01「被召喚者」
こんにちは、心野想です!
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目を覚ました時、あたしは知らない場所にいた。
地平線の彼方まで続いている、緑の大地。
見上げると一片の曇りもない青空。
ぽつんとある太陽の光が地面に降り注ぎ、揺れる葉を白く輝かせていた。
「……ここは、」
立ち上がり、周囲を見渡す。
ある方角に、街の城壁らしき建築物を発見した。
壁の向こうには空を左右に割る巨大なタワー。
塔の先端が鋭く尖っていて、まるで青空に挑む槍のようだ。
あそこがあたしの住んでいた街……だったっけ?
記憶を辿ろうとする。
でも、一切思い出せなかった。
さっきまでどこにいたのか。
昨日は何をしていたのか。
あれ、どうしてだろう……
それに、この服……
その時、風が吹いた。
肩まで伸びた赤い髪があたしの視界を覆い。
前開きの長袖とズボンがバタバタと暴れた。
薄い生地は袖を通した新品のように固く、こすれて痛い。
まるでさっき着たばかりのような――
「……ん?」
――身体に違和感を覚えた。
服の中に手を入れ、胸と腰の辺りに触れる。
「……そんなはずは」
念のため、ズボンのゴムを伸ばして直接目でも見てみた。
そして理解した。
あたし――下着を付けてないじゃん。
「いやいやいやいやありえないありえない」
ちょっと待って。
これってどういうこと?
もう一度状況を確認してみる。
目を覚ますと知らない場所に一人放り出され。
すぐ脱がすことができてすぐ着せることができる薄い生地の服を着て。
下着は付けてない。
そしてどうしてそうなったのか、記憶がない。
っていうことはまさか……
「眠らされて脱がされてアレされてポイッ……的な?」
「違うわっ!」
「きゃっ!」
突然の声。
驚いて飛びあがる。
「誰っ!?」
「誰、じゃないわよ……」
そこに立っていたのは、一人の女の子だった。
膝下まで届きそうな金色の髪を豪華に結い上げ。
両腕でドクロのキャラクターのぬいぐるみを抱きしめて。
ぱっちりした瞳であたしを睨んでいる。
「これだからオトナは……ホント変態ばっか」