表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/26

第19条 その話長くなります?

 男達はナシメによって、一人残らず追い出されてしまった。

 

 先ほどの騒動が嘘のように静まり返った室内には、私とイヨだけが取り残されている。

 イヨは恐怖のあまり、私にしがみついたまま震えていた。

 

 かわいそうに、すっかり青ざめてしまっている彼女を抱きしめ、背中をさすっていると、またナシメが入ってきた。


「どういうつもりですか?」


 うんざりした様子で、私の前に座るナシメに問いかける。


「あいつらのことですか? それとも、嘘のことですか?」


「両方です」


「ああでも言わないければ、あいつらは収まらなかったでしょう。皆気が立っています。だから勝手に行動するなと言っているんです」


「殺されそうな雰囲気でした。気が立っていると言ったって、あれは普通じゃないでしょ!」


 私の言葉に、ナシメは少し悩むようなそぶりを見せてから「そこで震えているイヨにも関係あることですが」と、前置きして口を開いた。


「イヨには両親がおりません。この子の目の前で殺されました」


 ナシメの発言は予想外のものだった。

 いや、家族がいないというのはなんとなく察してはいた。

 この二日間、彼女以外の家人の姿を見ていないからだ。


 しかし、目の前で殺されたとは。


 イヨが争いごとに対して、異常なまでの恐怖を感じるのはそのせいなのだろう。

 彼女を抱きしめる腕に自然と力が入る。


「でも、それと今回のことと、なんの関係があるんですか?」


「問題は殺した犯人です」


 いったい誰が、そんなひどいことをしたというんだろう。


「この村は2年前にこの場所へ移ってきましたが、以前住んでいた所には野盗がおりました。それに対して村人は、イヨの父親である村長の指示のもと、襲われるたびに戦い、追い払っていたのです。


しかし、ある日村長が自宅に一晩泊めた旅人によって、村長夫妻は殺害されました。


そしてその直後、野盗がなだれ込み、村長不在の混乱の中、村人のほとんどは殺され、生き残った者はこうして別の場所へ移り住んだのです」


 そんな悲惨なことがこの世界にはあるのか。


「その旅人は野党の一味だったんですか?」


「おそらく、しかもその旅人は若い女でした」


 なるほど、村人が私に強い警戒心を持つのはそのせいか。

 それほどのことがあったなら、よそ者でしかも女の私が村にいたら安心できないだろう。


「ただ、それにしても女を下に見すぎのような気がしますけど」


「いや、それはまあ、この辺の人間の気質といいますか……」


 ナシメはバツが悪そうに頭を掻き、言葉も歯切れが悪い。

 どうやら、私に対するこの村の男達の態度は、事件のせいばかりでもないようだ。


 ふと、私にしがみつくイヨの力が緩んでいることに気づいた。

 イヨにとって悲しい話だ、聞いていてさぞ辛かっただろう。

 そう思って、そっと彼女の顔を覗き込むと、怯えつかれたのだろう、イヨは私の腕の中でいつのまにか小さな寝息を立てていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ