第3条 キャバクラに就職した覚えはありません!
朝拝を終えた私は授与所を開ける準備に移った。
上島のせいでだいぶ時間を取られたので急がなければいけない。
結局、授与所の用意は予定より大幅に遅れ。あとから来た先輩巫女に散々嫌味を言われることになった。
原因は明確なのだが、これも結局、話すわけにはいかない。
言ったところで、先輩巫女といえども神職に文句を言えるわけではないし、へたに言い訳すれば倍怒られるからだ。
しかもお説教の最中、授与所の窓口に人の気配がしてなんどか振り向いたが、そのたびに人の姿は無く。先輩巫女にはよそ見をするなと、さらに怒られてしまった。
そうこうしているうちに一日が過ぎていった。普段となんの変りもなく、授与所に座って、人が来たら応対する。それ以外は氏子宛のダイレクトメールを大量に用意したり、神職にお茶を入れてやったりと、単純で退屈な仕事を繰り返した。
いつも通りならそんな仕事を終えればまっすぐ帰るのだが、今日はそういうわけにはいかなかった。
神職達が事務所で宴会を始めたからだ。
こうなっては、巫女はキャバ嬢と変わらない。おつまみを運んだり、酌をしたりと、神職への接待を強要される。拒否権なんてない。当然、残業代なんてもってのほか。労働基準法やコンプライアンスなんて言葉は神社には通用しないらしい。
夜もふけて、宴会は最高潮に盛り上がっている。神職達は酔っぱらって、もうなにを言っているかわからないし、ほかの巫女たちもだいぶ酒が入っているようだ。
「そろそろまずいかな」
こうなってくると、もう人の形をしているだけの別のものだ。
案の定、宮司のぼんくら息子が近づいてきて私に抱き着こうとしてきたので、素早くかわして事務所から抜け出した。




