第18条 一応助けたつもりですか?
家全体が震えるような声に、私や男達は首をすくめて硬直した。
腰を抜かしたのか、転んで立てなくなった者までいる。
私は男達と顔を見合わせる。
ここにいる全員にとっての脅威を感じ、連帯感のような奇妙な空気が生まれた。
男達は恐る恐る振り返り、それに合わせて私は座ったまま、彼らの間から家の入り口を見ようとする。
ナシメだ。
全身の筋肉を隆起させ、わななかせ、仁王のような顔をして仁王立ちしている。これはもう、仁王そのものなんじゃないだろうか。
これほど全身で怒りを表現させる人は初めて見た。
ただでさえ、他の村人より頭一つ分は身長が高いのに、今はさらに大きく見える。
さっきのは彼の怒鳴り声だったらしい。
声が大きすぎてなんて言ったのかはわからないけど。
「お前達、なにをしている?」
ナシメは男達を睥睨して威圧する。
どうやら彼の怒りはヤツらに向けられているようだ。
「ナカトミ様の件は俺に任せろと言っただろう」
「でもよぉ、ナシメ」
「よそ者はなにをするかわからんぞ」
「今朝も村をうろついてなにか物色していたそうだ」
「ただのよそ者じゃない、フレイア様の使いなんだから心配いらん」
「本当に神の使いなのか?」
「お前の勘違いじゃないのか」
「こいつは役に立たんぞ」
「どうせお前たちは女に平伏させられたのが悔しいだけだろう?」
ナシメの言葉に言い返し続けていた男達は、今のたった一言で黙ってしまった。
「我らの神も女神だろうが! いつまでそんな下らんことにこだわってるんだ」
男達はバツが悪そうにうなだれる。
「それに、ナカトミ様は早朝から神社に行かれ、フレイア様と村の復興計画について話し合っておられた」
え?
「じゃあ、今朝村をうろついていたのも視察のためか?」
「そうだ、ナカトミ様は必ず村の現状を変えて下さる。それまで大人しくしていろ」
なにか、ナシメが勝手なことを言い出した。
「え? ちょっと、私は……」「ほら! お前ら、とっとと出ていけ!」
言い終わらないうちに、彼は男達を外に追い出してしまった。




