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05「地下通路」

 

 

 

「んふふーん♪ クマ子、クマ子♪」


 ……うわー、寒い寒い寒い。

 通路に滞る空気は冷たかった。

 風が通り抜ける十字路の辺りはこれでもかというぐらい寒い。

 薄い生地では何の役にも立たなかった。

 足の裏なんてもはや感覚すらない。


「ねえ、ウニちゃん?」

「なーに、クマ子?」


 嬉しそうに聞き返すウニちゃん。

 あたしにとんでもない名前を付けてからやけに上機嫌だ。

 すばらしい人間性の持ち主ですね、あなた。


「あの、上に羽織る物とか靴とかってないかな。この通路、すんごく寒くて」

「そうかしら? 私は全然平気だけど」


 そりゃ子どもは風の子だからね……


「分かった。クマ子の頼みだもん。今度部長に申請しておくね♪」

「今度申請していただいてもあたしの身体は温まりませんけどっ」


 ……まあいいや、予想してたし。

 下着があるだけまだマシと思うしかない。


 それにしても、何かとんでもない状況になっちゃったな。

 突然、知らない場所で記憶なくして。

 ディペンダーだっけ? そのウニちゃんがあたしを保護しに来たなんて言われて。

 そんで変な名前で呼ばれて……ん?

 ……そういえば


「ねえ、ウニちゃん。“被召喚者”ってあたし以外にもいるんだよね」

「トワイライトシティの住民は全てあなたと同じ被召喚者。目が覚める以前の記憶を失った状態で目を覚ます」

「全員!? ってことはウニちゃんも?」

「そうよクマ子……ってあれ?」


 振り返った瞬間、ウニちゃんが不思議そうな顔をした。

 まるで珍しいものでも見るかのようにじっとあたしの眼を覗き込んでいる。


「クマ子、眼が……」


 眼?


「え、何?」

「……いや、何でもない」

「何よそれ。気になるじゃないの」

「こ、このことは機密事項に抵触する可能性があるかも。だから民間人のクマ子には話せない」

「思わせぶりなことつぶやいた後でそれは卑怯だと思いまーす」

「クマ子のくせにうるさいっ。だってまだ慣れてないんだから仕方ないでしょ!」

「えっ、まだ慣れてない?」

「……あっ」


 口を押さえるウニちゃん。

 しまった! という顔をしている。


「もしかしてウニちゃん……新人さん?」

 

 

 

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