表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

第6話(1章3話)「プラーミャ・エイゼンシュテイン」

そろそろ、挽回したい……

 ドレス姿の女性を担いだまま馬車から降りた火焚(ひたき) 守流(まもる)は、そのまま地面に降りずに飛行魔法を使って、その場から離れようとした。

 だがしかし、ちょうど後ろには、別の馬車が走って来ていたのもあり、直ぐに気付かれてしまう。

「緊急事態だ! 止まれー!」

 後ろの馬車に乗っていた奴隷商人の1人が叫ぶと、両方の馬車が、急停止した。

 そして、逃げもせずに地面に降りた守流の周りを、総勢8人の奴隷商人達が囲み混んでしまう。

『おい、ガキ! その女を返せ!』

『今だけならば見逃してやる。その女を俺達に返して、さっさと家に帰って、寝てろ!』

『それとも、ガキも奴隷になりに来たのかなー?』

 今まで沈黙を守っていた守流であったが、「奴隷」と言う言葉を発した男に目線を合わせると、その男はまるで、押し潰されるかの様に、跪いた。

『おい! 如何しっ、かっ……』

 そして、他の7人も、続けて同じ様に跪いてしまった。

「悪いけど、僕は、奴隷商人が大っ嫌いなんだ。金目のものを置いて逃げるのならば、追わないよ。でも、僕にとって気にくわない事をした時、君達がどんな酷い目にあうかは、その時の僕の気分次第」

 そう言って、守流は空に火属性魔法を打ち上げた。

 空に打ち上げた火属性魔法は、雲に直撃すると、一気に雲そのものを蒸発させてしまった。

『火属性魔法は兎も角、あんなガキが重力魔法とか有り得ねえ』

『こっ、此奴、只者じゃねえ。ずらかるぞ! 俺らの身が危ねえ』

 その言葉をきっかけに、奴隷商人達は皆一斉に、木々が生い茂る森の中へ、逃げ出して行ったのである。


 奴隷商人達が逃げ出したのを確認した守流は、左肩に担いだままの女性を降ろして、女性に話しかけた。

「怪我とか無いですか? あっ、えっと、僕の名前は、火焚 守流って言います」

 そして、守流は続けて「良ければ、あなたの名前を教えてください!」と顔を赤らめながら言い、頭を下げた。

 はあ……と溜め息をついた女性は、何かを悟った様な顔で、自己紹介をした。

『私を知らないって事は、火焚君はアースディア帝国の国民じゃないわね。私はつい最近滅びた国、アースディア帝国の13代目女帝、プラーミャ・エイゼンシュテインと申します。以後、お見知りおきを』

 そう言って、プラーミャは丁寧にお辞儀をした。

「ちょっ、頭を上げて! そもそも僕は、元奴隷なんだよ」

 プラーミャの行為に慌てた守流は、思わず自らの過去を口に出してしまった。

 それを聞いたプラーミャは顔を上げると『ふーん、元奴隷なのかあ……まっ、いっか!』と納得した様な顔をした。

「えっと……如何言う事ですか?」と訳も分からず、守流が問いかけると、プラーミャは守流を指差してとんでもない事を口にした。

『火焚 守流君、この私、プラーミャ・エイゼンシュテインと共に、アースディア帝国を再建国しましょう!』

次回の話は、新しく登場する、とある一族のお話です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ