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三ヶ月の成果

 木々が生い茂り、魔物の鳴き声が時々聞こえる森林地帯。

 ツインモンキーの討伐の為、俺とクレア、ラミナの三人でネーヴルの森に来ていた。



 ラミナを先頭にクレア、俺の順番で一列になり森の中を進んでいく。


「ラミナ、一時の方向に魔物が来る!」

「これか?」

「それだ、早いな……」

「あっ、薬草見つけたよー」

「本当だ。少し摘んで行くか」

「帰りの時に摘めば良いのではないか?」

「じゃあ、帰りもここ通ろうねー」

「そうするか」


 ラミナを先頭にしてクレア、最後に俺の一列で、俺が探索(サーチ)を使いながら指示を出すが、少し遅いのかラミナが結構な頻度で先に仕留めて捌き、売れる部分とかを分けて荷物に入れ、また前進して行く。


 探索(サーチ)。魔力を微量に放出させ、自分の周りの生物や無機物などを把握する魔法。

 詠唱で把握するものを設定し、注いだ魔力の量で範囲を弄れる、便利な魔法でニコラスに教わった。


 ニコラスはアレックスから聞いた魔法と言ってたが、軍の斥候などが使う魔法の一つらしく、アレックスが何で知っていたのかは謎だ。


 魔法何て使った事が無い俺は、駄目もとでニコラスから教えて貰ったが、アレックスの身体は、体力が無いくせに魔法は簡単に使えるようだった。


 特訓を始めた日から一ヶ月程でニコラスの出番は終わってしまい、元々行く予定だった優秀な魔法の学校があるドルン王国に教師になる為、旅立ってしまった。


 俺も今いる街から別の街へ、その次は国を出て世界一周とかしてみたいけど、ラミナが『お願いだアレックス、せめてCランクには上がってほしい…私を置いて死なないでくれ、頼む』と俺が簡単に死ぬ弱い奴みたいな認識をしているのか、涙を浮かべて懇願されたので、Cランクに上がるまではこの国に滞在する事になった。



「クレア、ラミナ、もう少し進んだ先にツインモンキーに近いのが居るみたいだ」

「そうか。皆、油断なく進もう」


 探索の魔法は、一度見た事の有るものは簡単に理解でき、見た事が無いものでも、少しだけ何があるか把握できる。俺の探索で把握できたのは事前に聞いたツインモンキーの特徴が観られる魔物だった。それが二匹この先に居る。


 魔物は固有のスキルを持ち、さらに魔法も使えたりする。

 ツインモンキーは体長1m程の赤毛の猿でスキルは文字通り、二体に成れるスキル。どちらも本体でそれを使いながら、複数での攻撃をしてくる魔物だ。


 だが、戦闘以外でスキルをあまり使わない事は、確認されているので俺は気を引き締めて進む。



「キッ、ウキィ」

「ウッキっキィ」

「あ、あれがツインモンキー?」

「……サーチだとあの二匹で間違い無いな」

「二匹? じゃあ四匹と戦うの?」

「それよりもあの状態で戦えるのか?」


 森を進んだ俺達はツインモンキーを見つけ、様子を伺う。やはり探索の魔法は間違いなかった。


 二匹のツインモンキーはお互いにくっ付き、切なそうに喘ぐ。


 魔物といっても同じ生き物だ。生物の基本的な欲求を満たす為の行動をするのは至極当然だった。



 そう、交尾中だった。


 何となく気まずい俺達は見つめ合い、頷き、ツインモンキーの情事を分かり易く邪魔した。


 先ずラミナが、ツインモンキーの前に走り込み剣を抜く、クレアも槍を構えツインモンキーの背後に回り込む。俺は援護する魔法を準備し、いつでも動けるようにする。



「! ウキキィ!」

「キキィ!」

 ラミナが突然現れた事に驚いた、ツインモンキーは二匹のまま動きだし、自らのスキルを使い、新たに二匹のモンキーが増えた。


「っはぁ!!」

「それぇ!」

「''突石''」

 ラミナとクレアは合体していた二匹の頭と胸を、剣と槍で突き、俺は魔法で造った石の球を避けられ無いスピードで放ち、スキルで創られた二匹の頭を打ち抜く。


 突然襲われた、ツインモンキー達は抵抗虚しく、絶命した。


 二匹のツインモンキーをラミナと俺で解体した。解体は初めはグロテスクだった。

 何処をナイフで切り抜けば良いのか解らず、素早く血を抜き捌かないと肉が駄目になってしまうし同じ場所に留まり続けていると、また新たな魔物に今度はこっちが殺られかねなかった。


 肉と骨。魔物は種類によって結構金になるのでキチンと分け、荷物に纏めて少し休憩してから俺達は先程通った道を戻って薬草を摘み、街に戻ったのだった。

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