に性格が歪んでいるのだろう。大体そうだったから、あちらでも多分同じだと思う。


頭上の木々の葉は厚く重なりあっているらしく、地面には光が届かない。そのせいか、ヤコウタケだとか、ヒカリゴケの様な、自ら発光するもの、若しくは僅かな光を反射し、光っているように見せる植物しか生えていない。


ピンクと緑の発光体に見守られながら森を進む。


生き物という生き物に会えない。

気配や痕跡すらない。

どうなってるんだろう。あれか、植物しか存在しない世界とか。いや、それなら私が存在できるわけがないし、許されない。


視界には、この森が途切れる様な雰囲気は一切、見つけることはできないし、代わり映えのしない発光植物類しかいない。いや、大木が至るところに生えてはいるけれど、あとは……うん、それくらい。


カサカサと葉の擦れ合う音と自分の足音だけが聞こえる。いや、おかしい。風がないのに擦れるか?


やっぱりおかしい。先程より多くなっているし、音が大きくなっている気がするし、上になにかいるのかもしれない。


頭上に目を凝らすと、ナニかが蠢いていた。


気持ち悪い。細い棒がうねうねしているように見える。あんな風に動くなんて、葉っぱじゃないだろうし、枝があんな風に動くこともないだろう。


なんだあれは……


ポトリ


音のした方を見ると、さつまいものような太さのナニかがうにょうにょしている。


毛虫か?

いや、それにしては……


蛭だ。


頭上のあれ全部が、蛭?

冗談じゃない。この体が二つあっても全身の血を吸い取られかねないんだけれど!?


熱源に対して寄ってくるのなら……いや、でも今さっきの薩摩芋みたいのは比較的近くに落ちている。


まさか、音を察知できるとか?

となると……聴力によっては呼吸でさえも命取りになりかねない。


力が使えるかは分からないし、下手に刺激するのもどうなんだろう。


「ドコ マま? タスけテ」


うっそだろ、発声してる。

しかも、子供の声だ。完全に対人能力に振り切っているのか、だとするとやっぱりこの状況はまずい。


走るか?

いや走れるか? 長年重力と筋力に頼らない生活だったからか、歩くのも正直覚束無いのだけど、逃げ切れるだろうか。


フと、吐いた息が白い。

ならば、いける。この体はやはり、あのままなのか。ならば、転移したのだろう。


束ねられた髪を振りほどき、力を放つ。

そう、私は雪女。雪山で遭難して死亡。その後、地縛霊をしていたら、男だったのに雪女として扱われ、心霊スポット化やがて恋愛スポットとして扱われるようになり、神格を得た新参ものだとはいえ、一応神だ。


あまり、土地をスッ羽抜くのは宜しくないのだけれど、返せば問題にならんでしょ。


自分の棲みやすい環境にすれば、辺りの温度は急激に下がり始め、それと共に頭上の蛭も凍てついた状態で雨のように降ってきた。


「ギャー!」


重量とその形から産み出される攻撃力の高さは、地面に突き刺さり、辺りを剣山(さつまいも芋バージョン)に変えてゆく、足の踏み場もこの様子からして無くなっているだろう。


けれど、死の危険が去っただけで、ストレスは減るので全てよし。


適当に蹴散らして進むとしよう。なにより、この力が使えるのならば、恐れるものもあまりない。さあ、歩こう。


だが、あの蛭が子供の声を発声していたのが気になってしかたがない。やけに対人能力が高すぎる。あの大きさだったら成人男性でも、一人当たり一体で完全に血を吸われ尽くすだろう。


そこまで人類に憎しみを持つ存在がいるか、神がそう仕向けたか。つまり、文明が発展していないために、無理矢理に人類の敵を作ることで、人類の戦闘能力を高めさせ(兵器などの開発も含め)科学だとか、技術を発展させようとしているのかもしれない。


生前は技術者だったし、ある程度の事ならできることもあるし、戦闘面と技術面で地球の文化をこの世界に与えると言うのが、上の神様方のお考えなのかもしれない。


つまり、この世界の介護をしろということか。


「やってらんね」

多分続かない

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