衝撃の戦槌
「とりあえず、奴らは行ったようじゃの、戻ってくるやもしれんし…少し様子見するとして…それにしても…派手にひしゃげたのう…」
足はぺちゃんこ、胸と腕はやや凹み、剣も少し曲がっていた。
「これ、直さないと困るよな、ずっとお前に運んでもらわなきゃならなくなるし…どうしようか」
装備を変えることは出来るらしいが、こんな所では売ってるはずもない、かなり困ったことになってしまった。
「何を言っておる。自動修復が出来るじゃろ、魔物は大抵自己治癒だったり自動修復が出来る筈じゃ。魔力を使って自分の身体を直そうと意識してみい」
「そんなこともできるのか、えーっと…お、なんかちょっとずつ直ってる気がする。剣もいけるんだ。装備品はってことかな?」
ゆっくりとだが、凹みが元の形に戻ろうとしている気がする。だが暫く時間が掛かりそうだ。
「妾もさっき結構潰されたからの。少しスライムが減ってしもうた。今修復中じゃ。増殖の方が近いかの?」
ウゴウゴと蠢くスライム。って事はどっちにせよここから暫く動けないと…おっ?
「なんかここ、ちょっとだけ奥行きがあるぞ…どれどれ…?」
足は動かないので手を使って奥に進む。ガイアのサイズでもなんとか通る事ができた。
「余り1人で奥に行ってしまうと、戻れなくなってしまうかもしれんぞよ。おい!せめて身体が直るまで待たんかっ…はぁ…仕方ない」
自分の体の一部を分離し、ガイアの後を追いかけるジャム、1つだけなら分身を使えるようだ。
「お前、そんなこともできんの?あっちのスライム、崩れない?」
ハリボテの壁が崩れるとかなりマズイので一応聞いてみる。
「あちらに意識はないが、簡単な命令ならできるようじゃ。今の状態の維持をさせておる。妾が融合する前のスライムみたいじゃの」
いくつもの命令は伝わらないようで、増殖はこっちの体でしているらしい…。
「偵察とか便利そうだよな…囮にも使えるし…んっ?なんか有るぞ…箱?」
黒い箱のようなものを見つけるガイア。
「ヌシ…何が何でも妾を囮にしたいようじゃな…扱いが不遇じゃ…っと。おお!宝箱ではないか!」
「宝箱?マジで?なんでこんなとこにあるの?誰かが隠した?」
よく見ると簡単に開きそうな仕掛けになっている。結構重い。
「ダンジョンではこんな形で宝箱が出現するのじゃ。まあ、トラップもあるが…あのゴーレムはこれを守っていたのかもしれぬのお。不幸中の幸いじゃ」
嬉しそうなジャム。確かに、宝箱と聞くとワクワクする。
「ふーん、出現って訳わからんな。どういう仕組み?まあいいや、開けてみよっと!お宝お宝!」
ふと、疑問に思うガイア、だが、中身の方にすぐ意識は切り替わった。
「どうせヒマを持て余した神の余興じゃろうて。さて、中身は…ムッ、武器のようじゃな」
バット程の長さの棒の先に六角柱が付いている。六角柱の部分はは棒の部分より行く周りか太く、いくつかの丸い突起が付いている。素材は金属のようなことだけは分かった。
「棍棒のようじゃの。硬い敵には銅の剣より良いのではないか?そして恐らくこれは…魔道具じゃな」
嬉しそうに言うジャム、武器が手に入ったのは凄くテンションが上がる。
「魔道具?って、分からなければ調べれば良いのか、えーっと…」
知恵の実を使うガイア、すると…
“魔道具:魔力を込めることで、様々な効果を発揮する道具。誰でも使えるものもあれば、相性により、使えないものも存在する。”
“衝撃の戦槌:魔道具、魔力を込めることで衝撃を生む。衝撃は防御を貫通するが、防御力が高いと効率は落ちる。衝撃を飛ばすこともでき、その場合は着弾すると、そこで衝撃を生む。”
なんかめっちゃ強そうだ、これならさっきのゴーレムとも戦えたかもしれない。効果をジャムに説明する。
「おおっ中々良いではないか!これは掘り出し物じゃの。戦闘の幅も広がりそうじゃっ!」
「とりあえず銅の剣は黒い箱にしまって置いてっと。お、身体ももう大分直ってきたぞ」
凹みも多少はあるが動くのには問題なさそうだ。しっかりと衝撃の戦槌を持って出口へと引き返す。
「ふむ…そこまで身体が戻ったなら一旦拠点に戻るべきかの。魔力はお互い回復していないじゃろうし。回復がてら新武器の性能確認じゃ」
そういって分身と合体するスライム。岩のハリボテを崩していく。
「そうだな、魔力を回復させないとな。ふんふんふーん。」
戦槌が嬉しいのかバットのように振り回すガイア。割としっくりきているようだ。
「全く、子供じゃのう…ほれ、いつまで遊んでおる。さっさといくぞ」
ツタを伸ばしガイアを引っ張るジャム、来た道を戻り、元の広い空間に戻る。すると…
ジュル…ジュル…カタカタッ…カタカタッ…キーキー…キーキー
そこにはすでに先客がいるのだった。
武器を手に入れて強くなるガイア、もう少し話を進めたいので次回も戦闘です。
ここでもう少しパワーアップさせとこうかなって
そして、ガイアとジャムのイメージイラストが出来ました!
と言っても、絵の経験など皆無なので…本当にイメージだけ伝わったらよしと思って下さい。
諸事情でツイッターに載せております。
興味があれば
アカウント名「紫葉」
ユーザー名「@siba_naisura」
で検索してください。よろしくお願いしまっす!
予定では今日もう1話更新したいけど夜中になるかなあ…