27「分析調査室」
……これが、ビルの中なの?
分析調査室は、一言で言えば別世界だった。
プラネタリウムを彷彿とさせる薄暗い円形の一室。
段差のある黒い床を二、三歩毎に降りながら中心へ向かうと、
そこには直径十メートルはあろうかという、球体が半分埋まったようなドーム状の建物があった。
キョウイチさんの姿がドームの扉の奥へと消える。
ウニちゃん達はどこかな。
「クマ子、トロいわね。早く来なさいよ」
ドームの死角からウニちゃんが現れた。
手を腰に当ててあたしを呼んでいる。
「この部屋すごいね。大きい」
「分析調査室はディペンダーの頭脳。これぐらい当然よ」
ぐるりとドームの周りを半周すると、そこにはナスカさんが立っていた。
正面、三つ横並びの巨大スクリーンに身体を向けている。
そして、もう一人。
……あれ、ここにも女の子?
ぺたんと座り、スクリーンを見上げているウニちゃんぐらいの少女。
銀色の髪は床に広がり、彼女の身長を越えていると一目で分かる。
この子は……
「よう、被召喚者」
ナスカさんが軽く会釈した。
「ナスカ、この子はクマ子。ちゃんと名前で呼んであげて」
「おっ、そうだったな。すまん」
いや、ちゃんと名前で呼んで下さい。
「名前は決めたのか?」
「……都です」
「ダメよ、この子はクマ子。クマ子ったらクマ子なのっ!」
「……うるさ、い」
後ろを振り向くことなく、少女が喋った。
「……チルル、それ私に言ったの?」
「ウニ……子ど、も」
「アンタに子ども扱いされるのが一番ムカつくのよ。チビのくせに」
「精神年齢の、はな、し」
「何ですって!」
少女に詰め寄るウニちゃん。
それをナスカさんが止める。
「おいおい、子ども同士でケンカするな」
「ナスカも子ども扱いしないで。私はディペンダーになったの。立場的にはナスカと同階級なんだから」
「だが、オマエの面接官をした大先輩だぜ?」
「そんなの……先輩なんて、ただ長くここにいるってだけじゃない」
「バーカ、オマエとは経験が違うよ」
「大切なのは実力だって研修中に言ったのは誰よ」
「……なら俺に勝てるのか?」
「それは……」
「ウニ、経験、ゼロ。実力不足」
「分析官のチルルに言われる筋合いない! アンタこそ経験ゼロじゃないの。私はもう二週間もディペンダーとして働いてる」
「でも、失敗ばっ、か」
「……このぉ」
『その話ですが、チルル』
「分かっ、た」
ウニちゃんを無視して、スクリーンの方から聞こえたキョウイチさんの声に返事をする少女。
「……覚えておきなさい」
ウニちゃんがそう言った時、画面に通路マップのようなものが現れた。
巨大な迷路のように入り組んだ通路。
その中を二つの赤い物体が移動していて、少し離れた位置にもう一つ赤い物体が映っていた。
これって……




