表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/40

26「カラコン」

 

 

 

「クマ子さん、どうしましたか」


 キョウイチさんが少し目を大きく開けてあたしに尋ねた。


「そんなに驚くような質問ではなかったはずなのですが」

「いえ、別に驚いてなんて」

「では『えっ、何で』の続きを教えてもらえませんか?」

「ええと、“コンタクト”って言ったから、何でそんなこと言うのかなって」

「だって、コンタクト付けてますよね。昨日ここに来たばかりなのにどうやって手に入れたんですか?」


 矢継ぎ早に質問してくるキョウイチさん。

 嘘でしょ、この人。

 あたしが隠そうとしている秘密を暴こうとするかのように、核心へと迫る質問ばかりぶつけてくる。

 偶然……よね。

 とりあえず適当にごまかそう。


「チサトさんに貰いました。視力が悪いって言ったらサービスで……」

「サービス、ですか」

「どうやら彼女に気に入られたみたいで……友達になったんです。それで彼女から私服も貸してもらって」

「服……そういえばサイズが違いますね。特に胸の辺りが」


 ご丁寧に指を差して指摘するキョウイチさん。


「……それ、喧嘩売ってます?」

「安心して下さい。胸の大きさに対する私の関心は平均以下です」

「平均未満って言わない辺りが何か気になる」

「あっ、鋭いですね」


 その時、部屋の奥からあたしたちに呼びかける声がした。


「キョウイチ、そこでいつまでも何やってんだ。話の途中だろ」


 ナスカさんの声だ。

 

「邪魔が入りました。行きましょうか。あっ、忘れないで下さいね」

「何をですか?」

「決まってるじゃないですか、眼鏡です」

「いや、それは」


 まだデートの返事、OKしてないんですけど。

 それは後で断るにしても、大森さんにこのことをどう説明しよう。

 まさか会ったばかりでコンタクトだってばれちゃうなんて。

 見た目じゃ裸眼にしか見えないってチサトさん言ってたのにな……


「クマ子さん」


 最後に振り返ってキョウイチさんが言った。


「大森聡一朗に何か指示を受けているならその通りに動いて構いませんが、何にせよ日曜日のデートの誘いに関してはぜひ行くことをお勧めしておきます」

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ