序章「蒼い薔薇の髪飾りの少女」
…確かに、あの日もそうだった。
…僕は、確かに一人の少女に恋をした。
…だから。…だから、こんなことに…!
「アレ、ここは、どこだ…?」
フト目を覚ますと、ボクは見覚えのない学校の教室にいた。
…そう。確かに、その教室に見覚えなんてなかった。
でも、そこに確かに一人いる、蒼い薔薇の髪飾りを付けた少女。僕は、その蒼い薔薇の髪飾りの少女だけは、いつか、どこかで見覚えがあるような気がした…。
…でも、それが思い出せないのだ。
その少女が、こちらの方へその顔を向けた。そして僕は、感じた。
「嗚呼、なんて美しい少女なのだろう。」
…否、本当にそう思ったのは、僕だったのだろうか。今の僕は、何もかもがわからなかった。
…ただ、わかるのは、僕が“見覚えのない教室”に、“どこか見覚えのあるような、蒼い薔薇の髪飾りを付けた少女”と二人きりでいること。ただただ、それだけだった。
すると突然、その少女は、優しいような…。そして、どこか哀しみと憎しみを孕んだ声で、そっと話し始めた。
「また、繰り返してしまったのですね。
…また、同じ過ちを繰り返してしまったのですね。
私は何度も言ったのに…。あなたは何度も繰り返す。
何度も何度も、何度も、何度も…。」
僕には、その少女が言っていることが全く分からなかった。でも、僕のことを言っている、ということだけは、はっきりと分かった。…そんな気がする。
そんな僕には、今が夢なのか現なのか、ということさえも、わからなかった。しかし、困惑している僕を気にも留めずに、その少女は話し続けた。
「自身の運命を知っていながら、なぜ何度も同じ過ちを繰り返すのでしょうか…?
何度も何度も、何度も、何度も…!」
僕は、少女に言い返そうとした。
…だけど、言葉が出なかった。
否、そうではない。得体のしれぬ何者かが、僕の口を塞いでいる…。そんな感覚を、ただただ強く、強く感じた。
「まぁ、良いでしょう。
いつかはきっと、正しい結末に辿り着くのでしょうから。
デハ、また、ここで会いましょう。
…今度は、もっと良い結末になってここに来ることを望みます。」
「待ってください…!あなたは、誰なのですか…!そしてここは、何処なのですか…!」
…そう叫んだ声は、僕以外に誰一人としていないこの教室に…。しんと静まり返ったこの教室に、響き渡った。
「そしてまた、繰り返す。」序章、いかがだったでしょうか。
今作が、僕がネット上に公開した小説の、記念すべき第一作になります。
正直、いつもはあらすじなどは作っていないので、その部分はかなり雑になっていると思います…。
というか、主人公の名前は、その場で頭に浮かんだ名前を使っただけです)ぉ
さて、次回(第一章)は、現実世界に戻った少年のお話です。
“序章の展開は、ただの夢だった。”そう結論付けて、学校にいつも通りに少年は登校していくのですが…。