第23条 再就職は慎重に!
「それで本題ですが」
図らずも始まったお茶会がひと段落したところで、ナシメが話を戻した。
「私は具体的にどうしたらいいんでしょう」
「そんなのわからないわ~」
でしょうね。
「しかし、このままではナカトミ様があまりにも……」
「そうです。どうにかしないとナカトミ様がこの村にいられなくなっちゃいます」
「じゃあ、とりあえずこの神社の巫女として働いたらどうかしら~」
ナシメとイヨの懇願が効いたのか、フレイアがやっとまともな案を出してきた。
「あなた~、あっちの世界でも巫女してたんでしょ~?」
確かに、再就職するなら経験のある職種の方が良いかもしれない。
「神社は今ほとんど放置状態ですから、それを立て直すということなら村人も納得するでしょう」
「私もぴったりだと思います」
他の二人も賛成のようだ。
でも、神社の仕事はあまり良いイメージが無いだけどな。
数日前まで、パワハラ・セクハラ・アルハラと、ありとあらゆるハラスメントにさらされていたことを思い出す。
「ナカトミ様、あまり気が乗りませんか?」
ナシメは私の顔が曇っているのに気がついたようだ。
「まあ、この神社をお一人でなんとかするのは大変かもしれませんね」
原因を勘違いしているが、イヨも私を気遣うように言ってくれる。
そうだ、この神社を一人で立て直すというのは、かなり大変なんじゃないだろうか。
「ん? 一人?」
一人なら、以前のようなハラスメントに悩まされることもないんじゃないか?
しかも私しかいないから、何でも自由にできるし。
どうせ働かなくてはいけないなら、この環境は悪くなんじゃないだろうか。
「やります」
「「え?」」
二人が同時に声をあげた。
「じゃあ決まりね~、頑張ってね~」
フレイアは他人事のようなのんきな声を出す。
「ナカトミ様が良いとおっしゃるなら、それでよいのですが」
「私もお手伝いします!」
「うん、お願いね」
イヨが協力してくれるなら心強い。
「それで~、具体的にはどうするの~」
「これまではどうしていたんですか?」
私の問いに、ナシメとイヨが顔を見合わせて答えにくそうにしている。
「先ほども言いましたように、ほとんど放置です」
イヨがもごもごと小さな声で答えた。
「この神様を大事にしているんじゃないの?」
「まあ、そうなんですけどね」
「今は村が大変な時でして、正直実益の無いことに力を割く余裕がありません」
今度はフレイアが目をそらす。
「神様としての御利益とか無いの?
「「無いんです」」
二人に声を揃えて無能の烙印を押され、フレイアはとうとうグズグズと泣き出してしまった。




