第20条 会議は定時をすぎてからが本番です!
すっかり寝入ってしまったイヨを布団に寝かせてから、今後を話し合うためナシメと向き合って座る。
聞けば彼は昨晩から、私に対する不信感を抑えられない村人たちをなだめてくれていたそうだ。
もしかしたら、他の村人に比べて信用できるのかもしれない。
「それで、私はどうしたらいいんですか?」
すでに日は落ち、薄暗い部屋は燭台の頼りない灯りに照らされていた。
揺らめく火によって、ナシメの顔には濃い陰影が生まれる。
「とにかく、村人達を刺激しないように。そして少しでも役に立つ所を見せることです」
ずいぶん卑屈な考えに思えた。
「私は無理やり連れて来られただけです」
「それでも、この村で生きていこうと思うのならそうするしかありません」
村を出ていくなら話は別ですが。と、付け加えてナシメは私の顔を見据える。
それはむりだ。こんななにが起こるかわからない世界で、一人放り出されて生きていく自信は無い。
それでなくても、さっき野盗の話を聞いたばかりなのだ。
とりあえず、観念してここで生きていく方向で考えるしかなさそうだ。
「でも、役に立てって言われても、村のことを何も知らないんじゃどうしようもありません」
こんどはナシメが考え込む。
「今朝、フレイア様に会われたのでしたね」
「なんの役にもたちませんでしたけど」
「フレイア様は故郷を無くした我々をこの土地に迎え入れてくれました。ああ見えて、この村のことを人一倍気にかけておられるはずです」
村人がここに住む前からあの女神はこの土地にいたのか、どうも彼らは、自分たちを受け入れてくれたことに恩義を感じているらしい。
私には能天気なだけの、ふわふわお姉さんにしか見えなかったけど。
この村の人達にはそれなりに信頼されているようだ。
「明日もう一度神社に行きませんか。今度は私もご一緒いたします」
「意味ありますか?」
ナシメは腕を組み複雑な顔をして考え込んでしまう。
やはり、あの女神が役に立つかどうかは、彼にとっても微妙らしい。
結局、朝になったらまた神社に行くことを決めると、彼は自分の家に帰っていった。




